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能登半島地震被災学生への奨学金の受付開始は歓迎すべきだが、学生支援機構はあくまでも金貸しである


能登半島地震

先日から複数記事にしていますが、今回も能登半島地震に関わる話題を一つ。

高等教育機関に在籍する学生への奨学金を取り扱う学生支援機構は先日の能登半島地震で被災した学生に対し、奨学金の受付を開始したというニュースが入ってきました。

受け付けるのは以下のようなものです。

  1. 家計が急変した学生への奨学金

  2. 奨学金の減額返還、返還期限猶予

  3. 災害支援金

対象となるのは大学や短大、高等専門学校など高等教育機関に在籍する学生で、申請の際には罹災証明書が必要となるようです。

速やかな対応だが…

この対応自体はスピーディーで学資に不安を抱えている学生にとっては安心材料の一つとなるでしょう。

しかし、一教員として私が気になるのは記事中における以下の一文です。

手続きは在籍する学校を通じて行う。

今回の地震の場合、2の現時点で借りている奨学金の減額返還や返還期限猶予に関しては個人でインターネットでの申し込みが可能ですが、1と3に関してはこの一文が必ず付記されています。

事務手続きの人件費を学校教員、事務に押し付ける組織

学生支援機構は奨学金の受付業務のほとんどを申込者の在籍校に丸投げしているということで有名です。

学生支援機構の奨学金は高等教育機関の在籍者が対象ですが、高校3年生を対象にして「予約奨学生」という制度が存在します。

予約奨学生は高3の春~夏にかけて各高校を通じて生徒に周知され、申し込み手続きを行います。この審査に通れば、大学進学初月から奨学金が振り込まれるため、多くの生徒は申し込みを行います。
(大学入学後にも募集がありますが、この場合は7月ごろに過去の3か月分ほどがまとめて振り込まれる形になるため、入学後すぐの生活費などに充てることができません。)

この手続きの窓口が各高校、大学の教職員となっており、当然ながらこの業務に関して学生支援機構からは手当がでることもありません。

自組織の業務を他の団体に丸投げしているという悪弊がまかり通っているということです。

学生支援のためには人件費を削る必要がある?

こうした問題に関して「学生支援のためには仕方ない、人件費を削減しているのだ」という意味不明な弁護をする人がわいてきます。

確かに身銭を切って学生を支援している組織であればそのロジックにも妥当性はあるでしょう。

しかし、実際には利子収入などで学生支援機構は経常利益で数十億円を上げる団体です。

純資産は数百億円規模であり、どう考えても自組織で業務を賄えないわけがないのです。

かつての紙ベースの申し込みであれば、各学校に業務負担を依存しなければ運営が難しかったのも分かりますが、現代においてはインターネットを利用して個人で申し込む方がよほどスムーズです。
(今の予約奨学生制度も実際にはネット申し込みをするにも関わらず、各学校に説明や集約業務を割り振っています)

事実、返済の減額等に関してはすでに大学を卒業した社会人が主な対象者であるためにネットでの直接申し込みを可能にしています。

学生支援機構は金貸しであるという事実

学生支援機構によって助かった学生がいることは否定しません。私自身も奨学金を借りていました。

とはいえ、実際には利息を払って返したわけで、あくまでも金貸しに金を借りて返したにすぎません。

彼らが全ての学生から利子を受け取らないというのであれば慈善団体として認識もできますが、実際には学生の弱みに付け込んだ体の良い金貸しに過ぎないということは借りる学生側も理解しておく必要はあるかもしれません。


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