行動経済学の本を読んで

「行動経済学見るだけノート」という本を読んで感じたこと、学んだことを書きます。

元来の経済学とは、「人間は常に合理的な行動をする」ことを前提に成り立っていたが、実際の人間は「非合理的な行動をとることがある」というところから生まれたのが行動経済学である。たしかに、当たる可能性がほぼ0に等しい宝くじを多くの人が買う姿をみると、確かにそのとおりである。このような非合理的な行動が取られる背景には、「心」がある。この心の特性を理論化し、私たちの意思決定のプロセスをうまく説明しようとするのが、行動経済学である。それゆえに、短期的な経済(人の意思決定の影響がおおきい)に対しては、行動経済学が有効であり、逆に長期的な経済(人の行動が合理的に見える)では、伝統的な経済学が有効である。

プロスペクト理論:意思決定のモデル。その中には、人間は、利益がでるとすぐそれを確保しようとし、逆に損失が発生してもそれを切れずにだらだらと引きずってしまう心理や、同じ利益と損失でも損失の方が2~3倍重く感じる心理などがある。

ナッジ理論:相手にそれと気づかせることなく、合理的と考えられる好ましい方向に誘導する行為。(例「遅刻するな!」というより、早く来るといいことがあると感じさせる。)

ホモエコノミカス:合理的な経済人。ありのままの私たちとは差異がある。

ハーディング効果:個人が大多数の人と同じ行動を取ることで、安心を得ようとする群衆効果。

サンクコスト:戻ってこない費用。

コンコルド効果:支払ったコストは何をしても戻ってこないのに、未来の判断に影響を与えてしまうこと。(例:お金を払って見た映画がつまらなくても、元を取ろうと最後まで見ようとする、パチンコで負けているから帰れず、さらにお金を入れる)

コンコルド効果が生まれる背景:⑴一貫性の原理(始めたことは最後までやろうとする脳の動き)⑵現状維持バイアス(行動を変えるのは損失に感じる心理)⑶認知的不協和(損したことを認めたくない心理)

ツァイガル効果:中途半端に終わった事柄に対して記憶が残りやすい。(例:漫画、アニメでいいところで終わる)

選択のパラドックス:選択肢が多ければ多いほど、人は不幸を感じやすい。選ぶの大変な無力感、選択に疑念と後悔が生まれ満足度が下がる。

情報の非対称性:人々が持っている情報には偏りがある。

逆選択:情報の非対称が生み出す。いいものか悪いものか、客は判断できず不安になるため、安いものにしか手を出せず、結果いいものが買えない現象。

モラルハザード:自動車保険に入った瞬間、注意散漫になり、事故を起こしやすくなる現象。

プラセボ効果:本当は効果がないのに、効果があると思い込むことにより、本当に病気が治癒する現象。

ヒューリスティック:直感(短い時間)で意思決定を行う心の動き。(例:台風が来た→建設業界の株式を買おう)

保有効果:人はすでに持っているモノを高く評価したがる。

初頭効果:初期段階で与えられた情報が残りやすく、後からのインプットが残りにくい。

親近効果:最後に出た情報に影響を受けやすい。

アンカーリング:無意識のうちにインプットされた情報が、知らず知らずのうちに意思決定に影響を与えていること。(例:10回クイズ、「将来に希望がありますか?」と「将来に不安がありますか?」と聞く質問の違い)

コントロールの欲求:人間には周りの環境をコントロールしたいという欲求がある。環境をコントロールできる状況では集中力が向上する。

ギャンブラーの誤り:特定のことが起こる確率を自分の主観で勝手に高く評価してしまうこと。(例:ルーレットで赤が3連続→次は黒だと思ってしまう、毎回の事象は独立しているのに)

鏡映効果:利益が出ているときは利益回避的になり、損失が出ているときはリスク愛好的になる。

認知的不協和:自分の思い込みと現実がずれる現象。認知的不協和が起こると、自己正当化が行われ、自分が選択しなかったポジティブな情報をネガティブに変換してしまう。(例:天ぷら定食を頼んだが、前の客が食べている刺身定食が気になってしまったとき、この季節の刺身はおいしくないんだとネガティブに意識を変えてしまう。)

インフォメーションカスケード:誰かのちょっとした情報がきっかけで、他の人がそれに追随していく、群集心理を生み出す。(例:オイルショック時にトイレットペーパーが買い占められる)

バンドワゴン効果:多くの人が支持している状況について、関心がない人もそれを良いと考え、同じ行動をする。(例:行列がで来ていると並ぶ、お客様レビュー、人気No.1の表示)

権威への服従:権威のあるものを信頼し、正しいものだと思い込んでしまう。小さい頃から、親や教師などの権威に接して成長するため。

ハロー効果:パッと見てわかるような特徴に過剰に好意的に捉える。(例:CMのタレント、東大卒です。)

フレーミング効果:枠組みで意識を固定してしまうこと。(例:「80%で成功します」と「20%で失敗します」の違い、「1g配合」と「1000mg配合」の違い)

BGMの心理効果:スローテンポだとゆっくりする→店に長居し、売り上げが伸びる。フランスの曲をかける→フランスのワインが売れる。

記憶に残りやすい事象:「最新」「顕著」「鮮烈」「調和」

カリギュラ効果:禁止されるほどやってみたくなる心理。(例:カリギュラという映画が上映禁止になった途端、みんながみたくなった)

人間が目先の満足を優先する。しかし、1年後と1年3日後のような遠くの事象については、優先度は変わらない。双曲割引。

パターナリズム:父権主義。あれやれ、これやれと頭ごなしに命令すること。

リバタリアン・パターナリズム:ナッジ理論を使い、それとなく向かわせたい方向へ導く主義。


以上、初めて知ったことを並べてみた。

私は心理学を学ぶことが好きだ。心理学を学ぶことで、何か決断をしようとするときにその自分を客観視できるから。客観視できたところで、ベストな回答に行き着くわけではないが、うっかりミスなどぐらいは防げるんではなかろうか。

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