Mim

米国南部駐在です。奥さんと子供と犬と一緒に暮らしています。暮らしの過程で感じた/気付い…

Mim

米国南部駐在です。奥さんと子供と犬と一緒に暮らしています。暮らしの過程で感じた/気付いたあれこれを日々の感想として綴っています。

最近の記事

Hot Chocolate 5K

2024をむかえてすでに1ヶ月が過ぎてしまったが、昨年の11月後半からバタバタとしていて、規則正しい生活ができず、どうにも調子が出なかった。子育てで時間がなかなか定まらないというのはあるとしても、それを差し引いても自分の自堕落さにちょっと嫌気がさしてくる。 決めたことを決めたようにできないというのが、私の自然な状態だとすると、決めたことを決めたように着実に遂行していくのは、これは非常な努力を必要として、長期にわたって継続するのはしんどいから、巷でよくいわれるように習慣として日

    • アメリカ郊外の住宅 #2

      自分のことは自分で決めるアメリカの個人主義はもはやステレオタイプで、それよりは合理的な思考と行動を規範とするといったほうが、より実態に近いと感じるが、たしかにアメリカで生活していると、自分のことは自分で決めないと物事が前に進まない。 誰も助けてくれないわけではないが、頼まれてもいないのに手を差し伸べるのは、その人の実力を過小評価しているとする見方もあるわけで、たいていの場合こっちから求めないと周囲は手を差し伸べていいいかわからないから、ヘルプが得られない。これはアメリカにいる

      • アメリカ郊外の住宅 #1

        学部生として建築を専攻していたので、外出した際に目をひく建物があるとつい誰の設計かななんて気になって調べたりするのだが、アメリカの郊外を走っているとかつての設計の授業であれこれ考えていた土地の属性や周辺環境との関係性を考える必要がないくらいにそれぞれの住宅が広く大きくいずれも似たような様式で完結している。 こういう環境に長く身を置いていると、住宅設計に限っては、所有できる面積が大きければ大きいほど、すなわちそれはお金に余裕があることを意味するのだが、広い部屋と高い天井の容れ物

        • 民俗 米国の郊外

          僕はその時々によって趣味というか興味をもつ対象が変遷していて、趣味はあるかと問われると困るのだが、ただ継続して民俗学や妖怪の類の話は好きでこれは緩やかに長く続いている。 工作が好きで、子供ができてからはいつ役にたつかわからないガラクタを捨てずにとっておいては、これはブリコラージュだといって、なにかの拍子にそれらを使って刹那的に楽しそうなおもちゃを作ったりする。 なにかの本でレヴィ=ストロースは旅行先ではその都市の市場に足を運ぶというのがあって、なぜなら生活文化、慣習は食べも

        Hot Chocolate 5K

          『Karate Kid』 と 『ベスト・キッド』 #3

          と、まあいろいろ書いてきて、結局なにが言いたかったというと、『ベスト・キッド』シリーズの先にちらつく日本が、いかにもな米国視点で描かれていて、20世紀後期の米国において日本がどのように受容されていたかを知るには面白いということである。 想像上の日本であり、米国民が期待した日本。 いまだにアメリカの日本は、かつてのステレオタイプがいたるところに散見されて、現代日本に関心がある米国人は、アニメ好きをのぞいて非常に少ないに違いない。つまりアメリカの日本は『ベスト・キッド』が公開さ

          『Karate Kid』 と 『ベスト・キッド』 #3

          『Karate Kid』 と 『ベスト・キッド』 #2

          『Karete Kid』が公開された年は1984年で、日本のバブル時代は1986年からとされている。『2』は86年で『3』は89年だから、『Karete Kid』の観客の視線の先には、経済で最近とみに調子を上げてきた東洋の島国がちらついていたのは想像に難くない。 まず映画タイトルの邦訳が、Karateでないのが面白い。オリジナルはKarateで、これは現地では非常にアイキャッチで、興味を引くだろう。 当時、米国に空手がどれくらい普及していたかは知らないが、東洋の武術をアメリカ

          『Karate Kid』 と 『ベスト・キッド』 #2

          『Karate Kid』 と 『ベスト・キッド』 #1

          『Karate Kid』はずいぶんと昔に観たが、米国にて来てから近くのモールで映画フェスで上映していたのを観たのが2年ほど前で、かれこれ30年ぶりくらいに再び観る機会に恵まれた。パンデミックがはじまる前年の夏だったか春だったかはっきりとはしないが、野外上映で外が暗くなってから上映がはじまることになっていて、しかしサマータイムで日没時間がきてもなかなか暗くならないので、こういうのはたいてい時間通りにはじまらない。それでもアメリカ人は文句ひとつ言わずに、適当にワイワイして待ってい

          『Karate Kid』 と 『ベスト・キッド』 #1

          コロナ外出制限中の生活雑記

          さながら世界戦争の様相を呈している。世界各国がそれぞれの国力を総動員してコロナに立ち向かっている2020年の春。アトランタは早くも桜が散って、新緑が芽吹きはじめた。 コロナの恐怖に怯えながら、家にこもっての生活がつづくと、まず朝起きるのがつらくなって、仕事にとりかかるのが遅くなった。外出制限が2週間を過ぎた頃には、朝から夜まで終日眠気を感じることもあった。 そうするとメンタルが少しずつ鈍くなっていく。運動が億劫になって、食べる量も減って、読書も進まない。気がつけば、ついついス

