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自然史 【詩/現代詩】

一夜が明け
鶴見川の痕跡を
あるいていくと 見たこともない
みみずが
湧いているのである

(僕は
 マックに行くのをやめ
 自然史の過程を
 探査することにした)

この周囲には
ぺんぺん草ばかり生えている
毎日
ウタダを聞きながら通り過ぎていた
この土手沿いの道は
電柱が塞ぐように立っていて
時おり路面が凹んでいる

2000年前の鳥が舞う東の空
その美しい羽と
清楚な嘴が
みみずを咥えている
春一番が吹き
自然史が揺らいだその日
葦の茂る湿地に迷い込んだが
(ラムサール条約は失効している)
垂れ下がる電線から火花が散る
昨夜の雨が泥になる沖積平野
Y市西部の川原は
跡形もなかった

今日も店長は
調理場に洪水を起こしている
未知のハンバーグを増殖させる
有史以前の自然
珈琲の香りが磁気を帯びる

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