見出し画像

2023年の読んでよかった本まとめ

今年読んでよかった本の書評(読書メーターの感想)のまとめです。
今年は1年で172冊の本を読みました。
私に出会ってくれた本たちに感謝です。


●小説部門

・本好きの下剋上 第五部「女神の化身Ⅻ」/香月 美夜

現代日本に暮らす主人公が異世界へ転生し、現代知識を活かし本づくりに奮闘する物語。その本編の完結巻です。
下町時代、そして貴族になってからの面々とのやり取りや別れがあり、ずっとその成長を見てきた側からするとグッとくるものばかりでした。彼らとの別れが描かれるたびに、これまでの物語がよみがえり、最終巻にふさわしいものだったと思います。

コメント)ずっと新刊の発売を楽しみにしていた本がついに完結。これまでの主人公の物語を想うとずいぶん遠いところまで来たなと感じます。完結は寂しいですが、サイドストーリーやスピンオフに期待したいと思います。

・アストレア・レコード ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか英雄譚/大森 藤ノ

【あらすじ】「ダンジョンに出会いをダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」本編のスピンオフ。かつてダンジョン都市を守護していたアストレア・ファミリアを主役とした物語。
【感想】「正義とは何か」を突き付けられ、それに迷う主人公の姿が印象的です。圧倒的な悪を前に、彼女がどういう答えを出すのか。その葛藤を含め、魅力的なシリーズでした。

コメント)本編やファミリアクロニクル含めて読むとより面白いです。スピンオフや物語に厚みが増すのでとても好きです。

・その謎を解いてはいけない/大滝 瓶太

【あらすじ】
生まれつきオッドアイの女子高生と黒マントの探偵・暗黒院(本名:田中)が主人公。2人に舞い込む事件の謎を暗黒院が必要以上に暴く物語。
【感想】
事件の謎を解くことが本筋のはずなのに、本作では容疑者たちの謎(黒歴史)までも暴いてしまいます。その内容に笑ってしまうとともに、どこか自分にも身に覚えのある内容に恥ずかしさにわき上がります。誰にだって黒歴史というのはあるかと思いますが、それが本当に黒歴史なのか一考する余地がある気もします。もしかしたら自分でそうだと思いこんでいるだけなのかもしれません。

コメント)黒歴史暴露パートにハマってしまいました。本書で詳しく描かれなかった、坊っちゃん哲と土佐犬の麻雀は見てみたい。

・楽園のカンヴァス/原田 マハ

【あらすじ】
アンリ・ルソーの名画に似た絵に秘められた真実の究明に2人の男女が挑む物語。
【感想】
この本で描かれるルソーの意志が印象的でした。ひたすらに絵を描き続け、自分の世界を表現しようともがいたこと。それが作品の中に息づいているのだと思います。普段私は絵画を見に行ったりはしないのですが、この本を読んで興味がわきました。自分は本書の2人のように作者の意志や世界を感じ取ることができるのか不安ではありますが、絵画たちに囲まれることで得られる何かがあるのではと思いました。

コメント)ずっと行きたいと言って行けていない美術館熱が高まっています。来年こそは行きたい…

・夜行/森見 登美彦

【あらすじ】
友人の女性が消えてから10年。再び集まった5人の仲間たちは、旅先で出会った「夜行」という作品にまつわる話を始めていく。
【感想】
それぞれが語る「夜行」の物語に引き込まれてしまいました。旅先で出会う不思議な人たち、夜の情景が恐怖をあおってくるんですが、それがかえってページをめくる手を止まらせません。それぞれの物語は不気味な余韻を残して終わります。物語の終わりから、5人が集まるまでに何があったのか。読者の想像がかき立てられる一冊です。 それと、寝る前に読むと夢に出るかもしれません。

コメント)怪しい魅力にあふれた物語でした。これまで自分が読んできた本のどれとも違う異彩を放っていました。

●ビジネス書・新書部門

・独学の地図/荒木 博行

自分オリジナルの知的体系「独学の地図」の作り方が書かれた一冊。
自分だけの学びとは何かを考えたとき、それは自分の過去の経験や学んできた知識と今の学びや気づきが結びついたものだと思います。それらが組み合わさると、唯一無二のものとなります。そしてその時に強い感情があれば、より強い学びになるのだと思います。
本書では「2ミリの学びを削り出す」という表現が使われています。同じような日々が過ぎ成長を感じられないときから、2ミリというわずかな学びを削り出す。それを積み重ねていくことが「独学」なのだと思いました。

