（前回の続き）
深圳の空港で、財布をうっかり上海行きのバックに入れたまま送ってしまったわたし。
香港・マカオでは大陸で普及しているスマホ決済が使えないため、知り合いの中国人社長に500香港ドル（1万円）だけ両替してもらい、無謀にも、500香港ドル1枚を握りしめて、2023年度世界の物価が高い都市ランキング第2位の香港に乗り込んだ。

香港・マカオを脱出するまでの必要経費まとめ

ごく限られた資金だ。
使い道は明らかにしておこう。

1️⃣深圳口岸〜香港尖沙咀までの移動（バス）
→ネット決済でバス代支払い済み
〜香港観光〜
2️⃣香港尖沙咀〜香港口岸までの移動（44km）
→交通手段未定、未払い
※ネット予約・決済できない
3️⃣香港口岸〜マカオ口岸までの移動（バス）
→ネット決済でバス代支払い済み
4️⃣マカオ口岸〜市内のホテルまでの移動（11km）→交通手段未定、未払い
※ネット予約・決済できない
5️⃣ホテル代→ネット決済済み
〜マカオ観光〜
6️⃣ホテルの近く〜珠海までの移動（バス）
→ネット決済でバス代支払い済み
7️⃣食事代
8️⃣観光代
9️⃣カジノ代

2️⃣、4️⃣、7️⃣〜9️⃣を500香港ドル（1万円）でやっつけないといけないのである。

香港に到着

とりあえず、香港に到着。
すると、娘のベビ子から久しぶりにLINEが入った。

大学で法学部に通いながら、単位を落としまくり、さらにフリーでデザインのアルバイトを始めたベビ子に小言を言ってから、無視されて気づけばもう1か月が経っていた。

デザインの作業で、トリムマークの付け方がわからないから「たすけて！」というのである。
母をさんざん無視しておいて、困ったらお願いだけしてくるなんて調子のいい話だし、今「たすけて！」欲しいのはこちらの方だ。

…しかし、一人娘に相手にされないのは寂しいことなので、近くのカフェに入って助けてあげることにした。

いきなり目減りした。
「ご利用は計画的に」を意識すべきだった。

作業を終えて香港の名所の一つ、ヴィクトリアハーバーを眺める。
去年来た時は快晴だった港も、今日はわたしの先行きを案じるかのように不吉な曇り空だ。

「もう、マカオに移動しよう」
わたしは香港の観光を30分足らずで諦め、そう思った。
たぶん、その根底には英語を話せないコンプレックスがある。

で、2️⃣香港尖沙咀〜香港口岸まで移動（44km）
しようと思い、タクシー代を調べてみると、
ネットの口コミでは、「40kmで400HK💲（8000円）だった」と書いてある。

いや…それふりこんだら一発でハコテンのやつじゃん…。
あぶない、あぶない…。

仕方なく、1.5kmを20分かけて歩き、佐敦駅というバス停から香港口岸直通のバスに乗ることにした。
しかし、どうやら香港では「オクトパス」というチャージ式の交通カードが乗り物支払いの定番らしく、現金の場合はお釣りが出ないらしい。

では、もしバス代が10💲で100💲札しか持ってなかったら、90💲寄付するということですか。
そんな不条理がまかり通っているのが香港なのか？
香港人は十人に一人がミリオネアだと聞くから仕方ないか。
こっちはミトコンドリアみたいに小さく暮らしてくよ…。

で、だ。
口岸行きのバス代は40.8HK💲（816円）なので、50HK💲を投入したら、9.2HK💲（184円）損をする。
今は100円でも惜しいので、近くのコンビニで10HK💲（200円）のビスケットを買ってお札の50HK💲をくずした。

こうして口岸行きのバスに41HK💲を支払って乗り込んだわたし。
ふう、うまいこと損しなくて済んだぜ。

マカオに到着

さらにバスを乗り換えて40分、マカオに到着した。
着いたのが夜だったため、市区へ移動するバスがなく、泣く泣くタクシーに乗る。

うわああ…金がないのに謎の太っ腹キャラ演じて、端数切り捨ててしまった。
そうなのだ、わたしはケチだけど、こういう時だけ無駄に気前が良いのだ。

マカオ最安値のホテルにチェックイン

うわああ…デポジットあるの忘れてた…。
（ここで、カジノで一攫千金の夢がたたれる…）

ショボン…(´･_･`)
腹減りすぎて倒れそうだけど、もう、水飲んで寝よ…。

と思ったら、部屋にミネラルウォーターがない。
（大陸のホテルは必ずある）
え…じゃあ、マカオって水道水飲めるってこと？

そうか…まだ海南島で壊したお腹治ってないし、水道水はやめとこう…。

仕方なく深夜にコンビニへ行く。

いや、自分なんでウイダーとオロナミンC両方買った？
もう寝るだけだし、元気は一発で十分だったな…。

翌朝、ホテルをチェックアウトし、200HK💲（4000円）が返ってきた。
これで、残高は55MC💲（1010円）+207HK💲（4140円）🟰5150円に。

なんかいきなりやる気が出てきたぞ。
ということで朝ごはんを食べに来た。

お粥メニューの中で一番高い、蟹粥120HK💲（2400円）を注文。
渡り蟹が丸ごと一杯入っている。
身にかぶりつけないのが悲しいが、お粥は海鮮の旨みたっぷりでおいしい。

しかし、ずいぶんと贅沢をしたな。
デポジットが戻って、気が大きくなったのか。

いや…違うな…。
こんな、「金が全て」みたいな街に、貧乏人なりに、傷痕を残したかったんだ、きっと。

誰にも気にもされてないけど…。

とか言って、なんだかんだ街並みを見ているだけで楽しかった香港・マカオであった。