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日本人が一人だけのアメリカのクラスで英語にしがみついた話 ①


わたしは、シアトルのコミュニティカレッジにて英語を勉強するコースをとっていました。その後、一般教養クラス(心理学、社会学、音楽、映像、栄養学など)を取り始めました。

英語を勉強するクラスでは、周りも英語を学ぶ生徒たちだったので(中国や韓国から来た子たち)、「みんな英語を学んでいるし、少し下手でも大丈夫」なんて考えていました。が、一番初めに取り始めたクラスは、コミュニケーションのクラスでした。

その頃、英語を勉強するコースではまだ話せていて、レスポンスも早いほうだと自分で思っていました。そのクラスに入り、まず気付いたのは、周りはほぼアメリカ育ちの生徒たち。

お?大丈夫か?なんて思い、まあ大丈夫でしょ、余裕だ、と思い込みました。

ですが、クラスが始まると、それまでのクラスとは違い、先生の話すスピードもアメリカ人に話すそれなので、動揺しました。それまでの先生たちは私たちにわかりやすいスピードで話していたのか、とその時に理解しました。

それからは必死に先生と他の生徒の会話を聞き逃すまい、と集中し、食らいついていきました。学期の始めの方は、自分の英語の未熟さに落ち込んでいましたが、逆に「生の英語が目の前にあるのだから、学んで、自分のものにしないと!」と己を奮い立たせ、一生懸命取り組みました。

その学期の終わりには、そのクラス内で友人もでき、自分の英語レベルが少し上がったのを感じました。



そんなことを感じていたのもつかの間、その次に取ったのは「クリミナルジャスティス(刑事司法)」のクラス。その名前からして難しそうですが、行ってみると、なんと非ネイティブ、つまり外国人は自分一人。

30人ほどいる生徒の中で日本人が自分一人。

さすがに焦りを感じました。

クラスが始まると、刑事学で使われる専門用語が次々飛び出し、重罪やら懲役何年やら、さらりと話され、周りを見ると、それらを調べメモを取っているのは自分のみ。

そんな必死な中でさらに追い込むように、生徒たちに意見を求める先生。

そのクラスでは、授業中に一人一つはコメントをしないと、出席とは認められなかったのです。

周りが自分の意見を発表し、先生や他の生徒たちとディスカッションを繰り広げていく中で、わたしはそれらを追うことでいっぱいいっぱいで、自分の意見を考える隙間もありませんでした。

意を決して手を挙げ、自分の意見を発表しました。

的外れなことを言っていたりしていたでしょうが、緊張であまり覚えていません。それでも先生は理解しようとしてくれ、ディスカッションを広げてくれました。

わたしはとてつもなく気合を入れて発言しました。というのも、議論というのは日本人にはあまり馴染みのないことで、批判されると、人間性さえも叩かれるように怯えていましたが、意見は意見、というのがアメリカの見方です。

授業中に白熱しても、クラスが終わると、皆ケロッとして日常会話に戻ります。それぞれの意見を尊重し、ですがそれはただの意見で、それによって他人の性格を批判する材料にはならない。ですし、してはいけない、と思っています。


それを感じ、わたしは捻りの効いた意見を言いたいとか、英語のミスを無くそう、と細かいことに気を取られていましたが、彼らはわたしの「意見」を欲していたのです。

中身の良し悪しではなく、わたしが考えた率直な意見を言うべきだと気付き、少し楽になりました。


何より、とても緊張しましたが、とりあえず意見をしようと考えました。後悔するとしても、発言しないよりマシだ、と思い、ひたすら食らいついていきました。


ちなみに、そのクラスのテストでは、問題文の中にある難しい単語が分からず24点を取り、再テストを余儀なくされました...

その後も必死に勉強し、学期末のテストでは良い点数を取れたのでオールオッケーです。



それから四年が経ち、クリミナルジャスティスの単語や、どんなことを勉強していたのかも今はぼんやりしていますが、その努力したことや経験だけは記憶の中に強く残っているので、そこに勉強の意味を少し感じました。


コミュニティカレッジは、いろんなクラスの基礎を学べて、興味の湧いた分野を広げ、その後に繋がっていく役割を担っているのがいいところだと思います。

これを勉強したい、と思った部分をユニバーシティに行って広げたり、これはあまり楽しくなかったから次はこのクラスを取ってみたい、という広い視野で自分の将来を見られるのはとてもいいと思います。

そうした中で自分も映像のクラスを取り、それを今後も学びたいと思えたので、本当に感謝しています。


何を勉強していいか、何をしたいのかも分からない、という人には留学してこういった学校を経験するのもひとつの選択肢として悪くないとは思います。



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