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働きながら簿財2科目同時合格を目指すなら、スタディングの「簿財2科目合格コース」がベター

税理士試験にトライ中のアラフォーの”元”銀行員です。

先日15年以上務めた銀行を辞め、R4年11月に会計事務所に転職しました。未経験の仕事なので覚えることだらけでやはり大変ですが、銀行と違って罵声が飛んだり、上司に詰められたりといった文化はこの事務所には無さそうなので、その点は精神衛生上良いです(笑)。

R3年度試験でスタディングで簿記論・財表に合格し、R4年度試験はTACで「消費税法」の合格を勝ち取ることができました。

そして現在は、TACのWeb通信で「相続税法」を勉強中なのですが、この勉強の最中に「スタディングの税理士講座 簿財2科目合格コース」に対して改めて思うところがあり、スタディングの「再評価」ということで記事を書かせて頂きます。

以下概要です。

結論:以下の理由から「社会人が簿記論と財表を”同時受験”するのであれば大手予備校よりもスタディングを使うのがベター」。

  • 大手予備校はカリキュラムが膨大、講義ペースも早く、精神的にきつくなり途中で挫折する可能性が比較的高い。

  • 私は今現在TACで「相続税法」を受講しており週2回の講義があるが(1講義あたり3時間弱)、実体験としては週2の講義はきつい。演習問題を解くなど、各論点の復習に十分な時間が取れないまま進むというのが筆者の実情。

  • そしてTAC等の大手予備校は、簿記論・財表の2科目をやると週4回の講義。子供(保育園)がいて、平日2時間、休日4時間程度の自分の勉強時間のではまず無理。

  • 一方で、スタディングは講義配信がスローペース。1日2時間ほど時間が取れれば十分。演習問題もかなり少なく途中で挫折することはまずない。むしろ時間が余るのでその時間を使って演習問題を繰り返し解くことができ、基礎が定着する。

  • 結果としてスタディングを使えば、必要最低限の学力は身に付けた上で試験に臨むことができ、受験資格が撤廃されおそらく受験者数の増加が見込まれるR5年においては合格の可能性が高まると思われる。

  • 但し、スタディングのみでは応用力が付かないため、簿記論については他予備校の市販問題集も解くことは必須であると考える。

なお、当初の感想記事は以下の通りです(簿財の受験直後の失意のどん底時に書いたものです)。


1.大手予備校の週2回講義、結構きつい

まず、私の学習教材と、その講義の配信ペースですが、以下の通りです。

簿・財:スタディング 概ね月1回複数論点がまとめて配信される
消費税法:TAC(Web通信) 週1回の講義
相続税法:TAC(Web通信) 週2回の講義

私は簿・財のあとはTACの「Web通信」で「消費税法」をで受講しましたが、色々と寄り道をしたこともあり、TACでの学習を開始したのはR3年11月頃になってからと、若干スタートが遅くなりました。

ただ、消費税法は週1回の講義配信だったため、遅れを取り戻すことはそれほど難しくなく、年末から始まった上級演習からは通常の配信ペースに乗ることができました。

一方で現在やっている「相続税法」、これは「週2回」の講義ペースです。この2回というのが正直しんどいです。

特にきつく感じるのは、約3時間の講義の視聴です。視聴速度は1.4倍程度にしているのですが、私の場合、テキストに結構書き込みをしたり、理解できなかった時に講義を止めたりしています。

現在の私の勉強スタイルは、
 ・平日は夜22~24時の2時間
 ・休日は平日と同じ夜22~24時に加え、子供が昼寝をしている13~15時の計約4時間、
と、1週当たり18時間ほどの学習時間です。(なお、上記とは別に通勤時間の約40分で理論暗記)

週2回の講義だと、講義視聴になんだかんだで5時間ほどを取られ、残りの13時間ほどで演習問題を解くという形です。

そして相続税法だと1週間あたりにこなさなければならない演習問題も消費税法に比べると2倍ほどのボリュームがあります。理論も多く、正直、消化不良を起こしています。

「消費税法」の講義は週1回だったので、講義でやった範囲の演習問題は最低でも2回は回すことが出来ていましたし、前回以前の講義でやった論点の復習をしたりする時間も十分に取れていました。

2.大手予備校の週4回講義、無理じゃね?

