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BizOpsの存在意義や大枠について


そもそもBizOpsって何?

辞書的に言うとBizOpsは、ビジネスオペレーションズ(Business Operations)の略称で、ビジネスの運営や生産性の向上を目指す取り組みのことを差します。具体的にはやプロセス改善、効率化などの手法を活用し、ビジネスの戦略立案や意思決定を支援する仕組みのこと。

一般的にBizOpsは、オペレーションと改善両方とも含むイメージを持つことも多い。現在言われているBizOpsの職種に関して言うと、改善部分に焦点が当たっており、事業全体における各部門(マーケティング、セールス、カスタマーサクセスなど)や機能間(経理や法務等)の連携を強化し、組織全体のパフォーマンスを最大化することを目的として、事業全体を俯瞰して貢献を目指す職種です。

つまりBizOpsの目的は経営や事業の意思決定の迅速化や効果的なリソースの配分など、ビジネスの成果をより向上させることです。

日本になぜBizOpsが必要になったのか?

日本にBizOpsが必要となる理由は様々な観点で述べることができますが、歴史的な観点から見ると、ネクサフロー社中村様の「9000文字超・保存版!BizOpsの重要性とファーストステップ」の中で触れられているので、こちらを参考にしていただくとわかりやすいかなと!

簡単に要約すると、ITに関して分権化から始まり、集中化に至った。しかしビジネスのスピードがより速くなったことで集中化した組織では対応できない部分も多くなった。そこでビジネスを推進する組織側でITを活用したビジネスの促進を志向していった背景があります。

事業フェーズから見るBizOpsの大枠

BizOpsはITを活用したビジネスの促進をしていく立場になるので、事業フェーズと密接な関係があります。
マクロ視点で見ると当然ですが企業は作られ、成長し、やがて無くなります。一連のライフサイクルを捉え、従業員規模で何がわかりやすく説明されているのが「グレイナーの企業成長モデル」です。グレイナーの企業成長モデルをベースにBizOpsの大枠を捉えると下記のようになります。

各従業員の人数でどのようなことが起きるか、概要が説明されている
(図の出典:https://trso.sakura.ne.jp/housingfair-saitama.jp/five-strategy/)
  1. 創造性による成長段階(3人~50人) 起業期
    社長の強力なリーダーシップのもと製品と販売が行われ、市場を探します。社長の主な関心事は「資金調達とPMF」。社長と社内のコミュニケーションも非公式的(その場で会話して決めるなど)も多いけど、人数が少ないため誰が何をしているかわかっている状態。社員んも社長の意思をくみ取って各人が流動的に動きます。
    組織だっておらず、統制システムも何もないので、必要に応じて「今」必要なものを入れていく段階なので、BizOpsの必要性はない

  2. 指揮による成長段階(50人~100人) シードA期
    社長は資金調達で一定の資金の余裕ができ、市場の存在を認知(PMF)をすると市場のターゲットを決めて攻略に取りかかります。社長の主な関心事は「採用と市場探索」。人を増やし、販売及び製品にフォーカスをする。社長が各人の名前と顔はわかるが、何やっているか?までの把握ができなくなる。そのため社長は指揮的になり、オペレーションは一定任せるようになる。市場探索をするために社長集権的で職能的な組織構造を作り、品質のバラツキを抑えるためにゆるいルール(標準化)が行われ、そのためにツールが導入される。BizOpsは競合優位性のある局所的な部分に存在する形となる。

  3. 移譲による成長段階(100人~300人) シードB期
    社長はターゲットの深堀りを模索。製品(プロダクト)を収斂(システム負債返却含)をしつつ、顧客のターゲット層も増加。新規開拓先としてエンタープライズ企業へフォーカスし始める。社長の主な関心事は「市場の拡大」。社長は社員の顔と名前が一致しなくなる。権限移譲が進み分権的になっていく。統制システムとして報告やプロフィットセンターとしての機能に投資される。BizOpsはこの統制システムの主担当として活躍することになる。

  4. 調整による成長段階(300人~1000人) シードC期以降
    社長はエンタープライズ市場への拡大を確認すると、既存事業を他の経営陣に委譲し、社長は「多事業化」「IPOもしくはバイアウト」「グローバル展開」を志向するようになる。そのため社長の主な関心事は「既存事業の組織強化と新規事業創生/成長」。組織の権限移譲を行っているため番犬的な立ち位置へ。統制システムは計画に沿った形の投資に変化し、統制とプロフィットセンター両方に寄与する。BizOpsは社長の関心事に影響を受けながら、統制とプロフィットセンターの全社横断型の組織へ成長する。経営企画や情シスを兼任することもある。

