色々な環境認証制度

ここでは環境に纏わる本邦の各種認証を概観してみることにする。


ISO(International Organization for Standardization)認証

非政府機関である国際標準化機構による、国際的に通用する規格。そもそも規格とは「標準としての定め。特に工業製品の、寸法・形・質などについて定めた標準」のことだ。2万を超える規格が存在しほぼ全ての分野を網羅している。環境に関しては、最も有名なのはISO14001から始まる「環境マネジメントシステム」である。
ISOのホームページには概要がある。これだけでは具体的なことはよく分からないが、とにかくサステイナブルの為の規格だと言うことはよく分かる。

ISO 14001:2015 specifies the requirements for an environmental management system that an organization can use to enhance its environmental performance. ISO 14001:2015 is intended for use by an organization seeking to manage its environmental responsibilities in a systematic manner that contributes to the environmental pillar of sustainability.
ISO 14001:2015 helps an organization achieve the intended outcomes of its environmental management system, which provide value for the environment, the organization itself and interested parties. Consistent with the organization's environmental policy, the intended outcomes of an environmental management system include:
· enhancement of environmental performance;
· fulfilment of compliance obligations;
· achievement of environmental objectives.
ISO 14001:2015 is applicable to any organization, regardless of size, type and nature, and applies to the environmental aspects of its activities, products and services that the organization determines it can either control or influence considering a life cycle perspective. ISO 14001:2015 does not state specific environmental performance criteria.
ISO 14001:2015 can be used in whole or in part to systematically improve environmental management. Claims of conformity to ISO 14001:2015, however, are not acceptable unless all its requirements are incorporated into an organization's environmental management system and fulfilled without exclusion.

もう一つ、社会的責任について定めたものも有名。ISO26000である。ISOホームページには、

ISO 26000 provides guidance on how businesses and organizations can operate in a socially responsible way. This means acting in an ethical and transparent way that contributes to the health and welfare of society.

とある。この規格の面白い点はガイダンスに過ぎないと言う点だ。実際、ISOのホームページは上記の続きで、

ISO 26000:2010 provides guidance rather than requirements, so it cannot be certified to unlike some other well-known ISO standards. Instead, it helps clarify what social responsibility is, helps businesses and organizations translate principles into effective actions and shares best practices relating to social responsibility, globally. It is aimed at all types of organizations regardless of their activity, size or location.
The standard was launched in 2010 following five years of negotiations between many different stakeholders across the world. Representatives from government, NGOs, industry, consumer groups and labour organizations around the world were involved in its development, which means it represents an international consensus.

と黒字でその特徴を強調している。要求ではなくガイダンスに過ぎないので、認証は行わないと言うことだ。

もう少し細かく見ておこう。経団連のホームページの中でISO26000について細かく解説がされている。
http://www.keidanren.or.jp/journal/times/iso26000.html

