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インクルーシブ哲学へ⑨:街の無限はツッコミも受けいれるーー川越Feel度Walk

▲前回

2024年3月5日

■イベント:Feel度Walk
■場所:川越
■ファシリテーター:市川力さん
■主催:須賀与恵さん

Feel度Walkを開発した市川力さんは、すごく明るい。
雰囲気を変える力をもっている。
どんどん驚き、笑いながら、参加者を観察モードに入らせてしまう。

僕の住んでいる川越で、市川力さんとのFeel度Walkが行われた。
参加者は10名。

本川越駅で集合して、みんなで歩く。
歩くと言っても、ほとんど進まない。
力さんが立ち止まり、街の細かいところに愛のあるツッコミを入れる。
みんなでゲラゲラ笑う。

すると、参加者も気になるものを見つけて、何かを言うようになる。
こうしてみんな、観察モードに入っていく。

いつもなら10分ほどの道のりを、1時間もかけて歩いた。

羨ましい。
哲学対話では、誰かの発言にツッコミを入れてゲラゲラ笑うということは、なかなかできない。
愛のあるツッコミでも、笑われた人は、居心地が悪くなってしまうかもしない。

つまり、他者の無限は、ツッコミを恐れさせる。
けれども、街の無限は、ツッコミも受けいれてしまう。

みんなで1時間ほど歩いたあと、それぞれ自由に1時間歩く。

観察モードに入っているので、住んでいる街なのに、普段とは違ったように見える。
気になるところや、驚くようなところだけでなく、ツッコミどころも探す目になっている。

写真を撮っていく。

白い建物の3階にベランダがある。
そのベランダにまで届く、とてものっぽな裸子植物を見つけた。
そのベランダには、観葉植物が置いてある。

そのベランダにいたとしたら、裸子植物は、観葉植物と同じくらいの高さに見えるだろう。
でも本当は、裸子植物はとてつもなくのっぽなのだ。
こういうことって、人間でもありそうなだなあと感じた。

歩き終わったみんながレトロな和室に集まって、それぞれの「知図」を描く。
沈黙の中、スケッチを描く音が響く。
再観察の時間だ。

僕は写真を見ながら、のっぽな裸子植物と、ベランダのある建物のスケッチを描いた。
ベランダの物干し竿に、水色のハンガーがぶら下がっていることに気づいた。
暗い茶色に見えた裸子植物の幹は、高いところの色が少し薄いことにも気づいた。

さて、「知図」を順番に発表していく時間だ。
この人はそんなところを見てたんだなあと、次々に感心する。
それとともに、不思議さを感じる。
やはり、あなたの観点をもっと知りたい、と思う。
どのような観点が表現されているのだろう、と。

2回目のFeel度Walkは、街の中での体験だった。
檜原村の自然の中と同じく、ずっと夢中になっていた。
そして、よく笑った。

僕は子どもと哲学をしていると、よく笑わされる。
びっくりするような発想が出ると、笑いがこみあげてくる。
それは驚くようなところであって、ツッコミどころではない。

哲学対話では、発言にツッコミを入れることはなかなかできない。
そのかわり、世界にツッコミを入れたらどうだろうか。

哲学する人は、世界のツッコミどころを探しているのかもしれないのだから。


▼次回


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