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【ノスタルジックワードローブ①】ワイドパンツ

洋服の自分史は意外と長い。

ファッション好き、ではなく
洋服好き、だということに気づいたのはまだ最近のこと。
洋服好き、とは言えども
高度なファッショニスタではなく、
着たいものを着るだけの
人には見えないかすかなこだわりの凡人。

こだわりがかすかどころか、
私の存在すらかすかで人には見えてないかも。


長い洋服の自分史のなかで、
ずっと使っているアイテム。
何度も買い替えたり、
出会いがあるたび買い足したり、
くたくたなのになぜかずっと持ち続けている濃厚なセルフヴィンテージ。

とか。

自分史にかかわる洋服について、気になることを綴ってみようと思う。


私が流行を追わなくなったのはいつからだろう。
ふと、考えてみた。


ファッションの流行が、何度も何度も繰り返される歴史を見続けてきて、新しいと古いの基準の見定めがより困難になってきたことも要因のひとつ。

デニムが流行る。
ミニスカートが流行る。
フリルやレースのアイテムも、
ジャケットやシャツがコンサバに、
オーバーサイズのストリートカジュアル、
ヒールの高さがどんどん高くなってみたり、
スニーカーが流行りを強くする、
ハイテクなのかローテクなのか、
アメカジは王道でずっと愛されているけれども、
モードが流行るとダサいと言われ、
ガーリーが流行ると、
モードだって古いと言われ、
古いと言われて廃れたファッションが、改めて新しく生まれたフリをして
我こそは流行だと現れる。


結局、
新しいと古いは永遠に交代を繰り返している。

何度だって繰りかえす。

何度だって。



古いふるい記憶のはしに、
デニムを身につけた自分がいて、
デニムをいっさい身につけない自分もいて、
でもいつの時代も
古いのだか新しいのだか定番だかの決めごとのないところまで到達していて
今もやっぱりそこにある。

それは、例えばデニムという話で、
スカートの丈やパンツの形、
アウターのデザイン、
フードの有り無し、
襟の大きさ、
シューズのカテゴリーから、
パンプスのつま先が尖るかなだらかか、まで。
何にだって同じことが言える。


そんな巡りめぐる時代に
淡々と生き存在し続けていると、
なんだかよくわからなくなるのも事実。
そうすることで、
ファッションから少し離れたところで
客観的にデーゲームを見るように他人事のように。



マイブームという言い方がある。

自分自身の流行だ。
それなら、勝手に流行ればいい。
とても自由。


すきなものを身の回りに集めるだけの生活をしていると、
マイブームに流行が通りかかるときがある。
流行のほうが被せてくるのだ。
あれは、
嬉しくもあり、少し迷惑な話でもある。



私の長きにわたってのブームは、
ワイドパンツ。
これは、とにかく
説明のしようがない決まりであって、もう長く変わっていない。
色んな形を穿くけれども、やっぱりワイドシルエット。
それがもう数十年。


近年のワイドパンツブームも、
私にとっては
向こうの方が寄ってきた感が否めない。
そう感じている方もたくさんいると思う。
ワイドパンツなんて、ずっと穿いてるわー。
と。


UNIQLOさまのタックワイドパンツが、人気爆発で世にあふれ、多くの人の暮らしを支えているみたいだと、あまりに様々な媒体から知らされるけれど。
私は持っていない。
よく似た何かは持っている。

ずっとワイドパンツを愛用している身からすると、
ああ、またきたねこの流れ。
でしかないのだが、ブームがくるとたくさんの種類のアイテムが店頭やネットに並び、多くの選択肢を与えられるから、それはそれでいい。

まず、それは嬉しいこと。


しかしながら、
流行りと廃りは背中あわせ。
流行ると、
必ずと言っていいほど廃る。
いや、廃ってはいなくとも
古いと称される。


好きが理由で身につけているアイテムを古いと言われるのは、あまり気持ちの良いものではない。
流行っても廃ってもないのだよ、
そう感じるものの
誰かに伝える機会などない。

これが、わずかながらの迷惑。


ファッション業界の常である
新しいトレンドは、
クールで魅力的で、
膨大な関心を揺さぶるものではあるけれど、
次のがきたからと前のを放りだしてほしくない。

とか言いながら、
トレンドはそういうものだとわかってもいる。
ずっと
そうやって時代は流れてきたからね。


自分史の中では定番だと、
古くなんてないんだと、
声を大きくして言いたい私。

でも、
身につけているワイドパンツは
物としては間違いなく古いものだ!と
気づいてしまう
本当は時代に従順な自分に
こんなに長々と書いて笑えてしまう。


昔からだいすきなワードローブ。
ノスタルジーな記憶や思い入れのある
特別なアイテムは、
こうして言葉に起こすだけで
わくわくしてしまうような
愛すべき
ノスタルジックワードローブだということに違いはない。


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