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バンド「恋は魔物」はアラサーの心をえぐり殺す

yonige、hump back、リーガルリリー、FINLANDS。2017〜18年にかけて、ノンフィクションな雰囲気の恋愛ソングを歌う女性ボーカルバンドがバンドシーンの一つとして確立したと思う。

バンド音楽が盛り上がりを見せまくっていた10年代、あの頃青春を過ごしていた世代がアラサーになった。もうライブハウスに通ったりしないけど、まだふんわり青春をこじらせている、現在アラサー世代にバシッとはまったのが、先に挙げたようなガールズバンドたちだったんだと思うんです。

そんなこじれサブカルどもに絶対響くバンドが、ガールズバンドブームのちょっと後ろ側を今走っている。上記ガールズバンドがブスブス刺さるヤツには聴いて欲しい、それが彼女たち。

「恋は魔物」、略してKOIMAMO。いやもはや略さなくてもよくない?

「やさしくて危うくて、絶望的で、恋は魔物です。」
2015年4月、東京にて結成。いづみさとー(vocal&guitar)、田中ひろゆき(chorus&guitar)の2人組ロックバンド。
恋愛にまつわる心の揺れ動きとその機微を歌うことがバンドのテーマ。過去に誰もが一度は経験したであろう恋の切なさ、悲しさ、激しさ、そしてそのドラマの中にある美しさを、聴き手の心に映し出す。

煽り文句がもうね。こじれちゃってるじゃんか。

1月に出した配信限定のシングルEPがapple musicでけっこう主張されていたりしていて、2018年頭角を現してくるのではないか、と密かに期待を抱いているバンド。

恋は魔物は上記したようなガールズバンドの界隈の中でも、より女性に響きやすいバンドかもしれない。

ああ〜MVお散歩女の子系ね、うんうん流行りのね…と思って聴き進めていくと、

あなたは最後の最後に目を見てこう言った
二人出会わなければよかったと
ばかじゃない!

MVの最後、スキップしながら女性が思いっきり男性の頬をビンタ。うわ、なにそれ気持ちいい。このあたり、女性の共感みたいなところをすごく意識している気がする。

このMV、女優や映画監督として活躍中の小川紗良がディレクションを務めているそうな。どうりでという感じ。衣装やカメラワークも女性らしいこだわりを感じる。

こちらは先程とは違った雰囲気のポエトリー調の曲。「yonigeやん」と思う人もいるかもしれないけれど、恋は魔物の歌詞はyonigeが狙う層よりも一世代上まで狙ってってると思うんですね。20代後半〜こじれたまま行っちゃった30代くらいまで。


なんせMVの攻撃性がすごい。結婚意識しつつこじれてってるアラサー女を殺しにかかってるとしか思えない。
ボーカルのいずみさとーさんの声質とか、MVの見せ方なんかもすごく女性的なんだけど、それは同時に「男性的に見て美しい、あの頃の青春の女性像」でもあると思っていて。
だから、プレーヤーとして今でも音楽を続けている男の人にも聴いてほしいバンドだったりする。ソラニン読んで、何はなくとも「うーんエモい」とか思ったことのある男性なら何か思うところがあるんじゃないでしょうか。
女性目線で謳っている曲ばかりなんだけど、女らしい強い母性と、女の子の脆さをどちらも感じる。ひとまず、音楽と西東京ラバーズなら男女問わずどの曲も響くんじゃなかろうか。

加えていずみさんの見た目ってすごく、20代も後半になっても下北沢がマイホーム!なサブカル男子の見た目どストライクって感じするのって女の偏見でしょうか。

いずみさとーさんが個人名義で出している曲もあるんだけど、こちらもまた違った気持ちで聴けておすすめ。「SHISHAMOかわいい〜」とか本気で言えちゃう感じの男性ならいずみさんにも恋できる気がする。

とりあえず、何はなくともくせになる声をしていると思うので、一度騙されたと思って聴いてみて欲しいです。


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