  5. 協働による成長段階(1000人以上) エンタープライズへ
    社長は「多事業化」「IPOもしくはバイアウト」「グローバル展開」を引き続き実施。社長の主な関心事は「新たな問題発見と革新(イノベーション)」。組織はマトリクス構造を取り複雑化していく。統制システムは相互的な目標設定を行い、着実な実行が必要となる。BizOpsは複雑なマトリクス構造に対応しながら、全体を俯瞰し、全体施策や部分的な施策にフォーカスする。集中と分解を繰り返していく。

表にすると下記のようになります。

出典:ダイヤモンド・ハーバード・ビジネスライブラリー
「企業成長の"フシ"をどう乗り切るか?」にBizOps部分を追記

事業フェーズによりBizOpsの必要性が変わっていき、組織が大きくなればなるほど必要性が増していきます。

一例として最初はSalesOpsとして営業プロセスの効率化に従事してきた人間がCSOpsにも従事し、さらに全体を見るためにRevOpsになります。
局所的に見てればいいところから全体を見る立場になることで、必要なメンタルやコミュニケーションスタイル、スキルが変わったりします。

(もちろん各社の戦略や業種等で目安としている人数とは乖離あるのでご承知おきください)

企業のITアーキテクチャから見るBizOpsの大枠

AnityA社のITアーキテクチャ図をベースにすると「基幹系システム」「基盤系システム」の一部、「ミドルオフィス」に該当します。「基幹システム」は各業務で利用するアプリケーション(SaaS)だと思ってください。例えば会計だとfreee、契約だとクラウドサインなど。

ITアーキテクチャ図にBizOpsの範囲を追加
(出典:https://logmi.jp/tech/articles/326405)

各業務アプリケーションを利用し、情報を経営層や各従業員に「情報系システム」を通じて可視化し、意思決定を速めることができるのか?と言ったところがBizOpsの役割となります。

Opsの種類の定義

世の中ググるとBizOpsについて様々な見解があるかと思いますが、「BizOps戦略室」ではBizOpsの区分けを下記とします。

  • BizOps(Ops全体)
    経営や事業を支援し、バリューチェーンを支えるアプリケーション及びデータを整備し、データドリブン経営を支援するために全体の業務アプリケーションやプロセス、データ等を統括する。
    経営や事業における意思決定を支援が目的。

  • RevOps(BizOpsの中のビジネス部門を担当)
    事業のビジネス部門を支援し、全体像を意識しながらアプリケーション及びデータを駆使し、業務改革や改善を継続的に実施していく。
    メインは売上/利益向上、コスト削減目的施策支援。

  • CorpOps(BizOpsの中のバックオフィス業務を担当)
    コーポレート(人事や管理部門)を支援し、全体像を意識しながらアプリケーションやデータを駆使し、業務改革や改善を継続的に実施していく。
    ガバナンス向上/コスト削減/セキュリティ向上/従業員満足度向上目的施策の支援。

    (他にもDevOps(プロダクト関連)等もあるが、BizOps戦略室ではBizOps/RevOps/CorpOpsをベースに記載していくため、割愛。)

BizOpsの存在意義と目指すところ

各SaaSが選べなくなるくらい存在し、導入しやすくなった今、ますますBizOpsの重要性は高まるでしょう。しかし単純にSaaSの導入と現場から言われたことを実現するのであれば、そこまでの価値は無いでしょう。
先に述べたように、会社の事業フェーズや経営課題によってBizOpsの役割は変化します。ではBizOpsの存在意義は何でしょうか?
私は下記だと考えています。

  • データドリブン経営の実現及び意思決定リードタイムの短縮

  • 全体像を意識した業務プロセスの最適化とデータの利活用

上記を実現するために「経営×現場×可視化」この3つが重要となってきます。3つを意識し、実行に移すことで事業貢献に寄与するBizOpsになるのではないでしょうか。
BizOpsの顧客は誰か?それは明確で「経営者」です。データドリブン経営の実現と意思決定のリードタイム短縮を実施することで、事業全体に貢献していく。

よって注意しなければいけないこととして、「従業員が使いやすいシステムの提供」の優先順位が低いということです。
上記2つの内容を目指すために、従業員が使いやすいシステムというのは優先順位が下がります。
事実として経営者やマネジメント層の意思決定の質及び量とメンバーの意思決定の質及び量は等価ではないのです。また当然ながらBizOpsの予算を割いているのは経営者です。会社は経済合理性で動きます。

上記をベースとして今後BizOps戦略室では様々な内容をお送りしたいと思いますので、今後もご期待ください!

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