大手予備校で簿記論と財務諸表論をやろうとすると各2回、合計4回の講義があります。加えて演習問題。

私だったら講義視聴のみで1週間が終わりそうです・・・

どんな試験もそうだと思いますが、実際に手を動かして問題を解かないとなかなか身に付かないですよね。。ハイペースな講義で論点をどんどん詰め込まれても、アウトプットに時間を充てられなければ合格には近づけないと思います。

テキストや演習問題集も相当な量だと聞いています。TACで学習していた銀行の後輩がいたのですが、精神的にきつくなり、もはや開けてすらいない箱が積み重なっていると。

なるほど大手予備校のカリキュラムをこなすことが出来れば合格は相当近づくのだと思います。ただ、果たしてこのペースについていける「社会人」はどれくらいいるのかは疑問です。ましてや小さい子供がいるご家庭ではなおさらです。TACを選択していたら簿・財2科目の同時合格はおそらくなかったと思います。


3.大手予備校の財表、週2回も講義必要?

この点は後ろでも述べますが、ぶっちゃけ財表は週2回も講義は不要ではないかと思います。

まず計算については、簿記論レベルの計算問題を学習していれば、財表の計算問題はノータッチでもほぼ解けるようになると思います。受験歴がある方だとわかると思いますが財表の計算問題ってなんとなく素直で解きやすいんですよね(自分だけ?)。

ですので、スタディングの簿記論の演習問題だけを解いていれば、財表の本試験のレベルの問題にも十分対応できると思います。

ただ、個別注記表など財表特有の論点は押さえておく必要はあります。

また、肝心の理論についてですが、税法科目と違って規定等の背景があまりわからなくても文章を読んでいれば私はなんとなく理解ができました。というか、「こういうのものだ」と思うしかないような気がします。そしてあとは暗記するだけです。

スタディングの講義動画はけっこう短かったと思いますが、それでも十分でした。結果、大手予備校のような週2回×約3時間の講義っているかな?というのが正直な感想です。


4.社会人ならスタディングがベターな理由

スタディングの簿・財2科目パック。講義ペースは相当ゆっくりで、演習問題も少な目ですので挫折することはまずないと思います。
逆に言うと、これすらできないのであれば税理士試験はちょっとあきらめた方が良いかと・・・
以下詳細です。

(1)スキマ時間の活用

「スキマ時間」という単語ってよく聞きますが、机に噛り付かなければ勉強にならないTACを受講してみて、スキマ時間の有難さをものすごく感じました。

スタディングは概ね月1回、複数の論点がまとめて配信されます。配信された瞬間は「多っ!」と思うのですが、それほど負担はなかったです。

ポイントは「講義視聴はスキマ時間でできる」ということです。

スタディングは基本的にWeb講義だけで学習します。Web画面に必要な情報がすべて映し出され、それに合わせて講義が進みます。

紙のテキストを傍らに置いておく必要がないため、電車の中でもスマホ片手で勉強ができます。そして画面を見ているだけで十分論点の理解が進みます。(スタディングの簿財コースの中村講師の説明はわかりやすいです。)

結果として、自宅にいるときは演習問題に集中できるということになりますが、これがかなり良かったですね。

一方で、TACはWeb通信と言えどテキストに沿って講義が進みますので、電車内でスマホ片手にというわけにはいきません。TACの簿・財テキストを見たことがないので不確かな点はありますが、消費・相続に限って言えばテキストを開かないと勉強になりません。家で机に噛り付いて講義視聴をする必要があります。

まあ、その分通勤時間は理論暗記に費やすことはできるのですが。

ちなみにスタディングですが、別売の冊子オプションの紙ベースの問題集、これは絶対買った方が良いと思います。私も初めはパソコンの画面で見ながら問題を解いていましたが、ページを行ったり来たりしないと問題が見れなかったり、書き込みができないなど、本試験と状況が違い過ぎます。安くはありませんがそこは自己投資と割り切って紙ベースの問題集は買った方が良いです。