■ 規格の特徴
規格の主な特徴としては、次の3点が挙げられる。
第一に、企業のみならずすべての種類の組織を対象にしていることである。もともとは、CSR(企業の社会的責任)規格として検討されていたが、04年の、「社会的責任を果たすべきなのは企業だけではない」とするISOの高等諮問委員会(SAG)の勧告に基づき、より普遍的なSR規格として開発することになった。
第二に、認証を目的とした品質管理に関するISO9000や環境マネジメントに関するISO14000と異なり、同規格はガイダンス文書(手引書)として活用するためにつくられていることである。要求事項を挙げて適合性評価を行うというものではなく、組織は、規格の内容を参考に自主的にSRに取り組むことになる。
第三に、政府、企業、労働、消費者、NGO、その他有識者という6つのカテゴリーから代表が参加し、対等の立場で議論して策定されたことである(マルチステークホルダー・プロセス)。策定作業には、99カ国、42国際機関から、450名以上のエキスパートが参加している。このようなプロセスによる規格策定は、ISOでは初めてであり、かつ参加者もISO史上最大となった。それゆえ、交渉過程で、ステークホルダー間や途上国と先進国間の利害・意見調整が難航し、通常の規格策定の2倍に当たる6年の歳月を要した。
■ 規格の適用範囲
適用範囲としては、主に次のように述べられている。
* (1) 持続可能な発展への組織の貢献を促すことを意図している。「持続可能な発展」とは、将来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような発展である。
* (2) 法令順守が組織の社会的責任の基礎部分であるとの認識に立ち、組織が法令順守を超える活動に着手することを奨励することを意図している。
* (3) 組織は同規格を適用するにあたって「国際行動規範」を順守しつつ、社会、環境、法、文化、政治および組織の多様性、ならびに経済条件の差異を考慮することが奨励される。「国際行動規範」とは、普遍的もしくはほぼ普遍的に認められている国際慣習法、一般に受け入れられている国際法の原則、または政府間の合意から導かれる、社会的に責任ある組織の行動に対する期待である。
* (4) マネジメントシステム規格ではない。認証、規制もしくは契約のために使用することを意図したものではなく、それらに適切なものではない。
■ 規格の構成
図表に規格の構成を示している。序文から第4章は根本の部分であり、本規格はどのようなもので、どのような使い方をするのが良いか等が述べられている。
第6章は、アクションの部分であり、SRに関する7つの中核主題を挙げ、各主題の下にさまざまな課題を網羅的に列挙している。組織は、7つの中核主題に挙げられている諸課題に満遍なく目を通し、そのなかから、組織の特性や置かれた状況に照らして、重要かつ緊急性のある課題を特定し、順次取り組むことが奨励されている。
第5章と第7章では、組織がSRを実践する方法について述べられている。ここでは、ステークホルダー・エンゲージメント(さまざまなステークホルダーの意見を把握し、自らの決定、行動に反映させること)の重要性が強調されている。
附属書Aには、国際機関や民間団体のSRに関するプログラム、ガイドライン等が列挙されている。
ISO26000の構成
序文
第1章 適用範囲
第2章 用語及び定義
第3章 社会的責任の理解
第4章 社会的責任の原則:説明責任、透明性、倫理的な行動、ステークホルダー
の利害の尊重、法の支配の尊重、国際行動規範の尊重、人権の尊重
第5章 社会的責任の認識及びステークホルダー・エンゲージメント
第6章 社会的責任に関する中核主題:組織統治、人権、労働慣行、環境、公正な
事業慣行、消費者課題、コミュニティ参画及び開発
第7章 組織全体への社会的責任の統合
附属書A 社会的責任に関する自主的なイニシアチブ及びツールの例
附属書B 略語
参考文献 関連するISOの規格や政府間の合意文


FSC(The Forest Stewardship Council)認証

環境団体、林業家、木材会社、先住⺠団体などによって 1993 年に設立された国際 NGO の森林管理協議 会による、適切な森林管理がなされているかどうかを評価した森林に対する認証(環境省)。10の原則と56の規準に基づき、独立した認証機関が認証審査を実施する。FSCジャパンのホームページに解説があるが、主に二種類の認証が存在する。

FSCの認証は、森林から消費者まで林産物やそれを含む製品を扱うすべての組織が対象となりますが、製品を市場に届けるための継続的な認証としては、2種類の認証があります。FM(Forest Management、森林管理)認証とCoC(Chain of Custody、加工・流通過程)認証です。
FSCの認証木材は、FSCの責任ある森林管理の規格を満たした認証林から生産されます。森林が責任をもって管理されているかを審査し、認証するのがFM認証であり、認証林から収穫された認証材が消費者の手に届くまでの加工・流通過程を認証するのがCoC認証です。
原則として、認証林から生産された木材でも、CoC認証を取得した組織でないとそれをFSC製品として販売してはいけません。木材は最終製品となり、消費者の手に届くまで、長く複雑な加工・流通過程を経ますが、CoC認証はその過程で不適格な木材と混ざってしまわないことを確認するためのものです。FSC製品が消費者の手に届くまでには、小売を除く、生産、加工、流通に関わるすべての組織が認証を受けなくてはなりません。

