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母を尋ねて 【詩】

母を尋ねて
海を越え
山を越え
どれくらい歩いたか

いつまでも
どこまでも
一掴みの雲
レールは錆びついている

風荒ぶ
黄泉比良坂に
ひらひらと
舞い落ちる葉っぱ
昔はここまで
列車が来ていたはず

アジアの奥に
黄色い砂が降り
世界中の
過去に追い抜かれていく
地球の裏側では
革命がはじまっている
夢の欠片の
光になって

遠ざかる
矢のように

ポンチョを着なさい
砂漠は冷える

暗渠へ
溢れ落ちる
真っ赤な水

鎖に繋がれ
水道を下り
やがて海へ
沖へ
隠岐へ
紅い水が続いている

母の痕跡

はるかな海原に
雲は流れる


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