見出し画像

花を飾る

家の中に植物があると落ち着く…というのは年を重ねるごとに深まる感情なのだろうか。今でこそホームセンターに行くと植物のコーナーをぐるり一周することをたのしむけれど、子どもの頃は父の園芸趣味の機微がちっともわからなかった。

父は、夏の暑い日も冬の寒い日も、剪定鋏(せんていばさみ)を持ってウロウロ…庭で何時間も過ごしていた。

部屋に花を飾るのが好きだ。

年末年始には母が立派めな花を床の間に活けていたと記憶している。おそらく、それ以外は専ら父が買ってきた鉢植えの花々だったように思う。
ひとり暮らしを始め、生花をよく飾るようになった。
結婚をして急に暇になって野花を摘んで帰ったりもした。
子どもを持って野花をお土産にもらうことも増えた…。

若い頃は花屋で見たままの状態を家で再現するかのように、すこしでも花びらがしなびると、ちぎってポイッしていた。今はどうだろう!

「このしなっとなったところがまたイイ」

なんて、自分のシワシワを容認するが如く枯れ行く花をも愛でているのだ。深い。眉間のシワより深い。

花を摘んできて飾ることもたのしいけれど、ヒトツあちゃーっと思ったことがある。道端に咲いている花は花粉が舞いやすい・花弁が全落ちする…などなど子孫を残すための知恵も相俟ったことが起こる。野性の花ならではだろうと思われる。

10年ほど前、そこかしこに群生しまくっていたナガミヒナゲシを摘んで飾った。数日後、花弁も花芯も全落ちした花瓶まわりがすごいことになっていて絶句した。

花が好きなのは父譲りなのかもしれない…つい最近になってふと思った。ホームセンターで「赤玉土」とか「腐葉土」とか、10㎏は入っているであろう園芸土をひょいっと肩に担いで車に運ぶ父の姿が懐かしい。どうってこともなく見慣れた、でも実はとても好きだったあの姿をもう見ることはない。姉もホームセンターでしばしば寂寥感に襲われると聞いてなんだか涙が出た。

「父と言えばホームセンター」という印象が姉妹共通だったの巻。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?