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アートとパントマイム

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パントマイムの技術とパフォーマンスの現場の、ディープな世界を語ります
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記事一覧

水墨画とレコード、その1

水墨画とレコード、その1

2018年から、水墨肖像画パフォーマンスを始めた。お客さんの中からお一人をモデルに選び、そのお顔もしくは全身を大きな和紙に筆と墨で描くというものだ。「ネンドマン」のお絵かき版と言っていいが、描き上がった絵をその場でプレゼント出来る点だけがちがう。

DRAWING KNIGHTのテーマは、「Mix」である。西洋と東洋のミックス、女性に仕えるナイト風のキャラクターと水墨描画の同居である。

そのDR

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融合でパフォーマンスを作る

融合でパフォーマンスを作る

僕が作るパフォーマンス作品は、いずれも既存のモノの組み合わせである。

ほとんどのパフォーマーは、まず技術を身に付ける。次に自分のルックスと技術がマッチしたビジュアルを作り、キャラクターとする。そして過去にあった見世物界のネタを加工し、それを並べて自分のショウを作る。

僕は、見世物からネタを引っ張ってはこない。見世物以外のジャンルから、2つ以上のコンテンツを融合させて「器」を作る、という事を

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ロープを使うか、使わないか

ロープを使うか、使わないか

スタチューになって人前に立ちます。
僕の場合は、高さ40センチのお立ち台に立ちます。
数分も経たずに、数十人くらいのお客さんに囲まれます。

さて。
その時、僕とお客さんとの距離は、
だいたい6メートルから10メートルの間です。
だから、僕を中心に半径6メートルから10メートルの半円が出来ている事になります。
これが、僕のデフォルトの空間です。

さて。
僕以外のスタチューの方々は、ロープを使わな

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NHK出演

NHK出演

NHK「やわらかアタマが世界を救う」に白リーマンで出演しました!番組は45分ですが、収録は‪2時‬間。。。‪2時‬間ずーっっと、同じポーズでフリーズ。。気分はもう、ゴルゴ13。
最初お話を頂いた時は「ムリだ!」と思ったのですが、何とか可能と思われる方法を提案。まばたきを避けるため目を閉じたままの‪2時‬間フリーズは、果てしない時間体験でした。。。
(マインドマップのあたりが一番ヤバかった、、もっと

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動かないコツ

動かないコツ

人間彫刻について最も多い質問、
「動かないコツって、何ですか」
の答えを書いてみたいと思います。

技術的には、何よりも『息を吐く』ことです。

唇を紙一枚はさむくらいにわずかに開けたスキマから、スーーーーーーっと細い息を長く吐く。
トランペットをやっている方は分かると思いますが、上の歯の裏に舌を軽く当てて歯の先と舌のスキマから空気がもれる感じです。
平たい、細い息を出来るだけ長く吐く感じですね。

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酔中介錯人



光っている。
まるで、青魚の鱗のようだな。

と、俺はふと思った。
三宝に置かれたこの刀で、俺は腹を切らねばならない。
いますぐに。

たくさんのギャラリーが俺を見ている。
みんな神妙な顔をしているが、それは好奇心を隠す仮面でしかないことは、俺には分かっている。

残念ながらシーズンは過ぎてしまったが、残り少ない花弁を散らす桜の老木も、青空と共に俺を見守っているような。
そんな、気がする。

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脳のパラレル処理とリニア処理

脳のパラレル処理とリニア処理

弾き語り、という事が出来る人たちがいる。
駅前で、アコースティックギターを掻き鳴らしながら歌う人たち。
半世紀近くもこういう人達がいる。
(ぼくが生まれるまえから)

ぼくは、弾き語りが出来ない。
自宅にはギターがたくさんある。
なんなら、それ以上のベースギターも。
しかし、あの「弾き語り」がぼくには出来無い。
ジャカジャカ簡単なコードを鳴らして歌う、だけなのに、どうしてもリズムに唇が引っ張られる

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メンタルコーチング

試合の短い時間で全てが決まるアスリートが目指す「ゾーン」は、パフォーマーにもある。

昨夜のNHK「逆転人生」をみて俄然スポーツ心理学に興味をもったので、さっそくジュンク堂へ。いろいろな本を漁っていたら面白そうな1冊を見つけた。
あのクレージーなエアレースでチャンピオンとなり時の人となった室屋氏が、じつはメンタル面で長年教えを乞うていた白石氏と書いた本。
本は、室屋氏が白石氏と出会うところから始ま

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音楽無しに映像を見られぬ羊たち

東京都庭園美術館で志村信裕さんのドキュメンタリー作品を観た。今回の展示は現代アーティスト達の企画展であって、コンセプトゲームに堕した美術作品は見ているだけで虚しくなってくるのだけど、このドキュメンタリー映像は観る価値があると思った。
羊をめぐる物語、と題してバスク地方(フランス側)と、かつて政府の政策で羊毛産地に選ばれた千葉成田の2つの今が並行して語られる。
この映像には、音楽が全く無い。
インタ

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パントマイムは、触らない

あなたは、いま舞台を見ています。

俳優さんが悲しみの演技で、涙をホントに流しました。どう思われますでしょうか?

舞台の上では、映画よりもタブーが多いと思います。端的なのは、ベッドシーンでしょう。映画では、男女のベッドシーンなんて当たり前です。しかし、これを舞台で観客の前でやったら、確実にドン引きになるでしょう。(もしかしたら70年代のアングラ劇場では、やったかもしれません)

逆に、おいよせよ

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