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2021年の読んでよかった本まとめ

今年読んでよかった本の書評(読書メーターの感想)をまとめておきます。今年は1年で185冊の本を読みました。私に出会ってくれた本たちに感謝です。

●小説部門

1位 medium 霊媒探偵城塚翡翠/相沢 沙呼

【あらすじ】
警察に協力して事件を解決してきた作家・香月史郎。彼の後輩の頼みで霊媒師と会うこととなる。そこから彼女とともにいくつもの事件を解決していくこととなる。 
【感想】
ストーリー前半部分では、霊の力で事件を解決していくトリッキーな感じの推理小説かと思ってましたが、最後には騙されてしまいました。作中に細かく張り巡らせられた記述が最後に種明かしされていくのは爽快感がありました。作中の「名探偵の視点」はいい気づきを与えてくれました。現実でどうやって名探偵の視点を得ていくのか、課題にしたいと思います。

2位 護られなかった者たちへ/中山 七里

【あらすじ】
仙台市の職員が餓死死体で発見された。被害者は善人で通っており、容疑者も検討がつかない。しばらくして人格者で通っていた議員も同じような死を遂げる。 
【感想】
生活保護の問題をテーマにした小説。不正受給や本当に必要な人に配当がされていないという問題はよく聞きますが、それ以上の問題をはらんだ内容だと思います。行政の手からこぼれ落ちる人たちに自分は何ができるのか。行政職員たちの葛藤や生活保護を申請しない人たちの思想などが伝わってきて読んだ後もこの重たいテーマについて自分の意見をまとめきれません。

3位 マリア・プロジェクト/楡 周平

【あらすじ】
望まれぬ恋愛の果てに堕胎されることとなった一人の子ども。その子どもを巡り恐ろしい実験と犯罪が行われていく。
 【感想】
臓器移植や体外受精・代理母出産をテーマにした小説です。技術として、これらを必要とする人が多くいるのは分かっていますが、倫理的な観点から実験や先行事例を作るのが難しくなっています。本作中で医師が語っていますが、技術の有用さよりも人の持つ感情が優先されているというのは理解できる話です。現在は出版当時より進展があるかと思いますが、これらの問題について非常に考えさせられる一冊でした。

4位 ベイカー街の女たち/ミシェル・バークビイ

【あらすじ】
名探偵シャーロックホームズのもとを訪れた一人の女性。しかし、相談を打ち明けることなくその場を去ってしまう。帰る途中に下宿の女主人ミセス・ハドスンに呼び止められ、ゆすりの被害にあっていることを告白。ミセス・ハドスンとミセス・ワトスンが捜査へと乗り出す。 
【感想】
今作の主役は名探偵ではなく、その下宿の女主人と名探偵の相棒の奥さんです。本編では語られないキャラクターたちの活躍が最高です。あの女性やあの子どもたちの力を借りながら、捜査を進めていく彼女たちはホームズの活躍にも劣らないものだと思います。

5位 転生したらスライムだった件/伏瀬

【あらすじ】
事故により亡くなった主人公が、チート能力を持って異世界でスライムへ転生する物語。 
【感想】
Kindle Unlimitedでなんとなく一巻を読み、ハマって全巻+アニメも制覇してしまいました。主人公が作る街や出てくるキャラクターなど魅力的な物語ばかりです。私が今年一番ハマったラノベです。来年の映画も観に行きたい。

●小説以外部門

1位 藁を手に旅に出よう/荒木 博行

新人研修・3年目研修を舞台に、寓話を用いて働き方について考える一冊。
 一般的な寓話のメッセージとは異なる視点から物語を捉える切り口が面白すぎました。「うさぎと亀」で学ぶ戦略性や「おおかみと少年」で失敗からの学び方を考えるなど、自分の物語を捉える視点がほんの一部分だったんだと気づかされます。 本書あとがきでの「積極的誤読」という言葉にあるように、与えられたり作られたものに対して、一般に言われているようなメッセージだけではなく、どう自分なりの意味づけをしていくのかが重要だということを学びました。

2位 地平線を追いかけて満員電車を降りてみた/紀里谷 和明

悩みを抱えた人たちが迷い込む街中の小劇場。そこで出会う老紳士が彼らの悩みを紐解いていく。小説形式の自己啓発本。 
やりたいことが見つからない、仕事がうまくいかないなど現代人が抱える悩みの原因が対話形式で分かりやすく表現されています。グッとくる表現が多々ありますが、「今の自分にはつねに何かが足りなくて、違う自分にならなければいけないと信じ込むのは、自分があまりにかわいそうではありませんか?」はステキな一文です。他人と比較する必要があるのか、自分はどう感じているのかを問うことはとても大事なことだと思います。

3位 やめる時間術/尾石晴

ワンオペ育児のワーママさんが自身の時間術についてまとめた一冊。
 本書冒頭にある「世にある時間術本は『24時間を自分のために使える人』向け」の言葉にすごく共感しました。それと同時に、「自分に合うのが無ければ作ればいい」という発想が最近の自分には欠けていたことを気づかされました。 時間術に関するテクニックとしても、使った時間の評価や自分の時給と比較するなどの新しい学びもあったのでこれから活用していきたいと思います。

4位 安いニッポン/中藤 玲

海外のサービスや賃金と比較しながら、いかに日本の価格が安いか、なぜ安くなってしまっているかについて書かれた一冊。
小売の業界に身を置くものとしては、学びになることが多々ありました。 「安い」ことはいいことだとは思いますが、不当に安く売ることは回りまわって自分の給与に跳ね返ってきます。さらにその商品の価値をも毀損する行為だとすら思います。ただ世間が「安さ」を求める中、どう商品価値を伝え、適正な価格設定を行っていくのか。大きな課題だと感じました。

5位 USJを劇的に変えた、たった一つの考え方/森岡 毅

マーケターの著者が自分の子どもでわかるよう、かみ砕いてマーケティングについてまとめた一冊。 
マーケティングを学ぶことの効用、マーケターの考え方、必要な能力などマーケターを目指す人もそうでない人も読んで損の無い内容だと思います。特に、「戦略」についてまとめた章がおすすめです。自分が達成したい目的に対して、自分の持っている資源や能力を何に集中するのかを選ぶことは、仕事に関わらず、自分らしく生きていくうえで重要な考え方だと思います。

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今年は育休もあったのでいつもよりは本が読めたかなと。中でも、ラノベやマンガが多い一年だった気がします。
また、今年の終盤は「読書」というものについて考えさせられました。来年はそれを考えるにあたって、参考になる本を読みたいと思います。

皆さんのオススメの本とか、本の感想とかもらえたら嬉しいです!

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