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ドラフト会議2020採点【中編】

ようやく2本目のドラフト採点記事です。時間が経てば鮮度が落ちていきますし、今年はドラフト後に公式戦があったり選手の退団情報もようやく出てきたりとドラフト以外の情報が多く、話題として美味しいうちに書いてしまいたいと思います。まだギリギリセーフでしょう。でしょう?

東北楽天ゴールデンイーグルス

指名振り返り

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4球団競合の末、早川隆久を見事に引き当てました。楽天球団は1位で意外な指名をしがちで高校生指名も多いので最後まで読めませんでしたが、結局今年は王道を征く指名でした。意外と(?)早稲田とのつながりが強いですね。えんじ色だからか?(適当) 早川は今年のNo. 1選手。155キロを出せて変化球もキレる左腕なんて、それこそ10年に1人の逸材です。1年目からローテーションに入ることは確実、新人王の可能性もあります。高田孝一はリーグ戦で投げるのを何度も見ていましたが、最後の1年でぐっとパワーアップした右腕。元々まとまりのある総合力の投手だったので制球も破綻がありません。リリーフ候補でしょう。藤井聖は東洋大時代は甲斐野や上茶谷がいて出番が少なかったものの、社会人に進んで才能が開花した左腕。150キロの直球とキレキレのスライダーはリリーフで光るでしょう。内間拓馬は馬力ある右腕。技巧派好き(?)な生田監督に厳しく育てられましたが、最後までパワー型で生き抜きました。まだ粗削りですが、スタミナもありますし悪くない素材です。入江大樹は大型の遊撃手。プロの1軍でショートができるのかは微妙ですが、力強い打撃は魅力的です。西巻賢二を2年で切ってしまって仙台育英とは関係が悪化したかと思っていたので、この指名は意外でした。内星龍は高校での実績がほぼ無い超素材型。山本由伸のようなフォームに変えたことで安定し、合同練習会でアピールに成功しました。星でも竜でもなく鷲にきましたね。石田駿も超素材型のサイド右腕。今年のBCL公式戦が高3以来の公式戦出場とか。奪三振も与四球も多く、0か100かになりそうな感じが。

指名講評
今季はチームOPSとチーム得点数がリーグ1位でした。層の薄さは一旦置いておいて、レギュラーの打力は十分です。一方で、特に終盤、投手力不足で失速してしまった印象があります。得失点差では優勝したソフトバンクに大きく差をつけられました。松井裕樹を先発に転向させたあとの抑えを中心にリリーフで苦労した1年でした。誰を起用するにしても来季は腰を据えてやってほしいなと思います。
そんな中で、全6人指名のうち5人が投手という徹底した投手補強をしました。最上級の先発左腕を加えたあとはリリーフタイプを左右バランスを揃えて指名。終盤の息切れの原因に重点的に手を加えたのは賢明でした。
捕手の層が質的に足りませんが、とりあえず頭数はシーズン中のトレードで揃えていました。抜け目ないですね。その他のポジション、特に外野手の素材を二軍に供給できればより良かったかなと思います。

まとめ
評価はB+とします。広島と同様に投手に振り切った指名でしたが、広島と違うのはドラフト以外の補強策。楽天は札束攻撃ができるので、ドラフトでこれぐらい振り切っても石井GMのまたアッと驚く補強があります、と下書きしていたところ、今オフはFA補強を凍結し育成に切り替えるという報道が。外国人選手の補強で戦力を整えられるのでまだいいですが、育成する対象が不十分な気がします。ともあれ、1軍の強化には成功したと見ていいでしょう。

横浜DeNAベイスターズ

指名振り返り

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今年は入江大生を一本釣りしました。150キロ超の直球もキレるスライダーもハマった時は手がつけられない投手ですが、まだ波が大きく圧倒的な結果を残せているわけではありません。コロナ禍で実戦を積めず伸びきれなかったタイプだと思います。リリーフなら即戦力として使えるかもしれませんが、先発をやらせたいならもう1年見たほうが良いでしょう。高校では今井達也の同級生で、甲子園で3本のホームランを打って優勝に貢献しました。牧秀悟は仮想界隈で非常に人気が高かった打てるセカンド。プロ側はもうひとつだったようですが。長距離砲ではありませんが、勝負強く代表の4番も務めました。二塁打を量産できるタイプです。守備も悪くありません。松本隆之介は地元・横浜高校の超素材型左腕。最速152キロとのことですが、剛と言うより柔の投手。小深田大地は左打ちの長距離砲サード。春仮想で正田GMが指名しており予想的中でした。池谷蒼大は社会人ではありますがまだ素材型の左腕。直球が強かった印象ですが3年でどうなったでしょうか。高田琢登は今年の高校生左腕では1番の完成度と言われましたが、飛び抜けた特徴があるわけではないのが響いたのかこの順位に。美味しい指名です。石川達也は横浜高校で藤平尚真と左右の二枚看板で活躍。個人的に藤平より好きでした。大学でも18年は春秋ともリリーフで投げまくり成績も良かったのですが、その後はぱたりと出番なし。間に合ったようで良かったです。加藤大も地元の横浜隼人高校。オリックスが指名検討と報道がありましたが。

