ヨーロッパ旅行記9:真夜中のアクシデント2.
6月23日、パリのホテルより。
我に返って彼女の持ち物を見回すと、
確かに、さっきまで親友が肩にかけていたバックが見当たらない。
念のためバックパックの中や通路、近くの窓の隙間も探してみたけれど、やっぱり見当たらない。
「きっと、さっき一瞬だけ受付のスタッフと話すために荷物を離れたときに盗まれたんだ!」
サーっと血の気が引く。
出入り口には警備員がいるし、監視カメラもある。
こんな小さなロビーで盗難に遭うなんてあるわけない、と一瞬思ったけれど、
起こるわけないと思う盗難が起こるのがパリである。
鞄にはパスポートとクレジットカード、現金、
そして彼女が大切にしていた手帳が入っていた。
彼女は明日ヨーロッパを出国する。パスポートは何としても取り返さないとまずい。
振り向くと、涙目になっている彼女と目が合った。
警備員や受付スタッフにお願いして監視カメラを見せてもらう。
けれどスタッフの反応は鈍く、監視カメラの映像を素直に見せてくれない。
(親友が「ホテルスタッフが犯人なのでは?!」って疑っていたのが面白かった笑)
交渉の末、なんとか監視カメラの映像は見せてもらえたけど、何より、スタッフと英語が通じないのがネックだった。
ブリュッセルの公用語は英語ではないけど、国際都市だからか英語は不自由なく通じるから、今まで言語の苦労はあまりなかった。ここに来て初めてgoogle翻訳を駆使しながら、スタッフとの会話を試みる。
時刻を見ると、既に0時を超えていた。
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