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物語の主役になるために | 小布施でカフェを始めるまでの話

「なぜカフェをやるのか?」と考えて、はずかしいくらいキラキラしたタイトルをつけてしまいました。しかし、結局はこれが大事だと思うようになりました。

日常がぼやけてしまった時

前の会社に勤めていた時、社内ベンチャーの立ち上げメンバーとして、刺激的な日々を送っていました。技術の専門家や、経営コンサル、一流デザイナーなどなど、いいメンバーも揃い「このメンバーでいい会社になって、ストックオプションももらえて(=けっこう儲かる)…うふふ。」と夢と期待が広がっていました。

ある日、どう新事業を作っていくかのミーティングに参加した時「なんか違うかも」と漠然と、しかし強く感じたことを鮮明に覚えています。そのまま、視界が薄くぼやけてしまいました。1ヶ月後には上司に「やめて長野でカフェをやりたい」伝えていました。

自分の実力が事業に伴っていなかったことや、日々の忙しさに疲れてしまったのもあると思います。しかしそれ以上に、「自分が流されて生きてしまっている」と気づいてしまったのだと思います。

「こちらの世界へようこそ」

会社をやめてどうするか?漠然と「カフェやりたい」という小さな声が自分の中にあることに気づきました。しかし、これまで積み上げた在宅医療のキャリアを捨ててしまうのも、もったいない気もしました。

1人でくすぶっていてもしょうがないので、自分が大好きなカフェ、東北は石巻の「はまぐり堂」を訪ねました。しかも1人ではなく、友人のユウキと2人で。

オーナーの亀山さんとダルさんは、快く私たちを迎えてくれました。そして、「こちらの世界へようこそ」と言いいました。思わず、ユウキと顔を見合わせたのを覚えています。

自分が主役の物語

思えばあの瞬間から、自分のもとに人生が戻ってきたように思います。確かにそれまでも充実していた日々でしたが、どこかで誰かに行く先を任せていたような気がします。「自分で人生の行く先を決める決意」ができたのだと思います。

主役になるのは、「独立した、起業した、社長である」などは、あまり関係ないようです。それよりむしろ、「これで行く」という決意と自己決定にあるのではないかと思います。「この人に先導を任せて、サポートしつつ着いていく!」というのも立派な選択だと思います。会社員時代、私はその決意が出来ていなかったので、ぼやけていたのです。

「これで行く!」の見つけ方

彫刻は石を削って形を作るのではなく、石の中からすでに存在する像を掘り出す作業なのだそうです。私のやってきたことも同じで、ここにないものを作り出すことではなく、すでにあるものを見つめ直していくことでした。

では、私のカフェの役割はなんでしょうか。非常に難しいのですが、5年もかけて考えていて、最近言語化が出来てきたのは「人の流れの中心になるカフェ」という言葉です。

雨の日、気分が晴れない日。カフェの入口近くに座って、コーヒーを飲みながら、なんとなく本を読んでいます。近所の老夫婦、都会からの観光客、常連の農家、学校帰りの学生など。行き交う人達を横目で見たり、帰り際に言葉を交わしているうち、なんとなく雨が止んで日が差してきました。自分も気分がはれやかになって、店長に一言挨拶して、カフェを出る。

こんな感じのお店が出来たら、やっていてよかったと思える気がしています。あとは始めてみるしかないですね。

いよいよ次回から、資金調達・内装・建物などなど、「ハード」のことを書いていこうと思います!

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