指名講評
上位2人で1軍は強化されましたが、どちらかと言えば素材型中心で世代交代を意識しているように感じます。それ自体は悪いこととは思いませんが、上位を争えるチームになったので優勝のために選手層の厚みを増す方針を取ると思っていたので拍子抜けというか。生え抜きの三浦大輔監督の就任初年度は勝利よりも育成ということなのでしょう。
他に気になった点について。支配下指名の投手4人のうち3人が左腕というところの意図はよく分かります。その後に戦力外を出して左腕の頭数を減らしましたし。とはいえ、高校生2人に素材型の高卒社会人と若い選手をこんなに急に加えるのかと。横須賀は楽しくなりそうですけどね。
また、一本釣り方針をこれほど徹底するのもいかがなものかという部分が。確かに、入江は楽天やオリックスのハズレ1位候補として報道されていたので、どうしても入江を指名したいのであれば一本釣りというのは理解できます。ですが、それに値する選手なのかと言われると… 勿論、外野からやいやい言ってる素人よりも、ずっと視察していたスカウトの評価と指名を信じるべきです。筆者も入江は好きですし。しかし、リスク回避を重視するあまりに120点が取れなくなって80点ぐらいをうろうろしているように感じてしまいます。今回に関しては1位候補とされた牧を2位で回収できたので1,2位のトータルの満足度は高いですが。

まとめ
評価はBとします。完全に主観でしかありませんが、1位でリスク回避した時点で天井が80点程度になるのでこんなものでしょう。数年後に手首がねじ切れている可能性も十分ありますが、現時点では不安要素が多く感じました。

埼玉西武ライオンズ

指名振り返り

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早川を指名したのは驚くほど”健全”でしたが、外れ1位の渡部健人にはめちゃくちゃ驚きました。他球団が2位で指名予定だという噂があったそう。秋にリーグ記録を更新する8本塁打を放ちました。110何kgの巨体の割には動けるようですが、さすがに少し絞ったほうが良いのでは…?  佐々木健はライオンズ御用達の富士大学の出身で鈴木翔天(楽天)と同級生でした。パワー型の先発左腕として評価されたようですが、波の大きさが気になるところ。山村崇嘉は筆者の推しの1人。高校通算40発以上の左の大砲ですが、技術も持ち合わせます。今年から取り組みだしたサードやショートの守備も悪くないそう。野手育成の上手い球団に指名されて良かったです。若林楽人はセンター守備が上手く、パワーもありますが確実性がアレだった選手。この秋はだいぶ良くなったようです。源田を打てるようにした西武なら凄い選手に育成できそう。駒大苫小牧高出身ですが、西武は北海道と謎に繋がりがあります。大曲錬は今までの準硬式上がりとは違う完成度の高さがあるとのことです。よく5位まで残っていたなという評価もあります。タイシンガーブランドン大河は強肩強打のサード。渡部はサードでは使わないつもりなのでしょうか? 沖縄→北海道というライオンズ御用達な経歴です。仲三河優太はこれまた御用達の大阪桐蔭高の選手で、御用達の北関東出身。左の強打者ですが実績少ないので根気強く育成しましょう。
育成でも気合いの入った指名をしました。さすが”3軍”を作っただけのことはある。赤上優人は高校時代は内野手でした(ちなみにこの時のエースは現TDKの小木田敦也)が、大学入学後に投手に転向。そこから150キロを連発できるまでに成長しました。長谷川信哉は…すみません、よく知らないのですが合同練習会でアピールできたようです。そう考えるとアピールの場って大事ですね。玉村祐典の時といい、敦賀気比高とも謎に繋がりがあります。宮本ジョセフ拳の指名は我がサークルの悲願。身体能力系の外野手でゼロヒャク感がありますが、西武なら上手く育ててくれるでしょう。豆田泰志も筆者の推しの1人。地元埼玉の出身。小柄ながら強い直球を投げ込みます。水上由伸は大学3年まで野手で活躍したあと投手に転向、1年半で150キロを超えました。赤上といい水上といい、地方の大学はそういう「自由さ」があって良いですね。