(2)スタディングのこま切れ講義、実は良い

もう1点、大手予備校の講義と比較し良い点として、スタディングの講義は各論点を短く区切ってある点です。結果として、以下メリットがあります。
 ①論点ごとに立ち止まって考えることができる。
 ②後で講義動画を見返したいときに検索が楽。

例えば、TACの相続税法。ある1講義では以下4つの論点の説明がありました。
 ①生命保険金等
 ②退職手当金等
 ③相続税の非課税財産
 ④債務控除

3時間の講義の上記4つの論点を取り上げるわけです。そして演習問題も上記4つの論点に関するものがセットになっています。

スタディングであれば生命保険金等で1講義、退職手当金等で1講義、とこま切れになっており、講義時間も短いです。そして1講義ごとに演習問題が用意されています。

大手予備校のように複数論点を一度の講義で進められると、「ん?」という点があっても立ち止まれません(画面止めればいいんですけどね)。もやもやしたまま講義が進んでいくことがたまにあり、結果として詰め込まれている感が強いです。

また、いざ演習問題を解こうとするときに、「あれ、ここってなんて説明してたっけ?」と思い、もう1回説明を聞こうと思っても3時間の講義の中から該当箇所を探し出すのにはけっこう手間暇がかかるというのがデメリットがあります。(けっこうテキストに書いていないことも講師が説明しているんですよね・・・結果としてテキストだけでは理解が不十分な時があります。)

ですので、スタディングのように講義がこま切れになっていれば、立ち止まりながら考えられますし、再度講義を探し出すのも楽です。


(3)不安なくらい時間に余裕ができる

変な見出しですが、スタディングの講義ペースでやっていくと時間がかなり余ります。

前述したとおり、スタディングでは月1回ほどまとめて複数論点がアップされます。これら論点を解くのに1ヶ月かかるか?ということですが、、、

全くかかりません。

講義は電車で視聴、家では演習問題、このスタイルでやっていけば時間が余りますので、余った時間で過去の論点を再復習することができるわけです。

結果として基礎が定着しやすいということだと思います。

(4)但し応用力はつかない

スタディングの最大のデメリットは、演習問題だけでは応用力がつかないという点かなと思います。少なくとも私はダメでした。

今現在12月で初学者の方だと学習範囲が終わっていないため過去問を解くのはまだ無理だと思いますが、私は4月に初めて過去問に取り組んだ時、泣きたくなるくらいマジでほんとに解けなかったですね・・・

本試験は問題文が、なんというか言い回しがちょっと独特な感じなんですよね。というか、スタディングの問題が簡単過ぎだったのだと思います。

大手予備校は問題にA、B、Cのランク付けをしており、
 Aランクは解けなければマズイ、
 Bランクは解ければ他者に差をつけられ合格に近づく、
 Cランクは手を出してはダメ、
みたいなランクです。

スタディングをやり切ればA問題には十分対応ができますが、本試験のレベルの問題文に慣れておかないと、問題文からAランク問題を判別することすら難しいときがあるため、この力は大手予備校の市販問題集や模試を受けることで養っておく必要があると思います。

ただ、大手予備校が言う「Aランク」と言われる問題、「Aランク」と言いつつ結構難しいと思います・・・体感としては。

※蛇足ですが、TACが確かAランクに位置付けている「人件費」関係の問題、スタディングでは当時は取り上げていなかったので、ここは市販問題で補っておく必要があると思います。

なお、スタディングの直前期コースでは、2021年版では簿記と財表でそれぞれ9回分の演習問題が送られてきますが、これだけではまた時間が余ります。私はこの間にTACの総合問題集の基礎編と応用編をやり始めました。


