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X-jamインタビューVol.2 愛すべき人を演じて:俳優石黒寛さん

X-jam studioにやってくるさまざまなお客様とのおしゃべりや、稽古の合間にゆっくりお話したひとときを、ときどき、インタビュー記事にまとめてご紹介します。

名古屋在住の脚本家麻創けい子さんと、俳優石黒寛さんが、X-jamスタジオに来てくださいました。麻創さんは演劇やラジオドラマの脚本家として活躍しながら、ラジオドラマ風舞台「時代横町」(ひと組)脚本、演出を務め、20年にわたるシリーズ作品として上演。石黒寛さんは、ひと組の事務局を務めながら、ご自身の劇団「はぐはぐ⭐︎カンパニー」を主宰して、保育園・幼稚園・おやこ劇場などで公演しています。今回、11月1日に行われた「一人ミュージカル柿山伏(主演:梅園紗千)」の作・演出として、稽古に立ち会うために初めてスタジオまで来てくださったお二人に、稽古の合間にいろいろなお話を伺いました。


お客様 麻創けい子さん(脚本家・演出家)     
    石黒寛さん(俳優・はぐはぐ☆カンパニー主宰)
聞き手 城間優子(X-jam制作プロデューサー)
コーヒー担当 シモシュ(X-jam代表)
2020年9月対談

目次
・俺、役者になった
・鼻をぺっきぺきに折られて
・忘れられない先輩役者たち
・笑ってりゃなんとかなる
・ちょっとずつみんながおかしかった時期

麻創 もうね、9ヶ月ぶりですよ、名古屋出たの。

———公演はもう再開しました?

石黒 7月からちょこちょこ、1件2件ずつくらい。楚々と移動しながらですよ。名古屋ナンバーなんで、サービスエリア入っても遠くの方に停めて、パッとトイレ行ってまたすぐ動くみたいな。

麻創 ちょうど愛知県が、関東圏への不要不急の移動をOKしたのは昨日から(10月14日)なんですよ。それで、昨日は大手を振って出て来たんです。

———名古屋の劇団もみなさん大変でしたよね。

麻創 近くの劇団もファンドや助成金を使ってなんとかしのいだという話をたくさん聞きましたよね。

石黒 もう助成金の申請とか、極端に疲れるのよ。100キロ走ってこいと言われるほうがずっといいよ。

そんな近況報告から始まった話は、石黒寛さんが役者をはじめたきっかけまで遡りました。たっぷり聴けた昔の話から、尊敬すべき先輩役者たちの伝説、コロナ時代の舞台の話まで、2回に分けてお送りします。今回は、石黒さんのお話を中心にお届けします。麻創さんからもたっぷり伺ったお話は次回。

俺、役者になった

石黒 ずっと役者やってきて、30代半ば過ぎて40代近くなると、誰も芝居に誘ってくれなくなるの。だから自分でプロデュースをするしかないと思って、それからやっと制作するようになったの。自分でプロデュースすれば、やりたい芝居をやりたい人たちと、やりたいことできるじゃない?だから40代半ばすぎて、はぐはぐ⭐︎カンパニーを作ったの。

———石黒さんはそれまでどこか劇団に入っていたんですか?

石黒 入っていない。ずっとフリー

麻創 こんなもん入れてくれるかね

石黒 誰かの下に入るというのがどうにも性に合わなくて。フリーであちこち顔を出せた方がいいやという感じ。だから基礎がないわけ。どこでも何も習ってないから。

シモシュ いわゆる独学なんですか?

石黒 独学というか、学もやってないんですけど。

———そもそもどうやって演劇界に入ったんですか?

石黒 僕は高校出て、5年間サラリーマンやったの。その時の会社に、芝居始めたばかりの女の子がバイトに来て、「今度養成所の卒業公演があるのでチケット買ってください」と言うので、観に行ったんだけど、お芝居観たら、その子じゃないその子がそこにいたから、「なんだこの世界は」と思って、次の日会社辞めてた。

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