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「ZEN大学(仮称・設置構想中)」と数学への本気具合が凄まじい

先日、N高等学校を運営するドワンゴが日本財団と共同で運営する「ZEN大学(仮称・設置構想中)」(以下「ZEN大学」)の設置に関するプレス発表が行われました。

「ZEN大学」私立通信制大学で、2025年4月の開学を予定しているそうです。

設置学部は「知能情報社会学部」の1学部のみで、全ての授業がオンラインによる映像授業で行われ、通学の必要は無いとしています。

現在においても通信制の大学は国内に複数存在しますが、それらの多くは社会人の学び直しやリスキリングに利用される側面が強く、高校卒業してすぐの生徒の選択肢には入りにくい存在でした。

今回の「ZEN大学」は「N高等学校」卒業生の受け皿としても考えられているため、18歳の現役受験生をターゲットとして構想されているようです。

大学の特徴

開学初年度の入学者定員は5,000人を想定しており、全学の定員数は20,000人を考えているそうです。

また、1年当たりの授業料は38万円を想定しているなど、私立大学の学費や都心での生活費を捻出できない家庭の受験生もターゲットとしています。

「知能情報社会学部」は文理を問わず入学でき、社会を生き抜く上で必要となるリテラシーを定義し、「人文・社会」「情報」「数理科学」「デジタル産業」「クリエイティブ」の5つの学びからなる関連科目を設置するとしています。

これだけでは詳しい内容は不明ですが、数理科学および人工知能の知識を専門としつつも、人文社会やデザインなどの広範な分野にも知見のある人材の育成を目指すというところでしょう。

この辺りは近年新設のデータサイエンス系学部と近いでしょう。

また、すべての授業がオンラインで完結するというのは特徴であり、大きな魅力でしょう。

数学の本気具合

このようにいろいろな魅力ある制度や仕組みを整えた大学が「ZEN大学」です。

しかしそれらが霞むほどに力を入れている分野があります。

それが数学に関してです。

IUT(宇宙際タイヒミュラー理論)理論研究拠点を設置し、その所長に元東京工業大学教授の加藤文元氏、副所長にはノッティンガム大学教授のイバン・フェセンコ氏と、国内、世界でもIUT研究で有名な二名を迎えるなど、その本気具合は推して知るべしでしょう。

「ZEN大学」の発起人でドワンゴ創業者の川上量生氏は数学を学び直すなど、数学への造詣が深い人物で、N高校においても「数理空間 トポス」といった数学学習の場を設置しています。

またIUT研究拠点所長の加藤文元氏は角川ドワンゴ学園の理事に名を連ねており、今回の動きは予想できたものとはいえ、ここまで本気を出して数学研究に乗り出すのは想定外でした。

ちなみに個人的な話ですが、私の学生時代、加藤文元先生は熊本大学の教授で氏の講義を受講したのを覚えています。

担当教官ではなかったのでそれほど詳しい人柄は分かりませんが、良い意味で国立大学の教授らしからぬアグレッシブなタイプの方だった印象を覚えています。

数学、数理論理を学ぶ現状の最適解

大学で数学や数理論理を学ぶ場合、その環境の良し悪しはどうしても偏差値序列に従うことになりがちです。

しかし、この「ZEN大学」であれば、オンラインでの学習環境が整っている通信制大学でありながら、これほどの指導者と巡りあえます。

数学の学習はどうしても独学中心になりやすいこともあり、それほどリアルの大学のメリットを生かしにくいという側面もあります。

こうした複数の要素を加味すると、現状における数学、数理論理を学ぶ現状の最適解は「ZEN大学」となる可能性も十分にあるように感じます。

一先ずは設置認可が下りるなどの続報を待ちたいと思います。

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