KING王の読書遍歴

40代の男性サラリーマンです。 主に古典文学や専門書を好んで読みます。 これまで読んで…

KING王の読書遍歴

40代の男性サラリーマンです。 主に古典文学や専門書を好んで読みます。 これまで読んできた4000冊以上の書籍から厳選したオススメを幅広く紹介していきます!

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【宣伝】著作が紙媒体で読めるように

昨年12月に、Amazonの「Kindle Direct Publishing(KDP)」というサービスを利用し、電子書籍『現代に生きる世界文学10選』という初著作を出版しました。 この度KDPのサービス追加により、電子書籍のみならずペーパーバック版、つまり紙媒体の本としても出版できるようになりました。 自分が著した本が製本されたものを是非手にしたいという私自身の願望から、早速手続きをし、自分で購入して手元に届いたのが写真です。 内容は電子書籍とほぼ同じなのですが、電子

    • 書評:三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか』

      神への漸近としての物理学通史今回ご紹介するのは、三田一郎『科学者はなぜ神を信じるのか』という著作。 本著は自然科学、特に我々のこの世界を普く貫く法則の解明に心血を注ぐ古今の物理学者達の多くが、神(多分にキリスト教的な一神(絶対者))の存在を信じてきたという事実に注目し、その所以を主要な科学者にフォーカスしながら探っていく、という内容となっている。 何故科学者が神?宗教? そんな素朴な疑問に答えてみようというのが本著の目指すところだ。 何よりもまず、本著では古今の主要な物

      • 書評:『人材育成・人事の教科書』

        現代における潜在能力を定義した興味深い論文 今回紹介するのは『人材育成・人事の教科書』という書籍。 本書は月刊誌『Harvard Business Review』に過去掲載された人事関連の論文11本を1冊にまとめた書籍であり、中でも今回特に紹介したいのは本書の最後に掲載された「人材は潜在能力で見極める」というタイトルの論文だ。 論文の大意を要約すると、 「現代のような変化の激しい時代においては、変化に対応し未知との遭遇にも怯まないような「潜在能力」を備えた人材を登用す

        • 書評:童門冬二『小説 上杉鷹山』

          徳を以て治むるとは?今回ご紹介するのは、童門冬二『小説 上杉鷹山』という伝記小説。 上杉鷹山は江戸中期に財政破綻の危機に瀕した米沢藩の再建を成した偉大な藩主として知られる人物。 明治期に内村鑑三が『代表的日本人』の中で、偉大な日本人の1人として取り上げ功績を讃えた人物でもある。 *内村鑑三『代表的日本人』は過去投稿にて紹介済。 *かつてジョン・F・ケネディは、日本人記者を相手にした記者会見で「尊敬する日本人はいるか?」との質問に鷹山の名を挙げたという。 私にとって本作は

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          書評:ホール・ケイン『永遠の都』

          世界文学と呼ばれるべき大衆小説 〜ロマンス、人間共和の凱歌、誇りと恥辱、そして生命〜今回ご紹介するのは、イギリスの小説であるホール・ケイン『永遠の都』という作品だ。 この作品についてであるが、ネットで検索しても「ホール・ケイン」も「永遠の都」もWikipediaにすら出てこない。 本作は20世紀初頭のいわゆる大衆小説で、当時イギリスでは人気作だったのであるが、未だ世界文学の一角として認められるには至っていないというポジションにあるという。 ところで、本作をネットで調べると

          書評:ホール・ケイン『永遠の都』

          書評:岩田温『「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義』

          知性主義的な「リベラル」を求めて今回ご紹介するのは、岩田温『「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義』という著作。 リベラルとは本来、「政治的リベラリズム」という思想的系譜から導かれる政治的立場を意味する。 それは、保守主義の立場ではカバーすることができなくなったような新たな「人権的価値」、特に社会的弱者のそれをより積極的に保護していくための政策や対策、手段の行使の重要性を訴えることを特徴とするものである。 このことからわかるように、本来保守とリベラル、就中保守に

          書評:岩田温『「リベラル」という病 奇怪すぎる日本型反知性主義』

          書評:佐藤優『生き抜くためのドストエフスキー入門 「五大長編」集中講義』

          類い稀なるパーソナリティが読むドストエフスキー今回ご紹介するのは、佐藤優『生き抜くためのドストエフスキー入門』という最近の著作。 佐藤氏はもはや説明不要な有名文筆家であるが、彼がドストエフスキーを語ることの魅力についていくつか紹介したいと思う。 著者自身は本著の中で、ドストエフスキー読みとして自身が特有の視座を有する理由を3点挙げている。 ①キリスト教信仰および神学のバックグラウンド ②外交官時代のロシア在住経験(8年弱)で培われたロシアに生きることの肌感覚 ③拘置所生

          書評:佐藤優『生き抜くためのドストエフスキー入門 「五大長編」集中講義』

          漫画:及川由美『オーダーメイド殺人クラブ』(原作:辻村深月)

          「くだらなさ」が世界の全てだった中学2年という時のリアル昨年4月にインスタグラムを始めて沢山の読書アカウントの方の投稿を拝見する中で、辻村深月さんの『オーダーメイド殺人クラブ』という作品を幾度となく目にしてきた。 私は、当作の漫画版を読んだことがあったのであるが、実はインスタで見かけるまで原作があることを知らなかった。 漫画版にたどり着いたのは、漫画の作者及川由美さんの作品を追ってである。 及川さんの作品と出会ったのは、下記の写真にある及川さんによるドストエフスキー『カラ

