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⑥新規事業開発のアプローチ(「課題発見」の重要性と発見方法)


このシリーズも6回目になってきました。

ここまで、①~⑤まで新規事業(特にソフトウェアやアプリ開発)における全体感の話を、なるべく分かりやすく記載してきました。

ここでは

1、アイディア検証
2,(アイディア検証のテストマーケティングや)ユーザーヒアリング
3,MVP開発
4,ユーザーテスト


を経て見える、「課題の発見」についてまとめていきます。

課題自体は1発で簡単に見つかるものではなく、沢山の仮説を試して、検証して、課題の種(Seed)が発見できるものです。

今回は、課題の種を発見することの重要性と、発見アプローチについて触れていきます。

1,「ニーズがなかった」が表すこと

まず新しい事業の立ち上げは

⑴スタートアップ型の事業(赤字を踏み込んで展開する事業)
⑵ブーストラップ型の事業(自己資金・借入で展開する事業)

であっても、新しい事業は主に3つのフェーズを経ることになります。

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CB Insightsによると、特にスタートアップで最も大きな失敗として「ニーズがなかった」という理由が、失敗の35%を占めています。

ニーズがなかった」という理由が、失敗の35%を占める図

キャプチャ3479

2,「ニーズがなかった」の要因

「ニーズがなかった」というのは、「課題の種が見つからなかった」ことを意味します。

そして「ニーズがなかった」を深堀すると、大きく分けて3パターンあると考えられます。

⑴課題はあるが、想定した解決策で課題を解決できていない
⑵課題はあるが、既存のサービスよりイケてなかった
⑶課題はあるが、参入タイミングが早かった

⑴課題はあるが、想定した解決策で課題を解決できていない
→解決策は、価値を生む源泉であり、参入障壁(Moat)や優位性にも繋がるが、課題がぼやけていたり、課題が見えにない故、解決策(ソリューション)が刺さらないようなケース

これはよくあるケースだと考えられます。

本当にコアな課題を持っている人が実はいないことや課題を持っていると想定される人が享受したい価値が見えていないようなケースです。

私自身の過去の失敗事例でいうと、以下のような状況でした。

・競合が割と沢山いるが、特定のターゲットの課題は解決できていない
・競合がなかなかそのターゲットまで網羅できない理由が明確にあり
・その上、ターゲットのパイは多い

しかし、私は細かく業界背景や、なぜそのターゲットのゾーンに課題が残り続けているのか、というリサーチが甘い状態のままプロダクトを作り初めてしまい、結局刺さらないプロダクトを作ってしまいました。

想定した解決策で課題を解決できていないケースを回避するための課題仮説を抽出を行うためには、

・対象ユーザーの明確化
・業界の背景と未来(歴史や成り立ち)
・業界構造の把握(PEST分析等から課題が残り続けている理由の模索)

を徹底することです。

結局課題が粗いまま進むと、解決策がブレて、バケツの穴が空いた状態で、プロダクトを進めるような形になってしまいます。


⑵課題はあるが、既存のサービスよりイケてなかった
※リプレイスする負荷(ネック)の方が大きかった
→既存のサービスの方が良い(既存の製品より優位性がない)

実際、課題があるように見えてヒアリングして、開発しても、実際使ってみたら、使うハードルが重くて、なかなか変えられない・導入できない、というようなケースです。

toBサービスであれば、SmartHRやFreee等、粘着性が高く、チャーンレートが低いような領域の場合、労務や会計領域で、例えば小さな課題があって、その課題を解決するためのプロダクトが新しくリリースされたとしても、SmartHRやFreeeから乗り換える人はいませんよね?

⑴と同様、ターゲットの特定と、そのターゲットが抱えている明確な課題(隠れた潜在的課題)が仮説立てられないと既存のサービスよりもイケてるプロダクトを作ることは難しいです。


⑶課題はあるが、参入タイミングが早かった
→一定数の割合で課題を解決できるユーザーがいるが、実はそこまで大きな需要がなく、立ち上がり切らないようなケース

タイミングが全てと言われるくらい、タイミングは運を運んでくれる要素でもありますが、過去を振り返ると、先行者が決して有利ではなく、意外にも後発がシェアNo1というような領域も沢山あります。

例えば、将来(具体的には●●年くらいにこうなる)の仮説があり、それまでは耐え忍ぶような必要があるようなマーケット(※)は、赤字を踏み続けて、波を待つ必要があります。

これは外部の資本を入れながら事業展開(スタートアップ型事業)しないと難しかったりします。

その会社の状況やアセットにより、戦い方や戦えるマーケットは変わってきて、乗れる波も変わってくるので、そのあたりを冷静に判断しながら、参入市場を決める必要があると痛感しています。

