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陶磁器修復技術者への道5

先日メルカリで、課題用に縁のかけたロックグラスを3000円で購入しました。
この技術はグラスにも応用できます。

メルカリやヤフオクでは割れているなどのジャンク品がよく出品されています。この技術の勉強を始めた頃は、課題にできそうなものを探しに骨董市へよく出向きました。
でも骨董市は運が良ければ、良いものに出会えるというところなので、なかなか上手いようにはいきません。

メルカリを利用するようになってからは自分が求めるものが意外と見つかるので、とても助かっています。

ガラスの修復に取り組むのは初めてです。
どのくらいの技術が要求されるのか分かりません。
限界点は陶磁器に比べるとかなり低いのではと思っています。

パリンと割れてしまっているもの、大きなヒビが入っているものなどについては、見た目がどこまで許せるか、クリスタルであればそのグラスの音色がどのくらい変わるのかなど、不安要素はいくつかありますが、チップ程度の小さな欠けであれば、その後使っていても十分に、その価値を味わうことができて、そして氷があたる音色を楽しむこともできるのかな?と考えています。

私はお酒は飲まないので、麦茶ですけど。

商品が到着して、修復が始まったら、ちょこちょこご紹介していきたいな、と思います。



今修復中のリアドロのアヒル。
前回くちばしを接着しましたが、ここをさらに保全します。

綺麗についていますが、つけた部分との境になるヒビは残っています。どんなにピタリとつけても、ヒビのラインは消すことができません。
そこで、この部分をクチバシと同じ色の樹脂を作って埋めていく作業をします。

顔料はいろんな色がありますが、基本は色の三原色と白だけを使ってその色に作っていきます。

今回のこのクチバシは、第一印象の見た目は「ピンク色」
でもその概念だけで色を作ると、全く違う色になってしまいます。色は少しずつ状況を見ながら合わせていきます。

右側は赤を入れ過ぎてしまったのですごいピンク色になりましたが、そこから修正して、左側の色を作りました。ここで見ると、大丈夫かな?と言う感じですが、実際にヒビに乗せて埋めていくとちょうどいいみたいです。


ほぼ同じ色にしないと、濃くても薄くても、うっすらとラインが残ってしまうのでとてもデリケートな作業です。

この樹脂が硬化したら、余計な部分を磨いて綺麗にしていきます。

ところで。

最近はどうしてだか、近くが見えにくくなってきているのです。
メガネをかけていても、こうした細かい作業は、もう、ちょっと無理なんです。

さてさて、なぜでしょうね(°▽°)


そこで秘密兵器を買いました!

スタンド式のルーペ。
針の穴に糸を通すために売っていたものですが、これ、なかなか使えます。
時計の修理屋さんみたい!



こうして接着したものは、それで終わりではなく、その境となる部分を陶磁器と同じ色の樹脂を作って埋めていくことで再現率が格段に上がるのです。

真二つに割れていたロイヤルコペンハーゲンの器も、薄くライン状に残った割れ目を保全した後、目立って小さくかけている部分も埋めていきます。

ココね。

これを。

埋めました。

ここも硬化した後に磨くと、何にもわからなくなります。

この技術は根気が入ります。でも同じ色を作ったり、磨いたり、削ったり、小さいところまで細かく丁寧に作業をすることで元通りに習っていくんです。


ただ一つ。この技術の残念な所は熱には弱いと言うこと。

なので、この器も熱いスープなどを入れるとまた割れてしまうので、元に戻った後は、小物を入れとか、フルーツを入れるとか、お菓子を入れるとか、飾るとか?
そんな風に使っていけたらなと思います。



では、引き続きまた頑張ります。


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