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この世界に線を引くように、ことば

言葉はとっても不自由だ。

言葉を扱う仕事をしていながら、いつもそう思う。

だって、たとえば「君のことがすきだ」と言葉にしてしまったら、相手には「この人は自分のことが好きなんだ」ってことだけが伝わりすぎてしまう。

ちがうのに。その他もろもろのいろいろを含めて、「すき」じゃ足りてないときだってある。

ものを書く仕事をして、言語化することがいくら上手になったって、「この」感情をきちんとあますことなく伝える術は言葉じゃないんだよと思う。

というか、全て伝えきれないことがうつくしいじゃん。

わからないことは尊いし、

その目で、表情で、着てきた服と髪型で
言葉にならないものたちはじゅうぶんに饒舌だ。

そんな風に、言葉以外から勝手に誤解して読み取ってしまう私たち人間は、とっても愛おしい。

相手が何を思っているかわからないまま、それすらも楽しめたら最高。人生って感じ。

だから、枠をつくって切り出すために、言葉はあるんだ、と思ったら、すごく安心した。

すでに素晴らしいこの世界にあえて線を引くように、みんなが同じものを見て同じことを思えるように。

ときとしてそれは、意味のある制限なのかもしれないって思う。

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