嫌煙家/詩


煙草吸ってる人が好きなわけじゃないけれど。

好きになった人が煙草吸ってたらその人の副流煙で死にたいと思ってた。

どこかで〝煙草吸ってる時が1番丁寧に息してる〟って聞いたことがあったから。

好きな人の息が見えるってすごいとか、一緒にいる時間が長くなればなるほど私の中にその人の息が染み込むんだって。肺が汚れていくのはその人と居た時間の証だって。

この感覚を話しても分かってくれる人がいなくて、或る意味では誰も分からなくていいって思ってた。なのにいざ自分で煙草を吸ってみたら…。思うほど気にとめてない行為なんだとわかった。

すごく寂しかった。

もう私が好きな人の煙草になりたい。私が居ないと落ち着かないって思ってほしいし、生活に私が住んで染み込んでやめられなくなればいいと思った。

けどそれも違った。煙草もたまに変えたくなる。火のないところに煙は立たないって言うし、煙は見えてもそれを纏った彼は見えなくなっちゃう。

やっぱり煙は好きじゃない。

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