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お金について考える その1 「カフェで利益を上げる意味」 | 小布施でカフェを始めるまでの話

私が小布施でカフェを始めるまでの現在進行の話。これまでどんなカフェがいいか、どんなカフェを目指すのかなど観念的なことを語ってきたのですが、いよいよ地に着いて検討をしていかなければいけません。

そう、「お金」の話です。ところが、最初に私が「人の流れの中心になるカフェをやりたい」と思ったとき、どうしてもこの「お金」を避けて考えている事に気づきました。ビジネス、特に飲食店を経営されている方には、至極当然なのですが、まったく抜け落ちていました。

まずは、カフェで「ちょうどいい利益をあげる意味」を考えてみます。次回以降、「お客さんからお金をもらう意味」「始めるお金、つづけるお金」について考えてみます。

カフェでちょうどいい利益をあげる意味

カフェで利益を上げる目的は、自分がお金儲けをして贅沢をするためではありません。継続していくことにあるのだと気づきました。しかも、丁度いい利益を上げることがコツだと考えています。

当初、カフェのメニューを考えるとき「なるべく最高の食器で、最高の食材で…ランチのカレーも、信州牛を使って…。まあお金が目的じゃないし、利益は少なくてもお客さんが喜んでくれれば、それでいいかも。」などと考えていました。


お客さんがカフェで出せる金額

しかし、お客さんが気持ちよくカフェで出せるメニューの金額は限られています。2022年現在の長野県内だと、カフェランチでも1人1100〜1500円くらいがギリギリ…といったところでしょうか。

一般的にはカフェなどの飲食店の直接原価率(= 売上のうち食材などの原料にかかる費用。家賃などの売上に関係なく固定でかかるお金は別途かかる)は30〜40%程度と言われています。つまり、お店の利益が出るには330円〜600円くらいで一人分のランチを準備する必要があります。

どんなに美味しいカレーでも3000円を超えるカレーをカフェに食べには来ませんし、仮に来たとしてもお店に来る目的はすでに「カレーを食べに来る」に変わっています。

逆に、原価を大きく下回って1000円で提供したとして、その先に何が残るのでしょうか。作れば作るほど、お客さんは来るかも知れませんが、働けば働くほど、私の生活が苦しくなります。さらに、店も古くなってきて、新しい設備や椅子などを揃える必要が出てくるかも知れません。そうすると、継続していくモチベーションがとても下がっている姿が目に浮かびます。

大事なのは丁度いい価格帯で丁度いい利益を出すこと

ここで私に大事なのは「1人1100〜1500円くらいの提供価格の中で原価30−40%に抑えつつも、それでも満足してもらうにはどうすればいいか?」ということだと思います。

お客さまの料理や飲物の満足度は、原価や材料だけでお客さんが判断するのではありません。提供する側の接客、店舗の外見、内装、味、盛り付け、こだわり、提供速度など、たくさんの要素が組み合わさってできています。

それ自体はなんでもないコーヒーでも馴染みのマスターから気の利いた一言と一緒に手渡されたり、いい雰囲気のお店で食べるケーキは家で食べるより格別だったりします。

ただ、10円で仕入れただけものをそのまま1000円で売るのは、お客さんがいいと言っても、なんとなく自分が居心地が悪いようです。この辺りのズルさは私の性格では隠しきれず、お客さんも最後にわかってしまうと思います。

お客さんがカフェに期待する価格帯で、店の経営が成り立つ原価率を守りつつ、いかにお客さんが喜んでもらえるメニューを考えて工夫できるか。まさに、ここがカフェの創造性の発揮のしどころなのだと考えています。

次回は「お客さんからお金をもらう意味」を考えてみます。

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