指名講評
やりたいことはよく伝わります。打たれて負けるのはよくても、打てずに負けるのが嫌なのでしょう。たしかに、今年は主力打者が軒並み不振に陥り打てずに負けましたが、別に打者有利でない本拠地にあってあれだけ打たれる投手陣を放置するのはまずいでしょう。まあ、毎年のように投手を補強してもアレなので諦めたんですかね。野手は即戦力と言われる大学生であっても1年目から1軍で活躍するのは難しいものです。なので、来年いきなり彼らが1軍のV字回復に貢献というのは難しいでしょうが、数年後が楽しみな能力を持った選手で、しかも西武なら育てそうというワクワク感があります。また、ポジション別で言えば、枯渇している先発左腕、今季苦しんだセンター、後釜の獲得・育成が急務な三塁と、補強ポイントを的確に突いています。良いところも悪いところも見つかって評価が難しいです笑

まとめ
評価はBです。あの投手陣を放置しているのは気になって仕方ありませんが、ある意味で一貫した姿勢を見せました。FAや外国人補強を積極的にする球団ではないのにこれだけ野手指名なので強い覚悟が伝わります。これが大成功でA評価にしたくなるような活躍を期待しています。

阪神タイガース

指名振り返り

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1位では意中の佐藤輝明の交渉権を引き当てました。関西学生連盟の通算本塁打記録を塗り替えたパワーヒッターで無限の浪漫を感じます。ゴツイ選手ですが脚も速いようです。三塁守備は微妙で外野手にと勧める人が筆者含めていましたが、外野も下級生時に少し出ていただけでほぼ未知数。三振の多さも気になります。が、それを上回る浪漫の塊です。伊藤将司はゲームメイク能力に優れた実戦型の先発左腕。特徴に乏しいのが特徴な、いかにも社会人というかんじの投手でしたが、高い評価を受けて嬉しいです。佐藤蓮は無限の浪漫を感じる剛腕リリーフ。昨年までの実績はほぼ無いですが、今年に入って150キロ超を連発するようになりました。まさか投打の浪漫枠佐藤を狙ったわけでは…? 榮枝裕貴は超強肩の捕手。リーグ戦の出番がほぼ無かったにもかかわらず代表合宿に呼ばれるほど。打つほうでもリーグ戦通算打率3割、なんて言われますが打席数よ。村上頌樹はなかなか呼ばれなかったので指名漏れも覚悟していた推し選手。怪我無く秋もアピールしていれば3位以内でした(願望)。スピード以外は揃えた先発投手です。中野拓夢は守備力が高いショート。大学時代は元山と二遊間を組み、セカンド適性もあります。高寺望夢は身体能力系のショートで、合同練習会で大いにアピールしました。石井大智は高知の大エース。秋田出身でシンカーの使い手なので摂津2世とも言われますがタイプは違うかと… 岩田将貴は変則フォームのサイド左腕。怪我もあってこの順位ですが、癒えれば使い道はあるタイプです。

指名講評
昨年は高校生を5人指名、1軍の補強は外国人で担いました。今年はその外国人選手が当たってもなお優勝できなかったため、国内で補強するしかありません。と思っていましたが、その後「補強資金は惜しまない」旨の発言がありました。珍しく本気で優勝を狙いそうな雰囲気です。ともあれ、FA補強もないではないですが、ドラフトも重要になると考えていました。
佐藤輝明のパワーに期待しないわけにはいきません。矢野監督は彼を外野で起用したいようです。三塁には大山いますし。しかし右翼には糸井、一塁にもマルテ(ボーアは退団濃厚とのことなので)がいて、競争相手がいきなり厳しいです。逆に、1年目から焦って起用されることなく攻守の確実性を高めてからでもいいのではないでしょうか。外野手としてプロレベルの守備、しかも広い甲子園でと言うなら練習が必要でしょうし。伊藤将司と村上頌樹は先発で即戦力。守備型の控え内野手として中野も即戦力と言えます。佐藤蓮は実戦経験がなさすぎるので2軍からがいいでしょう。榮枝も肩の強さは1軍レベルでも、実戦経験が少ないのでまずは2軍から。高卒ショートをこれだけ続けて指名しているのはちょっと分からないですが、外野コンバートでしょうか。

まとめ
評価はAです。素材に振った昨年から一転、今年は高校生1人・大学生4人・社会人独立3人と、現実を見てしっかり即戦力中心の指名に切り替えられました。と言っても1年目からバリバリという選手はさほど多くはないですが、近いうちに確実に戦力となれる一芸を持った選手たちです。読売ファンなので阪神を評価するのに若干の抵抗がありますが、素晴らしくバランスの取れた指名だったと思います。強いて言えば守備の良い外野がいないのが課題です。


いかがでしたでしょうか。相変わらずお話が長いよー、と自分でも思います。まあ、他の媒体の記事よりも内容濃いから、多少はね?

それでは、また次回の投稿でお会いしましょう!

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