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『THE EXORCIST エクソシスト 信じる者』のフライヤーをデザインから見る

映画『THE EXORCIST エクソシスト 信じる者』のフライヤーをデザインの視点から見てみる。


映画紹介

『エクソシスト』といえば、僕の「ホラー映画好き」としての人生を作った作品の一つである。小学校3年生くらいの時。我が家はTV派ではなく映画派であった。(僕としては意外と)珍しく、家族で夕食後の団欒をする際に映画をみていた。大抵は父親が何をみるかを決めていたのだが、とある日の 父親チョイスが本作品の原点、1973年公開の『エクソシスト』(The Exorcist)だった。

ちなみに、その時僕は小学校3年生、弟は幼稚園であった。その年の子供にとって、『エクソシスト』は明らかに致死量のホラーである。

圧倒的な映像恐怖で人生初めて見る「悪魔憑き」。その経験は、映画というフィクションではなく、実体験のようなインパクトで自分の中に居続けている。

『エクソシスト』は、1973年に公開されたアメリカのホラー映画で、ウィリアム・フリードキンが監督し、ウィリアム・ピーター・ブラッティが脚本を手掛けました。以下は映画の簡単なあらすじです。

物語は、ワシントンD.C.の一家で起こる怪奇現象から始まります。主人公は、女性俳優クリス・マクニール(エレン・バースティン)とその娘のレーガン(リンダ・ブレア)です。クリスは仕事で忙しいが、レーガンの奇妙な挙動が次第にエスカレートしていきます。彼女は異常な力を示し、奇怪な音や物理的な変化が彼女の周りで発生します。

心配になったクリスは、最初は医師に相談しますが、医学的な説明がつかないため、次第に超自然的な要素を疑うようになります。彼女は最終的にカトリック教会の神父であるダミアン・カリス(ジェイソン・ミラー)に助けを求めます。カリスはレーガンが悪魔に憑かれている可能性があると判断し、エクソシスム(悪魔払い)を行うことを決意します。

映画は、カリスと別の経験豊富な神父メラン・バーク(マックス・フォン・シドー)が悪魔と対峙するエクソシスムのシーンでクライマックスに達します。この過程で、悪魔はさまざまな形でレーガンを苦しめ、神父たちは彼女を救うために奮闘します。

『エクソシスト』は、恐怖と宗教的な要素を組み合わせ、観客に強烈な印象を残しました。特に、リンダ・ブレアの演技と特殊効果が称賛され、ホラー映画の古典として認識されています。

chatGPT

僕が今ひたすらにホラー映画を漁っているのには、『エクソシスト』を超える作品を探していると言っても過言ではない。そして残念ながら、まだ見つかっていない。

最初で最高の悪魔憑きから十数年、エクソシストの続編が劇場で公開することを知った。
※正確には『エクソシスト2』などはすでにありますが。

1973年製作の名作ホラー映画「エクソシスト」の正統続編で、同作より50年後の現在を舞台に、悪魔に憑依された2人の少女が呼び覚ます恐怖を描いたホラー。

ビクターは12年前に妻を亡くし、娘のアンジェラを1人で育てている。ある日、アンジェラが親友キャサリンと一緒に森へ出かけたまま行方不明になってしまう。3日後、2人は無事に保護されるがその様子はどこかおかしく、突然暴れたり叫んだりと常軌を逸した行動を繰り返す。ビクターは50年前に同じような経験から愛娘を守り抜いた過去を持つクリス・マクニールに助けを求め、悪魔祓いの儀式を始めるが……。

「エクソシスト」でクリス・マクニールを演じたエレン・バースティンが引き続き同役を務め、「ハリエット」のレスリー・オドム・Jr.、「ヘレディタリー 継承」のアン・ダウド、カントリー歌手のジェニファー・ネトルズが共演。ブラムハウス・プロダクションズのジェイソン・ブラムが製作を手がけ、「ハロウィン」シリーズのデビッド・ゴードン・グリーンが監督を務めた。

2023年製作/111分/PG12/アメリカ
原題:The Exorcist: Believer
配給:東宝東和
劇場公開日:2023年12月1日

https://eiga.com/movie/100008/


フライヤーを見る

THE EXORCIST エクソシスト 信じる者

「お前ら、新たな『エクソシスト』だぞ」
と言わんばかりの、大胆なデザイン。
タイトルだけを載せる、というある意味の暴挙。

日本の映画のポスターといえば、より多くの人に映画を見てほしいがために、ポスターで「どんな映画か」を語っているものが多くある。そのために、登場人物や舞台などの視覚的をこれでもかと詰め込み、その上でキャッチコピーで十分すぎるほどに映画を語る。そのせいで、「海外版よりダサい」と言われることもしばしばである。

しかしこの映画は違う。タイトルだけを載せて、中央に大胆に空白を開けている。

ただ、この映画にはそれで十分なのである。ホラー映画を好きで、73年版のエクソシストを見たことも聞いたこともない人はいない。断言する。そのネームバリューがあってこそできる、このデザインなのである。

むしろ、黒く光るフライヤーの反射で、73年のエクソシストで植え付けられたあの恐怖が脳裏に映る。暗闇から、「あの悪魔の顔」がフラッシュさえする。

1973年のエクソシスト

最初にフライヤーを見た時、1973年のエクソシストを思い返し「同じタイトル表記だ」と思った。

全然違った。

1973年版▼

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%88_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

2023年版▼

https://exorcist-believer.jp/news/


「THE」の配置は他を目立たせるために控えめになっており、
書体も若干縦長に、そして「セリフ」がより大きくなっていた。

欧文書体における、フォント(書体)の小さな装飾部分のことを指す。 文字の書き始めや書き終わりに付けるひげ飾りのことで、明朝体に見られる「留め、ハネ、払い」とは少し異なる装飾です。 そのため、日本語のフォントの装飾はセリフとは言いません。

https://ino-ue.jp/

そして、これが裏。(若干の閲覧注意)




THE EXORCIST エクソシスト 信じる者

比類なき
恐怖が
目覚める。

フライヤー全体の50%以上を占める面積をコピーで埋めている。そして、背景には今回悪魔に狙われたであろう女の子の顔。
表に負けじと、裏も大胆である。

コピーも非常に直接的に「この映画は怖いですよ」と謳っている。シンプルだが、「この映画は他よりも怖い」という内容にも「あの怖かったエクソシストが目覚める」という2つの意味で捉えられる。

表が黒一色なのに対して、裏は白をベースに構成されているのもうまい。

閲覧注意と言っていいほど怖い顔の素材を全体に貼っているのも、この一枚で恐怖を演出しようという気概を感じる。

映画館で、「あ、エクソシスト!」と思い手にとったフライヤーを裏っ返して見た時の「怖っ」という感覚は映画そのものを演出するかのようだ。

公開が楽しみでしかない。

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