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「ウズラの卵事件」を教員側と保護者側の双方から考察して感じる対策の難しさ


「ウズラの卵事件」

先日、福岡県において学校給食の時に出されたウズラの卵をのどに詰まらせて、小学1年生が窒息死する事件が発生したことが話題になりました。

その事件に関して、全国で対応が広がっていますが多くの一部の自治体ではすでにウズラの卵を給食のメニューから排除する動きがあるようです。

事件になった以上、危険性が存在する以上こうした動きがあるのは予想できました。

冷静に考えると

まず客観的にこの事件について考えることにします。

ウズラの卵自体は小学生が口にした場合、飲み込んでのどに詰まらせる可能性がある食材であることは否定できません。

とはいえ当然ながら食材はきちんと咀嚼すべきものですし、しっかり噛んで食べれば危険なものでないのは明らかです。

仮にこうした食材の危険性を疑いだした場合、食塩や醤油も致死性の毒物であると言えますし、水さえも危険物となります。

そこまで言わなくとも、大きめの食材はすべて危険ということになり、ゼロリスクを追求する場合は流動食を出すしかなくなるでしょう。

咀嚼教育の必要性

常識的に考えれば、食事の指導を行っていれば可能な限りリスクを下げることは可能です。

群馬県前橋市の小川市長のコメントにもあるように、むしろ遠ざけるよりもしっかりと教育を行い、食育をすべきであるという考えが最も適切な対応でしょう。

ただし、考えなければならないのは、こうした教育は学校前提ではなくまずは家庭で行うべき、ということです。

食事のマナーや作法、常識などは家庭教育の範疇であり、学校で箸の上げ下げまで学べると考えるのは筋違いです。

各家庭で責任を負うべきでしょう。

教員の立場から

とはいえ教員側からすると、こうしたリスクのある食材が出るたびに毎回のように教育を行うことがどこまで徹底できるか、かなり疑問です。

私は給食指導に携わったことがないため、あくまでも聞きかじりでしかありませんが、小学校の先生は空き時間もほとんど無い中で食事中も教室で給食指導をしていると聞きます。

その上に毎回の食事に入っている食材のリスクを確認し、生徒に伝え指導することができるでしょうか。どう考えても不可能でしょう。

加えて一部の保護者からは給食にウズラの卵が入っていることに対してのクレームが発生することも目に見えています。

したがって、使用食材から排除されるという対応は子供たちの命を守るだけでなく、現場の教員を救う動きでもあるのです。

保護者の立場から

私には小学生の子供がいて、家庭ではそうした咀嚼教育を行っているつもりです。(いかんせん自身が早食いのために説得力が無いのですが…)

また給食においてもしっかり噛む、食事中にふざけないといったことは伝えているつもりですが、小学生が複数いる環境で盛り上がっているときにどこまで子供の自制心が働くのか、これは微妙です。
(特に男子小学生はブレーキが利かなくなる状況が度々発生します)

仮に担任の先生が事前に注意をしたとしても、そうした注意を聞き入れずにふざける生徒は存在するでしょう。

そう考えれば、食材からの排除が最もシンプルな対策になってしまうのです。

一方でウズラの卵は家庭で食する機会が少なく、私はほぼ外食か給食で食べた経験しかありません。そうした食材を知る食育の機会を失うこともまたもったいないようにも感じます。

しかし、小学生のおふざけで…というように思考がループしてしまいます。

着地点は排除一択か

繰り返しになりますが、ウズラの卵自体は他の食品と比べても決して危険な食材ではないし、給食に出しておかしいものではありません。

しかし、リスク管理、小学生という特性と教員側の負担を考えると、現状ではウズラの卵排除の方向性は止む無しなのかもしれません。

あるいは給食を廃止して、家庭からの持ち込み弁当かそうした対応が難しい家庭向けに念書を書いた上での仕出し弁当という形も考えられますが、現状からの変更要素が大きすぎて実現性は低いでしょう。

各人、各家庭ができることは子供にきちんと咀嚼して食べることを家庭内においてしっかり教育することなのではないでしょうか。
(と、自身にも言い聞かせています)

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