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【気ままな読書日記】たまにはこういうのも。

前回、祖父に絡めて記事を書いてるうちに、チョット戦争映画を観てみたくなった。
『人間魚雷出撃す』。
人間魚雷とはもちろん回天のことだ。

第二次大戦時、まだコドモだった祖母(こっちは母方)は、学徒動員で地元の海軍工廠へ通っていた。

海軍工廠(かいぐんこうしょう)とは、艦船航空機、各種兵器弾薬などを開発・製造する大日本帝国海軍直営の軍需工場(工廠)。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ここの海軍工廠にはセットで回天の基地もくっついており、きっとそういうのがバレバレだったのだろう。終戦前日の8/14にB29のキョーレツな爆撃を受けて祖母の通った工廠は基地もろとも粉々に破壊されてしまった。
工廠の地下豪へ避難したか、外の防空壕へ逃れたかが生死を分けたそう。外へ逃げた祖母は九死に一生を得た。

『人間魚雷出撃す』は1956年の映画で、出演は石原裕次郎さん、長門裕之さんら。(⚠️ 以下ネタバレあり)

潜水艦伊号に乗船した特攻隊員は4名。
うち2名は早々に出撃して海原に散った。しかし残りの2名は回天の故障やらなんやらで肩透かしを食らい続ける。すると、長門さん演じる今西青年の精神状態が徐々に悪くなってゆくのだ。
あからさまなヤル気と、「行かせてくれッ、もう出撃させてくれえええッッ(泣)」がセットになった苦悩。

『欲しがりません勝つまでは』
『鬼畜米英』
『一億玉砕』

ハタから見ると当時の雰囲気って凄く不気味だし、正直チョット理解できないな~と思ってた。だけど、映画を観てたらなんとなくーーー

「お国のため、見事に散ってみせますううッ!!」とか叫んでないと、やってらんなかったんじゃないかなって。無理にでも己を鼓舞して気分を上げていかないと、恐怖に圧し潰されてしまいそう。

作中に裕次郎さんのこんなセリフがある。

「私は学生時代にスポーツをやってたんですけど、こういうこと(特攻)は戦いの邪道だと思うんですよ。
しかし、もうしなければないらないと思うようになりましたよ」

あの時代の人たちが特別おかしかったわけじゃない。
波に飲まれて逃れられなかっただけだ。たぶん。

裕次郎&裕之は伊号の危機を救うため、壊れた回天に乗り込み敵駆逐艦に突っ込んでゆく。
仲間を守るために命を散らしたふたり。
絶体絶命のピンチの中、決意に満ちた彼らの笑顔は、最後の最後にとっても晴れやかだった(肯定はしちゃいけないんだろうけど)。

***

あとは、そうだな~~。
劇中に登場するささやかな娯楽の数々が印象的だった。
本、将棋、音楽、お酒、歌。
なかでもお酒の量と種類の豊富さに少し笑ってしまった。

乗組員たちは事あるごとに酒を飲む。重要な乾杯はだいたいお酒だ。
ラスト、沈没の危機に見舞われて膝まで水がきちゃってる時にも、ビールらしき酒瓶がガーッと乗員たちに配られてゆく。
オイオイ、今そんなコトしてる場合かっ!? て思ったけれど、すぐに考えを改めた。
そうだそうだ。こんな時こそ瓶ビール。
どうせ沈むなら持ってきたぶん全部飲んでから死にたいじゃないか。

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