          コロナ外出制限中の生活雑記

          チュニカへの旅 3

          カジノにははじめて入った。 映画でみるような光景がサイズをやや小さくして目の前に広がっているのだが、ここはチュニカだから華やかさはない。感慨もない。昭和時代の家庭の夕食のようにオレンジ色だ。地元住人が生活の息抜きに、あるいは暇つぶしに来ているのだろう。タバコを片手にスロットマシーンを打ち、前歯がない人もいた。 ここはチュニカだ。 チュニカにはチュニカのルールがある。よそ者はおとなしくゲームに興じていればいいのだ。 ATMでキャッシュを引き出そうとすると、カードがはじかれた。そ

          チュニカへの旅 3

          チュニカへの旅 2

          「どこから来たの?」 「日本人だけど、今はアトランタに住んでる。車でここまで来た」 「よく来たわね。ここで泊まっていくの?」 「そうだよ。このあたりのホテルだけど、どこにあるかわからない」 「なんてホテル?」 「ハリウッドなんとか」 「ああ。そのホテルだとここからまだ10分はあるわ」 と、いった適当な会話をチュニカのゲートウェイの店員さんと交わした。 ここのゲートウェイは観光案内所でもあって、土地の土産を売っているのだが、見たところ音楽関係のものが多い。で、説明書きを読んで

          チュニカへの旅 2

          Midsommar 感想

          奇妙だけど、面白かったです。 白夜のスウェーデンのコミューンに訪れたアメリカ人の話なんですけど、あるまとまった信仰集団に、外部から来た者が近づくと起こり得ることが期待通りに起きていきます。しかもそのコミューンは90年にいちどの大祭なので、非日常感しかありません。 観ている側とすれば、白夜のスウェーデン自体がすでに非日常で、過剰に綺麗な風景描写とあいまって、不気味な印象しかありません。もちろん観る側としては、この映画がおおよそどういう内容かはわかったうえで観ているので、こういっ

          Midsommar 感想

          チュニカへの旅 1

          週末にどこかに行こうって話になって、車で7時間くらいかけてミシシッピ州のよく知らない街に来た。なぜここに来たかというと、ハイウェイが通っていて車での移動が楽なのと、おそらく観光地でもなんでもないただの田舎だからなのだが、実際に来てみると、本当になにもなくてとてもいい。 途中で休憩がてらカフェに入ったり、レコード屋に寄ったりして、結局出発してから10時間くらいで到着した。妻と何度か交代しての運転で、都市部からはなれると車の量は少なく、道幅も広いので、思っていたよりも疲れていない

          チュニカへの旅 1

          ロッテルダムで考えたこと

          ロッテルダムは欧州の港の玄関口である。とくにアジアからの船便は他の欧州の都市よりも近くて安い、ということを現地の倉庫会社の人が言っていた。 この土地では輸送産業のみならず、あらゆる産業、あらゆる業務で、システマチックに物事を処理する能力に長けていて、その結果、働いている人たちの生産性はとてもいいのだそうだ。 国も国民も、足並み揃って、生産性を上げることへの理解が深いのだろうと思うのだが、こういうのもやっぱり教育やメディアによって国民の大枠としての性向がつくりあげられていくのだ

          ロッテルダムで考えたこと

          2月の週末にDCに行ってきた

          朝早くIADに到着すると、雨が降っていた。ホテルはエアービーで予約していて、アーリーチェックインができないかとホストに問い合わせると、3時まで待ってくれとのこと。空港のスタバで1時間くらい過ごした後で、電車で移動して10時オープンの自然史博物館に行くことにした。 でかめのスーツケースがひとつあるのだが、預けるロッカーがない。行けばなんとかなるだろうと考えていたが、なんともならなかった。自然史博物館も歴史博物館も入るときは荷物チェックがあって、彼らはもちろんスーツケースの中身ま

          2月の週末にDCに行ってきた

          1週間の欧州滞在

          2月22日から28日は欧州にいた。 と、いっても一箇所にとどまっていたわけじゃなくて、22日から25日まではオランダのロッテルダム。25日から27日はスコットランド。27日と28日はドイツのフランクフルトで、28日の夕方にようやくアムステルダムに戻ってきて、29日のフライトでアトランタに帰ってきた。疲れた。この時期の北欧州はおおむね天気がわるい。曇りと雨が何日も続く。とくにオランダは、ちょっと昼食を取りに近くのレストランに行くのにも、向かい風が強くてまっすぐ歩くのさえ大変だっ

          1週間の欧州滞在

          9月のチューリヒで感じた秋感

          9月の最初の週はチューリヒにいた。正確にはZurichから少しはなれたOerlikonという駅で、金曜日の夜に時間が空いたから、SBBでZurichに出て夕食をとることにした。といっても一人なので、レストランで食事をとる気にもなれずにラーメン屋に入る。 僕はラーメンが食べたかったわけではない。出張中はどこに滞在してもそうだが、基本的にホテルから外出はしない。旅行が得意ではなく、観光は苦手である。でもホテルから出ると大なり小なりの発見があることはわかっている。だから外出するため

          9月のチューリヒで感じた秋感