森達也「A3」無料公開について
写真は2014年に、大分県中津市での講演会に森達也さんがいらしたときに、撮っていただいたものだ。ここには映っていないが、IQ18のうちの次郎が、胸のあたりでピースをしている。すると森さんも、隣で小さくピースをしてくださった。言葉のない次郎に協調してくださる姿に、なんて優しい方なのだろうと、思ったものだ。
実は、私は、森さんのことをその講演会の日まで、よく知らなかった。ただ、その講演内容が素晴らしいもので、心に響くものだったから、講演会が終わったあと、もう帰ろうという森さんをつかまえたのだった。SNSなどで広げたいからと、「この子はうちの広告塔なんです」などとわけのわからないことを言って、写真を撮ることと、使うことをお願いして、次郎と並んでもらった。もう、なにがなんだかわからなかったと思う。なのに、森さんの小さなピースが温かく、自分の非礼を許してくださっているようだった。
それから、マスメディアでお見かけするごとに、その信頼感は増していった。浮ついた事件報道を、「本当にそんな捉え方でいいのか?」と、常に冷静に見ている姿は、私にとって「まだ、テレビの中にまっとうな人が居る。」という安心をくれた。最近は、深夜のネット番組でしか見れなくなったけれど。
その森さんが、ご自身の著書「A3」を2019年1月23日から、無料公開された。衝撃だった。私が、いつか有料記事を書きたいなどと、よこしまな、あさましい、愚かな、さもしい思いで登録したnoteに、あの森さんが無料公開している!!襟を正すくらいじゃ足りない、滝にでも打たれにいきたいくらいだ。
そして、感謝した!
私のように、本を買いたくても、買えない人はたくさん居るだろう。そう、これは、私のような貧乏人に差し伸べられた愛の手だ。この手を掴まないわけにはいかない。
無料公開に至る森さんの並々ならぬ思いを、どうか、共有してほしい。そして、読んでほしい。
私は、読み始めて、やはりこれは、買わないといけない本だと思った。
でも、まだ、買えないから、無料で読み進めている。読み終わったら感想をこのnoteで共有して、皆さんにもおすすめしようと思っていた。
「8.記憶」 まで読んで、もう、だめ!!これは、皆さんに知らせたい。皆さんに読んで!と言いたい。と思った。なぜなら、私の目から、鱗がぼろぼろ落ちたから。自分の持っている情報が、いかに、出鱈目だったか、思い知ったから。
地下鉄サリン事件は、次郎の生まれた年だったから、次郎の成長と共に、意識の底にはあった。独身で東京に暮らしていたころには、出入りする場所に、オウムのセミナーの案内や、写真があったし、田舎暮らしを始めてからは、村人に、『オウムじゃないか?』と疑われ迫害される側の人間だと思っていた。だからこそ、必要以上にいい人である素振りにも、力が入ったけれど。
だから、まさか、自分の目に色眼鏡がかかっていたなんて、思いもしなかった。職場で流れるテレビからの情報、病院の待合室で手にした週刊誌の情報。上滑りな情報は、疑問を感じていたけれど、松本智津夫の生い立ちなどは、なんとなく、腑に落ちて、そこで思考停止していた。それどころか、その情報をまことしやかに、職場で話したことすらある。
なんてことだ!!
私も加担していた!
あの忌まわしい、大きなうねりの中に居た。
そう、そして、必要以上に、いい人ぶって今も暮らしている。
怖いからだ。
普段は、いい人に見える村人が、ひとつのきっかけで、手のひらを返したように、迫害する様を、知っているからだ。
でも、今は、知っている。
迫害される側には、小さなピースをした森さんが居る。
だから、大きな声で言いたい!!!
森達也さん「『A3』無料公開にあたって」https://note.mu/morit2y/n/nde972b9f0eac?fbclid=IwAR2rk52-fAGwY6DLKV7B63MVdaoDV9OGTm31Hu31JoCu05FMrx-5Nez1Xg4
を、ぜひ、読んでほしい!
※現在無料公開は終了しています!ありがとうございました。
書くことで、喜ぶ人がいるのなら、書く人になりたかった。子どものころの夢でした。文章にサポートいただけると、励みになります。どうぞ、よろしくお願いします。