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光と影の向こうに佇む人とは・・・

ある季節になると
いつも
光を受けてくぐる道
それは地下道で
その上を
列車が通るのか
カンカン・・・という音がする
それは
外で鳴っているモノなのに
この空洞に鳴り響く
私は
その音源を確かめたくて
自分も
ほんの小さく
「アッ」と囁いてみる

その小ささに反して
グワンワンワーンと鳴った
響きの大きさに
少し驚く
私は
「アッ・・・」と言ったはずなのに
違う音で
耳に入ってくるのは
何故?
何かと何かの合成音?

一歩進むごとに
違う声を出してみる
まるで
誰かに
語りかけるように
そして
思わず手を
延ばしてしまった

さっきまで一緒にいた人は
どこへ行ってしまったの?
出口の先の
お寺の参道の坂道を
もう
上り始めましたか?
そこは石畳ですよ
歩くと
それを感じるはずです

私はまだ
光が閉ざされた空洞の中にいて
取り残された少しばかりの恐ろしさと
自分が発した声の重音のおもしろさを
感じている
ああ・・・誰かに伝えたいのに

光と影が織りなす現所(ここ)から
延ばした手の先には
光が見えて
佇む人がいる
私がいないことに気づきましたか?
行き過ぎて
戻ってきましたか?

光と影の向こうに佇む人とは
それは
「希望(のぞみ)」

待ってくれている人がいる
そう信じたいから
あえて
影を感じながら
光を見ようとする

未曾有を求めて・・・









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