「シャイロックの子供たち」池井戸 潤

「シャイロック」は、東京第一銀行長原支店を舞台に、各章で主人公が変わる短編集のようでありながら、ある事件を発端に長編ミステリとしても読める構成になっている作品です。

登場人物は出世にしか興味がないパワハラ上司、モーレツだがそうなる気はなかった社員、変化の無い日々に疑問を抱えるギャンブラーなど、さまざまな銀行員が描かれています。それぞれの人生模様が生々しく描写され、人間ドラマが意外な展開を見せながら次々と繋がっていきます。

最初は読み進めるのを諦めかけましたが、驚きの展開に引き込まれていきました。人生のターニングポイントやお金の怖さ、銀行の裏側など、読み進むうちにドキドキハラハラが止まらなくなります。終わり方は釈然としない部分もありますが、絶妙な小さな章立てに次々と惹きつけられる面白さがあります。

保身と出世にまみれた銀行の描写にリアリティを感じ、人は見かけによらないという側面も浮かび上がってきます。
全体として人生や仕事を見つめ直させられる内容となっており、おすすめの作品です。

このように読書を通して新しい発見や気づきを得られるのは、人生を豊かにする最高の習慣です。
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