書評:内村鑑三『代表的日本人』
西洋的価値に暁通した文化人が選んだ日本人とは?
内村鑑三『代表的日本人』は、明治期のキリスト教徒として名高い内村鑑三が、日本の歴史上の偉人を諸外国、就中西欧列強に向けて紹介せんとして著したものである。
現代でも多くの読者を魅了して止まない名著であり、読まれたことのある方も多いのではないだろうか。かく言う私にとっても、本著は座右の書の1つに数えられる。
自身の怠惰や環境の不幸に耐えかねるような弱気に襲われた時には、幾度となく読み返し、内村の目を通して映じられる日本の偉人達の生き様に触れることで、自身を奮い立たせてきた。
さて、内村が本著にて選定した日本の偉人は以下の5名になります。
■西郷隆盛
■上杉鷹山
■二宮尊徳
■中江藤樹
■日蓮上人
いずれも、仁徳を重んじ、徳を以って人々を感化し、歴史に変革をもたらした大人物だ。
個人的な認識かもしれないが、前四者に関しては様々な伝記等も存在し、比較的よく知られる人物ではなかろうかと思う。
しかし日蓮については、皆様いかがでしょうか。
キリスト教信者で知られる内村鑑三が日本の仏教の宗祖を評価しているという構図がまず興味深いのだが、その人物・生き様については私の知る限りあまり他書ではお目にかかれず、本著はその点においても大変貴重ではないだろうか。
また、歴史上の人物とは言え宗教家を偉人視するという風潮は、現代日本では退行傾向にあるのではなかろうかと感じる部分もある
そうした意味において、宗教家が評された文献として本著に触れるのも面白いだろう。
日蓮という人物は一般に、独立不羈で反権力な人物として知られるが、本著ではそうした彼の剛の側面のみならず、彼の柔の側面もバランス良く紹介している。
改めて、いずれの人物も一流が一流を評価する際に漏れず、我々日本人がいただく歴史上の先人として、学び多きことは言わずものがな、日本人が連綿と護り育ててきた1つの価値観の体現者達でもあり、未来に向けて我々がこれからも立ち返ることのできる価値基準の依代ととして、益々その魅力は増していくのではないかと信じて止まない。
読了難易度:★★☆☆☆
日本的仁徳感得度:★★★★★
各人の人物と生き様要点度:★★★★☆
トータルオススメ度:★★★★★
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