(5)大手予備校に通うのなら直前期のみ

4月くらいからの「直前期」からは大手予備校に通うのも有りだと思います。

理由としては、前項で応用力を養うため大手予備校の市販問題集を使うのが良いと書きましたが、大手予備校の市販問題、解答があっさりしているので、理解するのに相当な時間を要するんですよね。。これ、相当きつかったです。「わかんねーっ!」と叫びたくなるくらい・・・(というか叫びました)

私はTACの総合問題集の基礎編と応用編を使いましたが、わかりづらいところはほんとわかりづらかったです。スタディングと解き方も違うものがかなりありましたし。ほんと時間が掛かりました・・・

そんなときに講師に直接質問が出来ればかなり効率が良くなるかなと思います。

但し、大手予備校では、直前期は試験レベルに近い難しい問題ばかりやっていくはずですので、スタディングの問題すらやり切れておらず基礎が固まっていないということであれば、難しい論点を詰め込まされるよりは、簡単な問題を何度もやっていた方が良いかもしれません。

なお、市販問題集を買うのであればTACをおススメします。一度だけ大原の予想問題を解きましたが、解説文、めちゃくちゃわかりづらかったですね。あの時はもはや理解するのをあきらめました。

税法科目でTAC・大原のどちらを選択するかで迷ったときに、大原に相談電話をしたのですが、「簿記論の市販問題の解説すごいわかりづらかったのですが、大原の教材って普段からあんな感じなんですか?」と質問したら、「あー、簿記論はよくそう言われますね」との回答でしたので。。

(6)財表だけならスタディングのみで合格可能

上述しましたが、財表の計算問題であれば、スタディングの簿記の教材だけでも十分解けるようになりました。

ですので財表のみを受験する方でも、スタディングの簿財2科目パックは有りだと思います。2科目でも大手予備校の1科目分の半分以下の値段ですし。

理論については、もちろんスタディングの講義での説明はありますが、読めばなんとなく理解できるというものが多く、私は特に困ることはありませんでした。

また、穴埋めが結構多いためスタディングの理論暗記ツールは非常に有効だと思います。

ただ、記述問題については、大手予備校と比べると取り上げている範囲が狭いため、簿記論同様、市販問題集で補っておく必要があると思います。

私はTACの「理論問題集 応用編」を買ってぱらぱらと読んでました。問題を読んだらすぐに解答を見て、その解答を覚えてしまうという感じですね。

R3年度に私が財表を受験した際、修繕引当金に関する記述式の問題がありましたが、スタディングではやっていない内容でした。ただ、TACの市販問題集でお目にかかったことがあった論点であったため、ぼんやりと書くことができ白紙は回避できました。


終わりに

この記事は、「TACでボリュームの多い税法科目をやり始めてから、改めて考えるとスタディングの簿財コースって良かったな」、という話でした。

簿記論と財表はR5年度試験から資格要件が撤廃されますので、おそらく受験者数が増えると予想しています。特に大学生ですかね。

税理士試験は相対評価のため、受験者数の母数が増えればそれだけ合格者数も増えます。

そんな中、きっちり試験範囲をやり切り、且つ、基礎を固めていることができれば、ぐっと合格に近づけるはずだと思います。

但し、簿記論・財表に限ってです。

他の記事でも書きましたが、税法については私は消費税法と相続税法、スタディングでどちらも申し込んで一応数か月使ってみましたが、税法はテキストが無いと正直キツイですね。見返したい論点がある際にいちいちWebテキストを開かなければならないので。

また、演習問題も少なすぎるため、地力がなかなかつかない気がします。特に消費税は課税区分(課税とか非課税とか)のパターンを如何にたくさん覚えているかが1つのポイントだと感じましたが、演習問題が少なすぎるため、こういった知識をなかなか増やすことができませんでした。

理論も本試験は穴埋めでなく条文や規定を丸々書く必要があるため、穴埋め形式で覚える理論暗記ツールではかなりやりづらかったです。理論暗記も紙ベースのテキストでやるのがベターだと思います。書き込みもできますし。

値上げしてでも良いので、税法科目については紙のテキストも準備してくれると有難いと思います。

いずれにしろ、R5年度試験から資格要件が撤廃される簿記論、財表はチャンスだと思います。

以上です。

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