例えるなら宝物みたいなあの夏のこと、覚えてる?

ふと、去年の今頃を思い出した。



初夏。
コンビニで買ったお酒を片手に、あてもなく散歩した真夜中。
夏の夜の匂いが心地良くて、このまま時間が止まれば良いって何度思ったことだろう。

「好き」「愛してる」という言葉は、
なんだか嘘くさく聞こえるようで、私には似合わなくて、
ただ、この優しい瞬間を、心の底から守りたい、と思った。
大切で大切で仕方なかった数ヶ月。

ずっと少年だった君と、物事を知りすぎてしまった私。
交わる可能性は、恐らく低かったはずなのに。
でも確かに、私たちは“二人”だった。
偶然か必然か、そんなことは全くもってどうでも良いけれど、
私たちには私たちしか知らない“二人だけの世界”が存在していたのだ。


刹那的な美しさという言葉が似合いすぎるあの夏は、きっと絶対に戻ってはこないし、この先の未来で遭遇することも恐らく無い。
子どもの頃集めていた、ビーズのブレスレットのような夏だった。

痛みは消えて、でもほんの少し切なさを残したまま、
それらはしばらく私の宝箱の奥底に眠り続けるだろう。


今年も、夏が来るね。


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