3,課題が発見できないと、起こる罠

冒頭で

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と記載しましたが、顧客獲得の先に、PMF(プロダクトマーケットフィット)があるので、課題の発見ができないと、顧客獲得のフェーズにいけません。

この顧客獲得のフェーズで初めてアクセルを踏み込むタイミングなのですが、課題の発見ができないと、課題の発見ができずに「ニーズがなかった」状態に陥ります。

なので、新しい事業を行う上で考えるべきことは、顧客獲得や収益化以前に「課題の発見」を最重要視して考える必要ことがあります。

意外にも「新規事業は、顧客獲得して、収益化して‥」と考えている方もいたりするのですが、それよりも前に「課題の発見」が何より優先するべきポイントです。

初期フェーズの「課題の発見」をクリアすることで、35%を失敗を回避することができ、新規事業の成功確率は必然的に上げることができます。

キャプチャ3479

例えば、他の要因(図参照)

・現金がなくなった
・競合に負けた
・ビジネスモデルの失敗
・規制や方が変わった
・価格やコストの問題
・正しいチームではなかった

は、全て「顧客獲得」、「収益化」の際に検証することや起こることです。

なので、初期の

『「課題の発見」のタイミングでは上位を占める(35%)、「ニーズがなかった」

を回避するための開発や進め方を理解していることは、失敗しないために最も重要だと考えられます。

4,課題の発見方法

発見方法というと、「これを読んだら発見できる」と思われてしまうかもですが、そうではなく、あくまで「発見のフレームワーク」と思って頂けると幸いです。
(※今回は、toBサービスに寄った発見方法です。)

~基本的な考え方~

基本的には、その課題自体の解像度が高い(深さ・広さがある)状態であれば、本質的な課題発見に近づきやすくなります。

解像度が高い状態とは?

顧客像が状況や事例をベースにはっきりしていて、その状況を元に顧客の課題が明確化できている状態を指しています。

~3つの観点~

事業を立ち上げる上で「課題の発見」が最重要と記載しましたが、具体的には以下の3つの項目の情報を素早く洗うことが重要です。

⑴どのくらいの人が抱えている課題なのか(ニーズの量)
⑵どのくらい重要で緊急性がある課題なのか(ニーズの質)
⑶現在はどのような代替法で課題を解決しているのか

⇔または、なぜ課題が解決されず残っているのか

上記以外にもリサーチする項目はありますが、広くリサーチするよりも、最初期は具体的に上記を徹底的に深堀することで、事業構想のスピードを速められます。
(事業を立ち上げる上で、最初期の最も重要なファクター)

一般的には上記の項目に対して一次情報を集め切って、徹底的に深堀りし、課題の仮説を素早く発見していくことが、時間的な観点で最優先で行うべきことだと、私は考えております。

~発見方法のアプローチ~

ニーズの量、ニーズの質、ニーズが解決されていない理由は、現状の解決策の不満足な背景を見つけることは、実はそれほど難しくなく、努力で何とでもなるような領域だと、私は考えています。

⑴、⑵は、ネットである程度の全体感の情報や感度、数値の情報をネットで集めることは重要ですが、実際はネット以外で取得できる「一次情報の収集」が重要で、そのためにはとにかく走って顧客と対話することが重要です。
※めちゃくちゃシンプルですが、重要‥汗をかけということですね

この顧客自体が、初期のユーザーになり得るかもしれないので、ここは紹介でもSNS経由でのDMでも、とにかくあらゆる手段を使って、初期のユーザーを捕まえるつもりで、走る必要があります。
※割と、気合、という言葉に収斂してしまいますかね‥笑

ニーズの質に関しては、ヒアリングの仕方も重要です。
実際の業務理解や状況の理解しながら、「顧客の声」以上に、「顧客を観る」ためのクエスチョンが重要です。

顧客の声を聴いているだけですと、潜在的なニーズにしか辿り着けないですが、顧客を観ることをしていくと、顧客も認識していなかった潜在的なウォンツに辿りつけます。

潜在的なニーズは、ネットでも調べられることもありますが、顕在的なウォンツは、一時情報の取得からではないと得ることができません。

課題を解決している代替方法(or課題が残存している背景)の把握

⑶に関しては、外部環境など、明確な理由がある場合がもありますが、そうではなく顧客特有の課題、業界特有の課題などが原因で課題が残り続けている場合があります。

課題が残存している場合は、自社が独自の解決策で解決できるのか模索しながら、考えていく必要があります。

5,最後に

ここまで簡単にはなりますが、(「課題の発見」の重要性と発見方法)を整理してきました。

事業開発・新規事業の開発を行う際に、参考にしていただければ幸いです。

ソフトウェア・アプリ開発における開発前のチェック項目付きのホワイトペーパー(全17ページ)もありますので、よろしければDMもしくは資料請求のご要望のご連絡を頂けますと幸いです。

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