コメント)この本を読んでから、1日にあった出来事をメモしておいたり、本を読み終わった後に少し寝かせてから感想を書いたりするようになりました。間違いなく私の今年1年に大きな影響を与えた本です。

・わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために/渡邊 淳司、ドミニク・チェン他

ウェルビーイングとは何か、それをどう作りあうのかということについて、様々な切り口から解説した一冊。
本書で紹介されている「弱いロボット」がとても興味深かったです。ロボットだけで作業を完結するのではなく人に助けてもらいながら目的を達成するというのは、「弱さ」の認識を変えてくれます。弱さというのは悪いものや良くないもののように思われがちです。ただ、誰かの弱さを補うことで自分が誰かの役にたつ、そして自分の存在を肯定できるのなら、弱さというのは悪いものではなく誰かのウェルビーイングにつながるものだと思いました。

コメント)ここ最近の私のテーマでもある「弱さ」や「心がもろすぎる問題」への1つの示唆を与えてくれた本です。この本を読んでから「弱さ」について違う見方ができるようになりました。

・リフレクション/熊平 美香

自分の内面を客観的、批判的に振り返るリフレクションについて、実際の事例やワークを織り交ぜながら書かれた一冊。
本書では、事実や経験に対する自分の判断や意見を「意見」「経験」「感情」「価値観」の4つに切り分けるやり方を紹介しています。誰かと同じ意見を持っていても、そこに至った経験が違えば、感情も違い、そして価値観も異なります。その経験や価値観こそが自分らしさであると僕は思います。普段なかなか意識しない自身の価値観を知るために、本書のリフレクションはいい方法だと感じました。

コメント)リフレクションの方法として自身の経験と結びつけるというのが素晴らしいと思いました。前述した「独学の地図」とも通ずる部分があると思ってます。本書でのワークをやってみると同じ価値観が頻出するので、それも興味深かったです。

・聞く技術 聞いてもらう技術/東畑 開人

「聞く」と「聞いてもらう」の小手先の技術から本質までを語った一冊。 「聞く」という行為は、コミュニケーションの基本で当たり前にできているように思えます。ただ、実生活で「ちゃんと話を聞いて」と言われることが多々あります。誰かの話を聞けないとき、それは自分の中に心配ごとや悩みといった気にかかることがあるから。むしろ、自分が話を聞いてほしい状態なんだというのはなるほどと思いました。
「聞く」と「聞いてもらう」の関係から聞きなれたその言葉に潜む奥深さまで、新たな気づきと問いを与えてくれた一冊でした。

コメント)私が人の話を聞けていない時のことをまさに言い当てられたと思っています。自分の話を聞いてほしいなら、まず相手の話を聞くところから。難しいですが実践していきたいです。

・This is Lean/二クラス・モーディグ、パール・オールストローム他

「フロー効率」という視点を導入することで、組織とチームを「リーン」にする方法が書かれた一冊。
フロー効率とあわせて、リソース効率というものが紹介されています。組織として考えると、リソースを無駄なく効率的に使うことが良しとされますが、それだと組織側の都合がいいだけで必ずしも顧客にとって良いとは限りません。 いかに顧客にとってベストとなる形でリソースを運用するのか。それで生まれたリソースのゆとりというものをどう考えるのか。自分を1リソースと考えると、自分の働き方にも応用できる考え方だと思います。

コメント)会社の読書会での課題図書。システム関係の話かと思いきや自身の働き方を考えさせられる本でした。ここから派生して、「ブルシット・ジョブ」や「両利きの経営」を読みたいと思いました。

ーーーーーーーーーー

今年は小説系をあまり読めなかったなと感じています。
物語もそれ以外もバランスよく読んでいきたいなと。あと来年は絵本とかも積極的に読みたいですね。

皆さんのオススメの本とか、本の感想とかもらえたら嬉しいです!


この記事が参加している募集

振り返りnote