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紙がかった、おはなし。

印刷にとって、切っても切れない縁深い『紙』という素材。
もちろん、印刷に限らず、紙はあらゆるモノに形を変えて「使わない日はない」という程の暮らしに欠かせない存在。
わが社が印刷で使っている主な用紙を大別すると、
・非塗工紙
・塗工紙
・特殊紙
・情報用紙
と分けることができますが、商品ごとに細かく分類するとそれは膨大な数になります 。今回は、奥深く、それゆえにオモシロイ印刷の材料『紙』についてご紹介していきます。

静岡と紙のおはなし。

この静岡県は日本でも有数の紙の生産地として知られています。
富士山周辺、富士川上流の地域では古くより紙すきが行われ、しなやかで質の高いその紙は、江戸時代中期には江戸にまで流通するようになったようです。そして明治期に、豊富な水資源、原材料となる木材の供給に適し近代製紙産業が盛んに行われる地域として発展しました。もちろん、この静岡市にも製紙業を営む魅力的な会社が沢山あります。抜群の書き心地で文具ファンの心を掴むトモエリバーも静岡市で誕生した用紙です。

印刷と紙のおはなし。

印刷で使用する紙は、こういう姿で購入しています。


紙のラベル


紙の包みには「 名前 」「 厚さ 」「サイズ」「 枚数 」を記したラベルが貼られています。


「FSユトリログロスマット」「76.5kg」「936.636㎜」「250枚」

実はこのラベルが貼られている位置も、とても大事。
画像のラベルの位置から、この用紙が「横目」であることがわかります。

紙の厚さ

紙の厚さは画像のラベルのように「kg」と重さで表します。この「76.5kg」は、この用紙の1000枚の重さが76.5kgという意味です。
重量が重くなるほど「1枚あたりの重さが増える」=「紙が厚い」ということになります。
本当にわずかな違いですが、印刷物の用途、加工ごとに適切な厚さが異なり、熟練したオペレーターや営業は指で触るだけで、用紙の厚さを言い当てることができます。

紙の目

紙を作る工程で、材料の繊維の方向を「目なり」といいます。
「繊維の方向なんてどっちでも良くない?」と思われるかもしれませんが、印刷会社にとって紙の「目なり」はとても重要。印刷の仕事は、印刷だけで終わらず加工まで承ることがほとんど。本にするためにも、パンフレットにするためにも、紙を折る工程が存在します。
・紙の目にそって(順目)折るとキレイに折れる。


・紙の目と違う方向(逆目)で折ると キレイに折れない。


紙の目は、仕上がりの品質に直結する大事な要素なのです!!

紙の種類

印刷会社がよく使う紙は、おおまかに非塗工紙、塗工紙、特殊紙、情報用紙に大別できます。

非塗工紙

非塗工紙は、非塗工の紙です。
「非塗工=つまり塗工していない…それって、普通の紙では?」と察したあなた、慧眼です!!ひらたく言えば、非塗工紙は普通の紙のことです。そのため普通紙とも呼ばれることもあります。さまざまな印刷に使用され、みなさんが目にする機会が一番多い紙かもしれません。身の回りを見回して目につく、コピー用紙、ノート、メモ帳にもこの紙が使われています。非塗工紙はさらに、上質紙、再生紙、普通紙に分類されます。

塗工紙

紙の表面を塗料でコーティングした用紙です。紙の表面に光沢があったり、すべすべとしていたりするのが塗工紙です。表面をコーティングすることで表面が平になりインクの発色が良くなり、写真をキレイに印刷することができます。そのため、写真の表現が重要なチラシ、ポスター、カタログ、雑誌の表紙などで使われています。

特殊紙

表面の加工だけでなく、製紙会社各社が独自の製法や材料で製造した用紙です。非塗工紙、塗工紙、情報紙以外の紙のほぼ全てが特殊紙に含まれるため膨大な種類があります。色、質感はもちろん、木材パルプ以外の材料を使用した製品もあります。特殊だからこそ値は張りますが、唯一無二の表現を実現できます。

情報用紙

みなさんも一度は触れたことのある、運送業者さんの送り状に使われている複写の用紙などが情報用紙といわれるものです。その他感熱紙など、特殊な薬剤を使用した特別な機能を持った紙たちです。



紙の色、塗工は千差万別、本当に膨大な種類があり、それごとに印刷表現も変化します。そのため印刷業を営む私たちは、紙の知識が必要で、紙のプロフェッショナルでもあります。
紙の魅力オモシロさを広める『カミアウ』というわが社厳選の紙のアソート商品も、様々な印刷用紙と出会い取り扱ってきた印刷会社ならでは視点から誕生しました。

最後に

今回ご紹介したのは、印刷の良き友、紙のおはなしでした。一時は、「紙を使うなんて環境破壊だ!」なんて声が大きかった時代もありましたが、紙は再生のサイクルが確立された「eco素材」として見直され、カーボンニュートラル時代に沿った素材として注目されています。きっと、みなさんの暮らしの中にも様々な紙製品が活躍をしていると思いますので、少し目を向け紙のオモシロさに触れてみてはいかがでしょうか?
次回も印刷会社ならではの「オモシロイ」に目を向けてご紹介いたします!!


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