治験参加のお悩み相談をして主治医問題もアウフヘーベンした・・・と思ったら,そう甘いものではなかった

作業に取り掛かる前に
昨日のことを反芻してしまうので書いてしまおう

昨日は主治医に会えた
わたしのほんとの主治医っていうか
本命っていうか親代わりっていうか
がん治療に関するボスっていうか
まあ自分にとってそういう存在

わからないことはこの人に相談したいし
この人に頑張ってるねってほめてもらいたい
この人に会うと安心する

私はなんでこうなったのかしらないけど
危機状態では、太い愛着対象を見つけて頼って生きていくシステムになっているようで
でも、全然誰でもいいわけではないので
治療の最初にこういう人に出会えたことと
このような関係を育ててくれたことに感謝している

経緯としては、一昨日、治験コーディネーターさんから、
治験開始までには「LH-RHアゴニスト(性腺刺激ホルモン作用薬?私の場合は女性ホルモンの生成をストップするための薬)」も開始してもらわないといけない、との追加情報があって

私、その注射、できれば避けたいと思っていたから、これまで外来で
抗がん剤ですでに生理が止まってること伝えて
血液検査してもらって、エストロゲン数値とエストロゲン出す指令の数値を調べてもらって、いったん「今はいいか」ってことにしてもらってたんだよね

いま外来を担当してくれているもう一人の主治医は
「いつかはやらないといけないと思うよ」と言いつつ私の希望をきいて、数値を調べて「今はじゃあ、やらなくていい」って言ってくれてたんだけど
「標準治療に沿った判断としては、本当は今やるのがいい」って、たぶん、薄々分かってたんだよね私も

だけど、それはそれとして、先延ばしにするのは許容されてたわけだから,
この治験のタイミングで急いで始めるっていうのがなんか、みじめに思えてきたというか、待合のベンチで、「この注射も追加ね!」って言われて、自分で副作用読んでるとさ

なんかね、例えると
「あなた、もう5発殴られてるから、もう1発追加してもいいでしょ?!伝え忘れてたけど、もう1発、腹を殴るからよろしくね」って言われてるみたいな感じがするんだよ
(治験コーディネーターさんはいい人だし、コミュニケーション力も高いし説明もわかりやすくて助かってるんだけど、それとは関係なく、この状況を受けて、私の気持ちがこうなったということです)

それで、前回の外来のとき、同意書にサインした状況も、思い出したんだ

その日は外来担当医の他に、新任の医師か?見学みたいな人が私に何の挨拶もなく座って診察を見学している上に、治験コーディネーターさんも来て、なんかざわざわしたまま、何も質問できずに、「同意の紙持ってきましたか?」「じゃあハイここに名前書いてください」みたいな感じでサインしたわけ。

インフォームドコンセント、私も自分が疫学調査を行うときに、参加者さんに説明して、書面で同意もらうけど

自分が説明する立場なら,
もっとプライベートな静かな場を用意するし、かならず、何か質問はありませんか。これに署名してからも、いつでもやめることもできます。みたいなことは、再度しっかり伝えるよね。

あの、でも私が署名した時は,外来のついで、なんていうかタイとかマレーシアとかのストリートの屋台で知らない客と顔見知りの客もいるところで、ちゃちゃっとサインしてくれよ、って感じでサインしたような気がしたんだよね。

ワーワー音がしてて、何か質問はある?って主治医にも聞かれなくて、ただ書いたんだよね。他の人がいなければ、 何か自分から質問してたかもしれないけど,なんかできなかった。

あのとき、うっすら感じて、でも自覚してなかったけど
私にとっては大きな決断であるこの治験参加への同意にあたり、
わたしは、みじめな気持ちを味わっていたらしい。

そのみじめな気持ちに、LH-RHアゴニストを急ぐ件を立ち話で追加されてから気がついたんだ。それで

(ああ、だめだ私、みじめになっちゃったら続けられないよ)

と思って、すごく悩みだしたの
仕事、しようと思っても、頭の中で、(どうしたらいいんだろう)
(やらなきゃいけないってのは自分で自分を説得しなきゃいけないかな)
(外来の担当医に説明してもらっても、たぶん納得しないだろうな)
って思って、仕事がはかどらなくなった。

治験コーディネーターさんから別件で電話かかってきたので、
そのときに
(LH-RHアゴニストの開始という条件が急に追加されて、ちょっとどうしたらいいかなって思ってる)

