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それでも生きる(11:レジチームが日本一を獲得するまで①)

 2004年、レジの社員が退職をした関係で、自分にレジ部門の仕事が回ってきた。

 当時22歳の自分が、これから自分自身の給与をアップするために、どうやって結果を出したら良いかと考えた。

 例えば、生鮮部門や食品部門など、商品を売って利益を得る部門であれば、「売上金額から、仕入れ金額や経費を差し引いた金額」が利益となり、その利益の金額が数字として算出されるので、仕事の結果を数字でアピールする事ができる。

 一方、レジ部門は何かを売る訳ではないので、結果を数字でアピールするのが難しい。
 何か、数字でアピールできる事はないか、と考えた。

 そこで辿り着いた答えが、「1人あたりの1時間の登録点数の平均値」だった。
 1人が、1時間につき、いくつの商品を登録(スキャン)したのか、その数を意識する事にした。

 スーパーマーケットによって、来店されるお客様の人数は異なるし、売上も異なる。
 規模が大きいスーパーマーケットほど、レジの台数も多いし、レジで働く人数も多い。

 そういった規模が大きいスーパーマーケットに対して、数字が劣らないようにするには、「合計」ではなく「平均値」で勝負しようと思った。

 お客様の混雑時に、レジ打ちの人数が少なければ、常にレジでの商品登録が行われる形となるので「平均値」は上がるかもしれないが、お客様をお待たせしてしまう。

 一方で、閑散時にレジ打ちの人数が多ければ、商品登録をしていないレジ打ちの人が発生するため「平均値」が下がってしまう。

 以上から、「平均値」を上げるには、来店されるお客様の人数を予測して、最適なレジのシフトを組む事が必要となった。

 また、レジ打ちのパートさんやアルバイトさんが、一人一人、商品登録のスピードを速くすれば、「平均値」は上がるが、それは強くは求めないようにした。

 焦って商品を登録しようとすれば、商品の取り扱いが雑になり、お客様が買おうとしていた商品を落として傷つけてしまう恐れもあるし、金銭のやり取りの際も、お金の数え間違いなどミスを誘発する恐れがある。

 スピードを速められそうな人には技術的なアドバイスを行うが、スピードを意識すると焦ってしまいそうな人には、ミスを減らすための確認の手順をアドバイスするようにした。

 1人1人の個性に合わせてアドバイスする内容を変え、1人1人のデータを管理して、どんなアドバイスをしたらどんな効果が生まれるのか分析を行った。

 レジの機械を扱っている業者から、同じ業者のレジを導入しているスーパーマーケットのデータを教えてもらっていたので、一番「平均値」が高いスーパーマーケットの数字に対抗できるように、少しずつ、確実に、全員のレベルアップを図った。

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