粕尾川 タグルという緑の魔女について

早くも秋風の芳りが吹き始めましたね🍂🌾
そんな中、久々の自キャラ語り🙌

(前回のはとばちゃんコラムが春頃…😮 頻度を上げたいものです😅)

今回のターゲットとなる盟友は…
『まりす盟友』においての敵役の一人・粕尾川 タグルさんです⛏

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国の正当な監視下にさらされないにも関わらず 機密を握る組織
地下政府(Underground Government)」に所有権を与えられた開発機関
テトロマトロ」の責任者。
文字通り城輪町の地下に拠点を構え シュシュゲルシという人工生命を
夜な夜な製造──もとい、創造しています。

シュシュゲルシの原材料は、競日野研究所にておこなわれた
非道な人体実験で犠牲になった霊能力者の遺体
虚空都市マリシアの生物兵器ニュークの攻撃で死んだ鳩から抽出した
毒素アジキ

その狂気染みた創造力はまるでフランケンシュタインのようですが、
タグルを知る者は 服装や髪・瞳の色から彼女を
緑の魔女」と陰で呼んでいます🧙‍♀️

彼女のもう一つの恐ろしい面は「魔女」と呼ばれるに値する独裁者気質

何種類もの着物を私服として纏う事もある穏やかな風貌とは裏腹、
常備しているバール(作中での通称は「どんがら」)で
機関内の人間を何人、何十人と撲殺しているというのに、
「地下政府」のお力で被害者の戸籍は抹消されてしまう為
タグルは涼しい顔で命を命とも思わず 自身にとって都合の悪い人間を
蹴散らします。

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「人非人」とはまさに彼女を指す言葉ですね…
しかしそんなタグルにも唯一 そして今に至るまで罪悪感の拭えていない
『いのち』があるのです。


タグル──この名前には吐(たぐ)る、転じて吐瀉物という
意味が込められています。

妻が身籠ってからも酒浸りの男は、
家中の物に当たり 身重の妻にも手を上げる悪癖がありました。
そして女児が産まれた家は、
つわりに悩まされた母と 酔った父の吐瀉物の汚臭に満ちた奈落。
もはや人間が育つ場所ではありませんでした。

「お前なんて、吐瀉物の一部だ!」
皮肉に満ちた名前を付け、幼い娘の腕にタバコを当てがい逆上する母。

しかしタグルが18歳の頃、突如現れた御曹司の青年が
このどん底から彼女を逃がしてくれます。

のちの「地下政府」先代リーダー・粕尾川氏。

この時、彼は既に若くして政府に携わる男。
一生、いや二度三度生まれ変わっても困らないくらいには裕福でした。

「美しい君にはこれを着てほしい、絶対似合うはずだ」
タグルの誕生日には毎年、高級な着物を何着もプレゼントする粕尾川氏。
どんどん綺麗に、晴れやかに変わっていくタグルは、
粕尾川氏と結ばれ、やがて念願の娘を授かります。

しかし数年後…

ある冬。天災が容赦なく粕尾川氏の命を奪いました。

遺され絶望するタグル。お腹には育っている最中の愛しき娘がいます。
夫に似るであろう娘が産まれたら、いずれ答えなくてはいけない。

‘’どうしてパパはいないの?‘’

答えなくてはいけない、でも。



答えられるわけがない──!



タグルは錯乱し、自らの手で娘を殺めました。

その数ヶ月後。ある集団が彼女のもとを訪れます。
地下政府」の一味。
彼らは志半ばで亡くなってしまった
粕尾川氏の遺志を継いでほしい、とタグルに懇願します。
ここで彼女は初めて夫のしていた事を知りました。

人間の死骸を継ぎ合わせた人工生命・シュシュゲルシの製造。

愛しい人が国の暗黒面に許される形で、おぞましい開発を行っていた──本来でしたら相当のショックを受けてもおかしくないはずですが…

「わたくしで良ければ」

夫の喪失と娘を殺めた罪悪の意によって憔悴しきっていたタグルは、
途絶えてしまったシュシュゲルシの製造をこの手で続けると誓い
テトロマトロ」の責任者となりました。

彼女が抱えている罪悪を表している証拠は他にもあります。

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タグルの補佐官・ダダ
この「ダダ」という奇妙な名前は勿論、出生名ではありません。
補佐官になるにあたって、タグルが付けたコードネームのようなものです。

ダダはタグルの補佐官という立場ではありますが、
冷酷なタグルが心から愛している 数少ない人間です。

同世代の友達が少なく、一人浮いている子供だったダダ。
そんな彼女にタグルは、産んであげられなかった娘の
面影を重ねたのでしょうか。
今では毎晩のようにダダと添い寝、なんて光景も当たり前。

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血の繋がらない母娘の共依存関係。
固い殻に閉じ込められている二人。

この機関「テトロマトロ」もまた、殻同然の組織。
破れる日は、いつになる事やら…



【一息追記/ひといきついき🍵】

タグルさんの名前にはモデル…というよりは元ネタとなる人物がいます。

ギランバが小学生だった時分、よく絡んできた同級生です。
なぜだかギランバだけに冷たく、執拗で、
その割にしょっちゅう干渉してくるひとでした。

Yさん。この文章、読んでいますか? 
この作品を書くにあたって、勝手にお名前を借りちゃいました。
神経質なあなたの事だから、きっとまた目くじらを立てて
一言ぶつけたい気持ちでいっぱいになっている事でしょう。

でも今ではお互いそれなりに大人になったはずです。
少しは我慢を覚えましょうね。

大丈夫。私よりもタグルよりも、
あなたの方が理知的で、真っ当だったんだから。



2021.09.03
ギランバ・ビガ(Gillanba-Biga)




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