北山翔一

1988年生まれ。乙女座のB型。 彫刻で博士号を取った後助手と助教として美術系大学に勤…

北山翔一

1988年生まれ。乙女座のB型。 彫刻で博士号を取った後助手と助教として美術系大学に勤務。任期を終え退職し今はただの人。 彫刻を作りつつ、美術予備校で教えたりしてます。

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私がみてきたアートと彫刻の20年#3 「藝大という秘境でも楽園でもない場所のこと 〜藝大彫刻のアカデミズム」

 私が大学院生の頃、東京藝大を「秘境」と呼ぶ本が話題になりました。謳い文句は、その卒業生の8割は行方不明だとかそんな感じだったと思います。私は読んでいませんが、書かれた側の人間として当時思うことはいろいろありました。確か著者が、当時の私がいた学科の学生と結婚された方で、ある意味当事者に近い目線で書かれていたため、話題を呼んだのだと記憶しています。  藝大は良くも悪くも何かといろいろ言われることが多く、アートの世界に距離がある人にとってはおもしろ奇怪な場所、アート界隈からはア

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    • かたちの価値って

      先日、タートルズのグッズを見たくて(映画は見てない)バイト先にほど近い原宿を散歩したときのこと。結局見つからず最後トイサピエンスに行ったのですが、今のフィギュアほんとにすごいですね。 で、印象深かったのが商品のクオリティだけでなく、その価格の安さでした。圧倒的に安いと感じたのです。 そこそこの大きさのマンドーのフィギュア。クオリティ半端ないしブラーグカワイイ。クイールも劇中そのまま!どれも10万円いかないんです。 形やプロポーション精度はもとより、塗装の細かさよ。画像だと伝

      • 私がみてきたアートと彫刻の20年 #2 「ひとりになるためのアート」

         35歳アート底辺として節目を迎えたことをきっかけに書き始めたnoteの第二回です。今回は高校生で出会ったアートについて書きます。今回は超個人的な内容や画像等もないので、有料部分は投げ銭コラムというふうにしてみます。少し前の美術受験のことも書いてあります。私は現在美術系予備校の講師もしているので、それなりの情報としてご活用いただければと思います。 普通科高校(私立)の美術  高校が私立の中高一貫Fランの進学校(?)だった上に美術部もなく、部活が大の苦手だった私にとっては、

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        • 私が見てきたアートと彫刻の20年 #1 「彫刻がわからなかったから」

          父の死をきっかけに唐突に書いたnoteの記事から一年と一月が過ぎました。色々と自分の節目が見えた一年だったので、色んなことを振り返って少しずつ書いてみようと思います。 はじめに  「彫刻」は普段普通に過ごしていて存在を意識することはないし、美術館でも割とスルーされがちなんじゃないかと思っています。もちろん作家単位では有名なものもあるでしょうけど、相対的に彫刻というのはわかりづらいんじゃないかと感じています。割と作り手にとってもそれは同じだったりして。彫刻をまとめて紹介す

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          父との別れのこと

          はじめに 8月2日の早朝に、父北山郁夫が息を引き取りました。 父は典型的なADHD気質の強い人で、多動でマルチタスクをこなそうとしてはちゃめちゃになるような創造性の高い男でした。美大卒ではありませんが、猛烈な情熱でクリエイティブディレクターとして80〜00年代を駆け抜けた業界人、ザ・仕事に魂を売った男です(本当にセーターの袖を首で結んでました)。 広告代理店を辞めたのちは、祖父の稼業を継ごうとして失敗(創造的発達気質に経営は無理)。フリーランスになり、ブランディングや広告の

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