          漫画:及川由美『オーダーメイド殺人クラブ』(原作:辻村深月)

          随想:紙の本で蔵書する愉楽について

          並ぶ本や積まれた本を眺めるのは読む行為の一部である先日、インスタでお知り合いの方が主催するClubhouseでの読書会に参加させていただいた時のこと。 その会には私も応援する作家の緒真坂さんがゲストで出演されていた。 興味深いお話が沢山あった中で、ひときわ私も共感し、「我が意を得たり!」を膝を打ったお話があった。 それは、緒さんが電子書籍よりも紙の書籍を好む理由に触れられた件でのこと。 (以下、言葉は私なりにアレンジした趣旨になる) 緒さんは、本棚に並ぶ本や積まれた本の背

          随想:紙の本で蔵書する愉楽について

          書評:ダグラス・マレー『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』

          ジャーナリズムの告発と立論の特徴とは今回ご紹介するのは、ダグラス・マレー『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』という著作。 読んだのは2年以上前で、長らく紹介したい本とは全く捉えていなかったのであるが、オリンピック観戦のためてんで進まぬ読書の穴埋めという本音9割と、最近思うところを語る上でのお供になり得るとの考え直し1割で、今回取り上げることとした。 本著のテーマは、「ヨーロッパへの移民・難民の押し寄せや過度の受け入れが、ヨーロッパの治安悪化や社会の解体のみなら

          書評:ダグラス・マレー『西洋の自死 移民・アイデンティティ・イスラム』

          随想:「失われない感覚を求めて」なお話

          最近、自分にとって「没入」した文学・小説作品ってどれだったかなぁと振り返ることがあった。 私は文学では圧倒的にドストエフスキーが好きなのだが、ドストエフスキーではなく、読書中本当に没入し、読了後も抜け出せないというよりもむしろ「抜け出したくない、現実に戻りたくない」と後ろ髪を引かれ続けた作品がかつてあった。 それは、マルセル・プルースト『失われた時を求めて』だ。 最近この作品のことを思い出すことがあり、改めて当時の感覚やその際の振る舞いを振り返ってみた。 『失われた時を

          随想:「失われない感覚を求めて」なお話

          書評:篠田英朗『国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」』

          国際政治学の初学者に向けた学びの「準備」として今回ご紹介するのは、篠田英朗『国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」』という著作。 国際政治学の世界にはいくつかの代表的な理論がある。 社会科学、就中国際政治学において理論とは、世界の一つの見方の体系を意味するが、むしろいずれも「一つの見方にしか過ぎない」と敢えて言い切ることが重要だ。 ある理論の立場から世界を見れば世界は◯◯のように見え、また別の理論の立場から世界を見れば世界は△△のように見える、という場合が

          書評:篠田英朗『国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」』

          書評:森鴎外の『知恵袋』(小堀桂一郎 訳・解説)

          他者との接続志向の人生訓今回ご紹介するのは、「森鴎外の『知恵袋』」という著作。 本著は、鴎外による「良識ある振る舞い」に関する考えや助言を集めた、言わば鴎外の箴言集のような著作である。 本の構成は、全500ページ中160ページ程度が鴎外自身による原文、その他はその現代語訳と解説から成っている。 鴎外自身の文章は、古文調から現代語への過渡期にあった、いわゆる「擬古文」と呼ばれる言葉で書かれている。 同じ内容の現代語訳が付されており、「擬古文」が苦手な方は現代語訳だけを読み

          書評:森鴎外の『知恵袋』(小堀桂一郎 訳・解説)

          書評:山下紘加『エラー』

          周囲との関係性は偏務的に成立し得るか?今回は、私にとっては比較的珍しい現代日本の作品のご紹介である。 インスタグラムでお知り合いになることができた作家様、山下紘加さんの最新作、『エラー』である。 本作は紘加さんのデビュー3作目であり、以前の作品『ドール』『クロス』も読ませていただいた。 待望の第3作であったが、今年1月に雑誌発表、5月(だっただろうか?)に単行本化であったにも関わらず読むのが遅くなり、ようやく読むことができた。 さて本作だが、前2作とは打って変わった「フ

          書評:山下紘加『エラー』

          今日の戯言:KING王の『人生の名著二十傑』

          十傑じゃ全然枠が足りないよ編私KING王は、本当に大切な著作を語る時際に、「人生の名著十傑の1つ」という言い方を用いることがよくある。 しかし実は、これまでに一度も自分の中できちんと十傑を明確にしたことなどないのである。 そんなことに思い当たり、一度きちんと明確にしてみようと考えた次第である。 しかしいざ取り組んでみると、十傑ではどうしても枠が足りないのだ。 というわけで、ここは思い切って倍の二十傑とすることで自分を甘やかしながら、明確にしてみることとした。 さて前置き

          今日の戯言:KING王の『人生の名著二十傑』

          書評:サイバーセキュリティと経営戦略研究会『サイバーセキュリティ』

          スキームから考えるサイバーセキュリティ対策今回ご紹介するのは過去学んだビジネス書より、サイバーセキュリティと経営戦略研究会『サイバーセキュリティ』という著作。 日本において企業や組織に対する本格的なサイバー攻撃事件として大々的に報じられた初期の事例は、2016年に発生した「日本年金機構へのサイバー攻撃(標的型攻撃)事件」であったのではないかと思われる。 *:最近でも日本の大手企業グループにおいてランサムウェアに感染する被害が発生した事件がニュースとなっていた。 私は20

          書評:サイバーセキュリティと経営戦略研究会『サイバーセキュリティ』