PEFC森林認証

FSC(森林管理協議会)では、国際統一基準を各地域に向けて運用するのに対し、PEFCでは、各地域が策定する森林認証制度を政府間プロセス基準に基づき相互承認して運用する。FSCと同様に、森林管理(Forest Management;FM)認証と、生産物(Chain of Custody;CoC)認証がある。(Wikipedia)

ASC(Aquaculture Stewardship Council)認証

WWF(世界自然保護基金)と IDH (オランダの持続可能な貿易を推進する団体)の支援のもと、2010 年 に設立された水産養殖管理協議会による、海の自然や資源を守って獲られた持続可能な水産物(シーフー ド)に対する認証。(環境省)

環境省「グリーンボンドガイドライン2017年度版」


http://www.env.go.jp/press/files/jp/105353.pdf

(参考)環境認証について
(※認証制度は、認証を取得した事業等が絶対的にグリーンであることの証明ではないので、留意が必要。)
■グリーンビルディングの認証
・LEED 認証制度(認証団体:米国グリーンビルディング協会(US Green Building Council))
「Leadership in Energy and Environmental Design(エネルギーと環境に配慮したデザインにおけるリーダ ーシップ)」の略称。米国発祥のグリーンビルディング認証プログラム。建築物全体の企画・設計から建築施工、 運営・メンテナンスまでにわたって省エネ、環境負荷を評価する。取得したポイントによって標準認証、シルバ ー、ゴールド、プラチナの4つの認証レベルが用意されている。
・CASBEE 認証制度(認証団体:一般財団法人建築環境・省エネルギー機構)
「Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency(建築環境総合性能評価システム)」 の略称。建築物を環境性能で評価し格付けする。省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配 慮はもとより、室内の快適性や景観への配慮なども含めた建物の品質を総合的に評価する制度である。評価結果 は、S ランク(素晴らしい)から C ランク(劣る)までの5段階評価となっている。
・BELS 認証制度(認証団体:住宅性能評価・表示協会)
「Building-Housing Energy-efficiency Labeling System(建築物省エネルギー性能表示制度)」の略称。国 土交通省が定めた「建築物の省エネ性能表示のガイドライン(建築物のエネルギー消費性能の表示に関する指 針)」に基づく認証制度。一次エネルギー消費量をもとに第三者機関が省エネルギー性能を客観的に評価し、5 段階の星マークで表示する。
■持続可能な林業や漁業の認証
・FSC 認証制度(認証団体:森林管理協議会(Forest Stewardship Council)
持続可能性の観点から適切な森林管理を行っている事業者を認証する「森林管理の認証(FM 認証)」と、「森林 管理の認証」を受けた事業者が管理する森林からの木材・木材製品であることを認証する「加工・流通過程の管 理の認証(CoC 認証)」の2種類の認証からなる制度。
・MSC 認証制度(認証団体:海洋管理協議会(Marine Stewardship Council)
持続可能性の観点から適切に管理されている漁法を用いて漁業を行っている事業者を認証する「漁業認証」と、 流通・加工過程で「漁業認証」を受けた事業者に係る水産物とそれ以外の水産物が混じることを防ぐため当該事 業者に係る水産物を認証する「CoC(Chain of Custody)認証」の2種類の認証からなる制度。
・ASC 認証制度(認証団体:水産養殖管理協議会(Aquaculture Stewardship Council)
環境に大きな負担をかけず、地域社会にも配慮した養殖場の事業者を認証する「養殖業認証」。認証された養 殖場の水産物は ASC の認証ラベルが付与される。7種類の養殖水産物(アワビ、二枚貝、淡水マス、パンガシウ ス(白身魚)、サーモン、エビ、スズキ)に関する認証制度が完成しており、今後、3種類の養殖水産物(ブリ /スギ、海苔、海洋魚類)に関する認証制度、どの魚類にも共通する「コア基準」と「飼料基準」の認証制度が 公表される予定である。

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