Shinya

九州出身、千葉在住の40代男性。登山と読書と旅行が趣味です。 最近は家庭菜園をぼちぼち…

Shinya

九州出身、千葉在住の40代男性。登山と読書と旅行が趣味です。 最近は家庭菜園をぼちぼちとやっております。

最近の記事

梨と芦川さんと私(第167回芥川龍之介賞受賞作「おいしいご飯が食べられますように」を読んで)

先日、「しんやさん、去年note始めたけど、あっさり更新しなくなったね」と言われました。人は図星のことを言われると腹が立つし、何も言い返せないものです。が、書いていないことも事実なので久しぶりにきちんと書いてみたいと思います。 先日、以下のような記事を書きました。 数日後に出た結果は、既報のとおり、高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」でした。おめでとうございます。そして、私の予想は派手に外してしまいました。私にとって、小説の出来というのは世相とか時代性、普

    • 第167回芥川賞大予想

      皆さん、こんにちは。まもなく167回芥川賞が発表されます。私としては珍しく発表前にすべて読んでみましたので、予想なんてものをやってみたいと思います。 尚、私の所属している「新宿読書会」で同じようなことをしゃべっています。内容がかぶっていますが、こちらもお時間あればこちらもどうぞ。 (チャンネル登録&高評価よろしくね!) ここからの文章、文体がまちまちなのはYouTube配信前にバタバタやっているからです。クスリとかやってませんから! 小砂川チト 「家庭用安心抗夫」 日

      • 読書と浮遊感。 【書評】オン・ザ・プラネット(島口大樹 著)

        こんにちは。今回はこちらの本を読んでみたので感想を書いてみます。 こちらも第166回芥川賞の候補作でした。 若者4人が映画を撮影するために、横浜から鳥取砂丘を目指すロードノベルです。その途中で撮影したと思しき場面が挿入され、そこでは滅亡した世界の砂丘にたたずむ若者たちがいます。 全体として、特に何かが起こるわけではありません。浜松と大阪で寄り道し、鳥取砂丘で撮影後、上映会をする。話としてはそれだけです。単行本で174ページ。文章の大部分は主人公の「世界」に対する独白と若者

        • 後半、本編と無関係なことを書いています。 【書評】Schoolgirl (九段理江 著)

          こんにちは。今回はこちらの本を読んでみたので感想を書いてみます。 こちらも第166回芥川賞の候補作でした。 タイトルの「Schoolgirl」は、太宰治の「女生徒」を下敷きとしているからです。主な登場人物は母と娘の2人。娘は15歳でyoutuberとして「Awakenings」というチャンネルを運営しています。「Awaken」、すなわち目覚めさせるという意味で、環境問題、社会問題について普段は英語で発信している、いわゆる「意識高い系」、わかりやすく言うとグレタさんのようなチ

        梨と芦川さんと私(第167回芥川龍之介賞受賞作「おいしいご飯が食べられますように」を読んで)

        • 第167回芥川賞大予想

        • 読書と浮遊感。 【書評】オン・ザ・プラネット(島口大樹 著)

        • 後半、本編と無関係なことを書いています。 【書評】Schoolgirl (九段理江 著)

          私だって別の生き物になりたい…わけではない。 【書評】我が友、スミス(石田夏穂 著)

          第166回芥川賞の候補作となった、「我が友、スミス」の感想です。 主人公の女性、U野は1年ほど前からジムで筋トレを「なんとなく」続けています。そのジムで出会ったトレーナー、O島に誘われ、約1年後に開催されるボディビル大会に出ることに。その過程で、筋トレを始めることになったきっかけを「運動不足云々と歯切れ悪く答え」ていたU野ですが、それがやがて明確になるのです。 そこから、U野の生活はどんどん変わります。髪をのばしはじめ、午後3時になると会社の給湯室でプロテインを飲む。週7

          私だって別の生き物になりたい…わけではない。 【書評】我が友、スミス(石田夏穂 著)

          私もこんな男に会いたいぞ。 【書評】皆のあらばしり (乗代雄介 著)

