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入学おめでとう

「あなたはまいにち、げんきでみんなとなかよくあそび、たいへんよいこでした」

 3月、保育園の卒園式で、娘はこう書かれた卒園証書を園長先生から受け取り、うれしそうだった。生後11カ月で保育園に入り、親の仕事の都合で2回も転園。「園になかなか慣れない最長記録」(園長先生)を作りながらも、毎日がんばって通ってきた。先生やお友だちに支えられた保育園生活だった。

 この春からは小学1年生になる。小学校はまったく未知の世界。一人で登校できるのかな、今までは保育園で一日中遊んで暮らしてきたのに、勉強なんてできるのだろうか。クラスの人数が多くなるけど、先生の目は行き届くのかな、放課後、一人で学童クラブまで行けるのかな?……本人は期待で胸いっぱいなのに、親は心配だらけだ。

 持ち物の準備や名前つけも大変だった。娘が通う学校では、教室のいすの背もたれにくくりつけておく「防災ずきん袋」を用意しなければならない。寸法が指定されているのだが、わが家にはミシンがなく、あっても作れない。焦って、お兄ちゃんがいる、保育園のお友だちのママに尋ねたら、「近所の手芸屋さんで作ってもらえるよ」と、ありがたい言葉が返ってきた。早速注文し、ほっとしたものの、結構な出費となった。

2009年4月5日

☆2009年から2012年まで子ども向けの新聞につづった連載を改編したものです。

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