って伝えた。

ここからの治療、7年間の長い付き合いになるから

私の目的は、仕事も治療もちゃんと続けることだから

そのためにどうしたらいいか。ってこと考えた。
そのためには、私の気持ち、みじめとか、不安とか、そういったネガティブな気持ちを無視してはいけない。(どこかで不具合を抱えきれなくなりそうだから)

それで、よく考えて、やっぱり
私のがん治療のボスに話してもらうのが一番いいんじゃないかと
それも電話じゃなくて、会いにいくのがいいんじゃないかと思って
それは、ずうずうしいお願いなのかもしれないけど
自分がこんな風に意思決定に迷ったときは、
これまでも、助けてもらってきたから
たぶん、今回も助かると思うと伝えた

でも、こんなに迷う人、そもそも治験に向かないんじゃないですか?ときいたら
コーディネーターさんは、一瞬口ごもったが
今、参加者さんに考えて決めてもらうという過程で
ゆきもりさんは、よく理解したうえで
ちゃんと考えてくださっているということなので、
よいと思いますというようなことを、
少し焦りながら言葉を選びながらという感じで言ってくれた
(正直なコミュニケーションをしてくれているように感じた。こういうことに関しては、なめらかなのが敏腕なのではない、自分の役割を念頭におきながら、こちらのポイントオブビューも理解しようととして、共に苦しんで、しかし迅速にアイデアを出してくれる人が敏腕なのだ)

その後、結論から言うと、
私はわたしのがん治療のボスに会いに行って、話をきいてもらった
色々質問して、よくわかったし
というか、疑問についての多くは、行く前に
準備するために治験資料と治療ガイドラインを読み込んだため
もう、ほとんど解決していたんだけど

つまりその場でわかったというよりも、
わたしが、こんなふうに、頭では分かるけど分からない状態に陥るということ
そのような私の状態をわかってもらってるということと、
そうなるときに先生に頼ることを許容してくれているということ、
つまりこれは、結局私の治療を応援してくれているのだということが判って、落ち着いた

たくさん話したけど内容はいったん書かないでおく。
なんか、書いちゃうのがもったいないんだ。

なんせ、ここ数カ月、私がひそかに悩んでいた主治医問題は、「おとうさんとおかあさんのどっちか選びなさい」っていわれてるみたいで、選ぶとかできなくていつも「わかんない」って答えてたんだけど、そのことでこの、ボスの主治医にはあえなくなってたので、ずっと苦しかったんだけど、

それは今回のLH-RHアゴニストの件を通じて、昨日の面会でアウフヘーベンした。どっちか選ばなくてよくなった。きれいなアウフヘーベンだった。
(…と思ったら,そう甘くはなかった,このあとまた,ひとりでかなり苦しむことになった,これはまたどこかで書いてみる)

私はこれからまた,下痢して禿げる薬をのまなきゃいけないけど
(こうして書くとなんて最悪な薬なんだ!)、
それは私の自由というか責任で選択することだ
にもかかわらず,みんな自分のポイント・オブ・ビューから応援してくれているんだということ、
それがボスの主治医の面談でわかって安心した。

医者はちゃんと患者のことが好きです。
大丈夫。ゆきもりさんは愛されています。

これは、私が手術後に精神的につらい状況にいたとき、悩み相談したNさんが言ってくれた言葉(Nさんはお母さんがお医者さんだったそうだ。だからきっと、お母さんのことをそんな風に観察していたんだと思う。)。
この言葉は、患者として認知が歪みがちになったとき、医師を信頼する姿勢を思い出させてくれる。私は何度も、そうだまた信頼からはじめてみよう、と思いなおしてきた。

今日も、ほとんどつぶやきのようなメモを書きつけている状況ではあるが
ほどきつつ拾い合う関係だっけ
ケアをひらく、で読んだ言葉、関係を育てるという意味での発達を
私は、今回のがん治療から、経験しているように思う

当事者研究的には、こういうつぶやきメモが、あとで振り返ると何かの役に立つように思ってて、書いてるんだよね

なにより、昨日の面談では
先生にずっと言いたかったお礼がちゃんと言えて、良かったと思ってる。

また、自分も自分の仕事で疫学研究への参加者リクルートに携わっているので、治験の意思決定過程は一つのアクティビティとして、これまた大変貴重な体験になっている、という別視点もある。

まとまりがないけど、今日のメモ日記はひとまずこれで終わりにする。

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