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『窓辺で手紙を読む女』に隠されていた画中画

先日東京都美術館で開催されている「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」へ行きました。
美術に詳しくもないただの美術館巡りが好きな人間ですが、記録に残しておきたいと思います。

窓辺で手紙を読む女

本展示の目玉は、ヨハネス・フェルメールの作品『窓辺で手紙を読む女』。
2021年に修復作業が完了し、所蔵美術館以外では初めての公開となるようです。

今回実施されたのは古い絵画を「保存」するための修復作業ではなく、
絵画の「本来の姿」を取り戻すための修復作業でした。

1979年にX線による調査で壁に天使が描かれた画中画が塗りつぶされていることが判明。長年これはフェルメール自身によって行われたものだと考えられてきました。
しかし2017年、重ねられた絵具の下(元々表面に現れていた部分)の劣化具合などから、作者自身が塗りつぶしたと考えるには時間が経過しすぎていました。つまり、フェルメール自身ではなく何者かによって上塗りされてしまったということが明らかになったのです。
それから4年の修復期間を経て、画中画の天使の姿が現れた状態である「本来の姿」に戻ることができました。

画中画が塗りつぶされた元の絵(元は画中画がある状態なので正確には修復前でしょうか)のレプリカと、修復された本作が展示されていました。

気になったこと

作品自体もとても興味深かったのですが、何者かによる塗りつぶしであることが判明してから修復していくまでの過程に何より惹きつけられました。

フェルメールが行ったと思われていたことが、実は別の人間によって行われた事実に気づいた人たちはどんな感覚だったのでしょう。
謎を解いたような感覚だったのでしょうか。ミステリー好きの人間としては、何だかその人たちの物語を知りたいと思いを馳せてしまいました。美術を取り扱った作品で有名な原田マハさんの物語に出てくるんじゃないかという過程のストーリーがとても魅力的でした。


ちなみに自宅に修復前の本作の写真が掲載された本があったのですが、そこに掲載されている同じ作品が今は違う見た目をしているというのは何とも不思議な感覚でした。


#美術館 #東京都美術館 #フェルメール #日記  

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