FF16で他人の評価やレビューは全くあてにならないという話

今週発売されたFF16、体験版を含めて20時間弱やった感想を書いていくと同時に、そもそも他人の評価を気にしてはいけないということを述べる

カオスで見てられないレビュー界隈

FF16が発売されておよそ3日、体験版が出てから約2週間が経とうとしているが、その短い期間においてもレビューや評価の動画は乱立し、信者とアンチのバトルが開催され非常にカオスになっているように思う。よもやTwitterのサジェストには「FF16 つまらない」だの「FF16 微妙」だの言われ若干かわいそうである。

特にそれを象徴しているのが、例のIGN JAPANのクリア後感想動画だろう。あの動画のコメント欄はまさにカオスといった様相で、「こんなこき下ろすような動画を発売直前に投稿するとはなんと不道徳な!」と怒りの声を上げる民と、「レビューをして何が悪い!むしろ買って後悔する人が減っていいだろう!」という民の戦いや、そもそものレビューの質についての、議論と呼べないレスバが展開されているなど、見るに堪えないさまだ。

ただ、これは発売前から半ば確信していたことだが、このゲームの評価やレビューは全く持って役に立たないことは明らかであるなぜかというと、FF16が人によって全く評価が異なってしまうゲームだからである。先ほどのIGN JAPANの動画のコメントにもあったが、低評価のIGN Jに対して本家のIGNは高評価をしているのだ。これはどちらかが正しいということではなく、遊ぶ人による違いといえるだろう

メインが「ストーリー」であることの弊害

発売前の生放送やメディアへのインタビューから、開発の吉田Pは「とにかくストーリーに力を入れた」「まずはストーリーを楽しんでほしい」と発言しており、このことからFF16で一番のメインコンテンツがストーリーであるということがわかるだろう。

しかしストーリーをメインにしてしまった場合、ストーリーの評価=個々人のストーリーの好き嫌いが本作の評価に直結してしまうのだ。もちろん、ムービーが長いだとかリップシンクがどうのとかいう問題があるが、そこがたとえ大丈夫でも、FF16特有の戦争に塗れたダークな世界観が合わない人からは問答無用で低評価をつけられてしまう。たとえほかの要素が良かったとしても、一番の売りが気に入らなかったらゲーム全体を楽しむことはできないのだ。

ゲームは様々な要素でできているが、ストーリーというのは特に評価が分かれやすいポイントだ。ペルソナシリーズを例にとると、ペルソナ3での仲間との関係はどちらかというと仕事仲間という雰囲気で、人がどんどん無気力になっていくという恐怖的な世界観に合うような、若干ギスギスした関係が続く。一方次回作のペルソナ4では、学友との青春というのが大きく映し出されており、海や夏祭り、文化祭などで仲間たちとエンジョイした姿が描かれている。

ペルソナ3と4は、同じシリーズにして対極ともいえるような雰囲気が漂う作品だが、これらなんかは大きく好き嫌いが分かれるだろう。ペルソナ4から入った人からすれば、終始暗い雰囲気の漂うペルソナ3に微妙な感情を持ってしまう人もいるだろうし、逆に元々真・女神転生から入った人なんかは3の雰囲気が大好きで、4には何となく抵抗感があるという人もいるだろう。

ゲームに限らず漫画やアニメ、小説といった娯楽作品には、その作品特有の雰囲気のあるストーリーが展開されており、その世界観に応じてファン層も変わってくるだろう。だからこそ、レビューにおけるストーリーの項目はそのレビューを書いた人の好き嫌いが反映されているだけになってしまうことが大半であり、購入するための参考資料として全く役に立っていないのである。ダークな世界観が好きな人ががFF16を絶賛する動画を上げても、そのレビューを見て買った人がペルソナ4のような楽しい雰囲気のストーリーが好きだった場合、「なんだこのクソゲー、買うんじゃなかった!」となってしまうのだ。

実際のところどうなのか - FF15との比較

一応自分の感想を述べておくと、ダークな雰囲気に振り切っており、好き嫌い分かれるだろうなぁっていう感想だ。個人的には面白いが、やってて鬱になってしまう人もいるだろう。友人に勧めるとしても、その友人の趣味嗜好が完全に把握できてない場合は勧めることはできない。

ただひとつ大きく評価できるのは、FF15のような明確なストーリー上の問題点が存在しないことだ。FF15のストーリーは好き嫌いとかいうレベル以前の問題で、説明不足・描写不足などの全員が口をそろえてクソというポイントがあった。今作はしっかりと説明されているどころか、アクティブタイムロアという機能で補足を見ることをでき、音楽などと合わせてストーリーを楽しむ最高の環境が用意されているということは間違いない。また、FF15の「急がないとだけどすごい寄り道してます」とか「国滅んだ!やべぇ!→チョコボ見に行きたい^^」みたいな雰囲気台無しなことにはなっていない。その代償としてやりこみ要素が少ないということも言えるが……