          こんにちは。前回、「ブラックボックス」(砂川文次 著)の書評(というか感想文)を書いたところ(あくまでも、私にしてはですが)多くの「スキ」を頂けたので、いたくご機嫌になりました。感想をTwitterのDMでくれた方もおり、反応があること自体嬉しいものなのだな、と実感しております。 調子に乗ってということではありませんが、第166回芥川賞の候補作となった「皆のあらばしり」の感想を書いてみたいと思います。 そもそも「皆」だとか、「あらばしり」とは何なのよ、という疑問はあります

          私もこんな男に会いたいぞ。 【書評】皆のあらばしり (乗代雄介 著)

          「ちゃんとする」って何なんでしょうね。/【書評】ブラックボックス (砂川文次 著)

          先日(2022年1月19日)、第166回芥川賞受賞作が発表されました。なんとはなしに「芥川賞・直木賞は押さえておかなくては」と思っていても、ずるずると読まないままになってしまうことも(特に芥川賞受賞作の場合は)多々あるのですが、今回はタイムリーに読むことができました。 主人公のサクマは職を転々とし、今は歩合制の自転車メッセンジャーとして働く28歳。物語の冒頭は、メッセンジャーとして勤務中、単独事故を起こすところから始まります。何か将来に希望があるわけでもない、とりあえずは若

          「ちゃんとする」って何なんでしょうね。/【書評】ブラックボックス (砂川文次 著)

          メモ:手帳の引継ぎ式

          21年の年末に以下のようなツイートをした。 で、なかなかの作品だったのでnoteに感想をアップしようと思ったのだけど、書けない・・・!そもそも読みながら何を思っていたんだっけ、とか、どういう内容で精魂尽き果てたのか、うまく文章にならない。こんな大作を「面白い」でまとめてしまってはいけない、という謎すぎる思いのまま結局下書きのままですよ。 noteに書けないことよりも、こんなにも心震えるものを体験したのに、それをうまくアウトプットできないことにショックを受けてしまったのです

          メモ:手帳の引継ぎ式

          第三十三回文学フリマ東京(21/11/23)成果物報告①(桃鞜2021秋号)

          文学フリマ訪問 こんにちは。少し前の出来事ですが、21年11月23日(火・祝)に開催された第三十三回文学フリマ東京に行って来ました。半年前に東京で開催されたのに続き2回目の訪問です。前回訪問した時には、「買おうかなー」と思いつつ、結局買わずに後になって「買っておけばよかったかも・・・?」と思うものも多かったので、「なにかしら引っ掛かったものは買う」という方針で臨みました。 事前にチェックしていた「こもれび」と「桃鞜」以外はすべて「引っ掛かった」もののはずだけど、1週間以上経

          第三十三回文学フリマ東京(21/11/23)成果物報告①(桃鞜2021秋号)

          【書評】逆ソクラテス(伊坂幸太郎 著)

          こんにちは。こちらの本を読んだので感想をつらつらと書いてみます。 子供たちが主人公となる5つの短編で構成されています。独立した話にはなっていますが、共通の先生(これは作者の恩師の名前を借りたそうです)がいたり、ラストシーンでは別の短編とのつながりをほんのりと感じさせてくれたりもします。 そして、書籍のタイトルの「逆ソクラテス」。これはソクラテスが唱えた「無知の知(自分は何も知らないことを、知っているという態度)」に対して、(先述した共通して出てくる先生とは別の)先生が「劣

          【書評】逆ソクラテス(伊坂幸太郎 著)

          京都・私設図書館訪問記

          1.仕事を休むことになった2021年。始まると当時に仕事が山のようにふって来た。 といっても、12月決算の会社の経理部で働く身としては想定内のことではある。また、会社は違えど同じようなことをしてきたという自負はあれど、決算が終わってもやれ基幹システム導入、やれメンバーが退職代行を使ってある日突然退職する(あれってなんの前触れもなく連絡だけ来るんだよな・・・)など、気が付けば法定労働時間ギリギリまで働く生活。週末に1回ジムに行ければまだマシ。エニタイムフィットネスの月会費をど

          京都・私設図書館訪問記