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疲れたときにちょっと座るようなかたちってどう考えたらいいですか


ダンボールで椅子をつくる

いま1年生の設計課題で「すわるかたち」をいうのをやってまして、今日はその話を。「すわるかたち」はダンボールを使って1/1サイズのイスをつくり、講評会では教員が座る(壊れると、、OMG)という課題です。構造、材料、身体寸法、意匠などをリアルサイズで学べる課題で、建築学科ではやってるとこもけっこうあるかと。ワイワイとダンボールを刻んでる様子や、講評会での「バキバキ!、、OHH」という瞬間は毎年もり上がります(コロナ禍でしばらくできなかったが、ようやく復活)。

課題と条件

1年生の課題ということで自由度は高く楽しいのですが、一方ではじめて課される制約条件に四苦八苦する様子。

「もっと材料があればいいのに!」
「もっと強い素材だと可能なのに!」

そうなんです。使用するダンボールの型もサイズも量も決まってて、AB段(3mmと5mmの2段になってるもの)の1800×900を2枚です。受け取ると大きいのですが、たとえば全部使ってキューブ状にすると300mm角に満たない大きさになります。
座るにはお尻がはみ出るし膝より低い位置に座面がきて座りづらい。
加えてすぐに折れるし曲がるし、座ることを成立させるだけでも大変な課題です。

それなのに、
シチュエーションを考えそれにフィットするすわるかたちを作りなさい
とさらに高いハードルが設けられます。もう大変!

条件を簡単に整理すると、

①構造…ダンボールの強度
②量…あらかじめ決まってる範囲内
③シチュエーション…かたちと合ってる

の3つで、
①②は与えられるものですが③は自分で設定します。①②は必要条件で③が十分条件みたいなものです(かな)。
条件をなるべく軽くしたい人は③を緩めにかかりますね。
「疲れたときにちょっと座るような、、」という感じで。しかしこの条件にフィットしてるかたちってむずかしくないですか。。
これって座れさえすればどんなかたちでもいけちゃうんです、、(笑)
つまり、条件が緩くなればなるほどかたちを導くのがむずかしく、そういう人に限って「かたちが思い浮かびません」と悩んでいたりします。

かたちを導くヒント

①②③が単なる制約条件に見えているうちは不自由さが気になり、それを嫌って条件から離れていくような姿勢を取っちゃうのですが、①②③は実はかたちを導くためのヒントなんです。なので作品のキーとなってるのは③で、それと①②がどう化学反応を起こすかがポイントになっていきます。「制限があるから〇〇ができない」と発見したとき、それは可能性が狭まったというより、これまで見えていなかった選択肢が具体性をもって浮かび上がってくる瞬間だと捉えてみましょう。

具体的に

いまの状況をまず絵にするとこんな感じです。

③シチュエーションからイメージを出したけど、
ダンボールでつくることを想像するとムリってなった

まずは③シチュエーション「疲れたときにちょっと座れる」を因数分解し、カタチの必要条件を探してみましょう。

最小限で「ココ」の部分があればよいことがわかる

そこから発展させてバリエーションを考えると、

そこから案を分岐させて可能性を探る

さらに、イメージで描いていたものを分析すると、

最初のイメージにこだわらず可能性をさぐる

さらに最小限からバリエーションを増やしていくと、

使い方のバリエーションが増える

最初に思い描いたシチュエーションにはこだわって、でも最初のイメージにこだわらず案をどんどん分岐&発展させていきましょう。
今日はこの辺で。

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