戦闘について

上でおおむね言いたいことは言ったので、他の要素についても触れていく。

まず戦闘。これも好き嫌い分かれるだろうが、アクションゲーマーや戦闘をがっつり楽しみたい人は無理かもしれない。というのも、一週目はめっちゃ簡単なのだ。アクション初心者の自分がサポート系の救済リングをつけないでも全然クリアできている。それもポーションをそこまで使わずにだ。体験版では「ポーション持てる量少なっ!」って思ったが、意外とどうにかなっている。敵の行動もやさしめなので、初心者にはいいとは思う一方で、上級者にはまず間違いなく物足りないし、戦闘を楽しみに買ったプレイヤーはぬるい難易度と長いムービーで挫折してしまうだろう。

一応フォローしておくと、派手なエフェクト満載の戦闘はストーリーを引き立てる要素として素晴らしい役割をしている。また初心者の自分にとっては、爽快感や演出の派手さがクセになっているほど楽しんでいる(この辺も好き嫌いが出ると思うが)。加えて、アビリティの組み合わせを考えるのも結構楽しい。このアビリティは範囲攻撃だから雑魚戦用に入れておいて、これはウィルゲージがいっぱい削れるからボス用に入れておいてなど、戦略を考えながらアビリティの編成を考えていくのがかなり楽しい。わりとAPがかつかつなので、使える召喚獣が増えてくるとそこのやりくりが楽しくなってくる。ダメージを計測できるトレモがあるのもよいポイントだ。

サブクエストなどについて

はっきり言ってこのゲームのサブクエストはゴミだと思う。ストーリーを補完する要素であり、前作のようなメインガン無視要素ではないが、あれとは別次元である。

まずシンプルにつまらない。誰が飯を配膳=移動と会話だけのクエストをやりたいと思うのか。しかもこれが最序盤に二回もやってくる。まさにお使いである。加えて移動速度がおっそいのもイライラに拍車をかけている。加えて報酬がしょぼい。タチが悪いのは、中盤以降のクエストの一部の報酬がゲームを快適にするもの(チョコボ開放など)である点だ。やってる間はおもんないのにやらないといけないという。正直二週目は全部スルーでいいんじゃないのかなと思っているほどだ。

さらに救えないのはモブハントだ。リスキーモブは過去のボスや強敵の焼き増しがほとんどで、戦闘での新しい面白さは少ない。加えて場所がマップに明記されず、大まかな場所が書いてある手配書はメニューで確認できないため、スマホでメモるなりスクショするなり攻略を見るなりしないといけない。ジャーナルで手配書は見せてほしい。クエストよりはましだがそれでも報酬はしょぼいので救いようがない。


その他細かい点

そのほかに気になる要素を述べていく。まずは移動速度。これはすぐにでも改善してほしい。特に中盤以降に登場し、頻繁に利用することになる街は非常に広く、クエストマーカーの出てるポイントまで行くのがもうすでにだるい。もっとファストトラベルポイントを増やすとか移動速度を上げるとかできなかったのか。フィールド上のダッシュの仕様も、なぜあんな使いにくいものにしたのか理解不能だ。

次は細かいインプット関連。一番気になるのはクエスト関連のインタラクトだ。なぜ扉を開くのは決定ボタン単押しでいいのに、クエストアイテムへのインタラクトがやや長めの長押しなのか。アビリティの習得のようなものが長押しなのはわかるがどうして……という気持ちでいっぱいだ。また、メニュー画面のLR2ボタンが使いづらいこと、メニューやマップでのカーソル移動速度が遅く感じることなどは非常に気になったポイントだ。

最後はやっぱり暗いということ。特に中盤以降はフィールドすら暗くなるため、見づらいったらありゃしない。モニターとPS5がHDR設定でかつ画面の明るさがMAXの10でもだ。ロード一切なしのジェットコースターのような体験を提供するための処理との兼ね合いなのだろうと推察できるが、もうちょっとどうにかならんかったかなぁと思うところである。


総評

改めてになるが、本作の評価は世界観やストーリーの雰囲気の好き嫌いで評価の大半が決まるため、他人のレビューを参考にするのは全く推奨できない。よってこのレビューも参考にしない方がいいと思っている

そのうえで自分の感想を言うと、神ゲーに届かない良ゲーという感じだと思う。まだファイナルファンタジーチャレンジとかの評価ができないので何とも言えないが、少なくともストーリーや戦闘システム/バランスなどは自分に合っており、これまでのFF史上最高レベルで楽しめている。ただ、ここまでなら神ゲーだったものの、雰囲気がダークすぎて好みが分かれやすいこと、細かいUXの面での欠点が神ゲーに一歩届かせないようなお邪魔要素と化している。

映画が好きだったり長いムービーにも動きがあれば耐えられる人、アクション目当てというよりどちらかと言えばストーリーを楽しみたい人、音楽を楽しみたい人、ダークな世界観が好きな人には、ぜひおすすめしたい逸品だ。

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