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悪気がなくても嫌われる「相手をイラッとさせる文章」の特徴3選

こんにちは!

メール、チャット、日報、プレゼン資料……。みなさん、ふだんの仕事で浴びるようにテキストを読んでいると思います。そのなかで、「おいおい、これはないだろ」「なんだ、こいつ!」という文章に遭遇することってありますよね。

でも、いちいち怒っていたらキリがありません。「失敗」から学んだほうが建設的です。

今回は、「見えないところで嫌われている人」にならないための文章術を解説します。

相手をイラッとさせる文章の「なにが・なぜ悪いのか」がわかれば、反面教師にできますし、部下の指導にも役立つはずです。ぜひ参考にしてください。


1. 「……で?」と言いたくなる


相手をイラッとさせる文章の特徴1つめは、「結論」が不明確であること。

仕事における文章では、何かしら「伝えたいこと」があるはずです。なのに、それがわからない。「……で?」と言いたくなる。

たとえば、こんな文章。部下に対して「A社の進捗確認」をしたときの返信です。

今日は朝からずっと忙しくて、いろいろなタスクに追われています。A社の件は、昨日佐藤さんとどうするか話し合いました。

思わず「つ、つまり……?」って言いたくなりますよね。

佐藤さんと話し合って、結局どうなったの? 佐藤さんに確認しろってこと? 少しは時間がとれないの? こちらが調整しなきゃいけないの? 忙しいのはわかるけど、こっちはA社の進捗を知りたいんだよ……。

このように、「余計なやりとりが発生する文章(回答が不明確な文章)」は、相手をイラッとさせます。

仕事でテキストコミュニケーションをするときは、以下の7つのいずれかを明確にしましょう。

  1. 質問

  2. 相談

  3. 依頼

  4. 指示

  5. 提案

  6. 共有

  7. 意見(感想)

上の例の場合、「2. 相談」を明確にすれば、相手(上司)も対応しやすくなります。

相談です。A社の件は、昨日佐藤さんと話し合いました。口頭でお伝えしたほうがスムーズかと思うのですが、本日はタスクが詰まっていまして、12時または15時に少しお時間をいただけないでしょうか。

ポイントは、最初に「結論」を書くこと。今回の場合、まず「相談です」と伝える。すると、読み手(上司)は、「そうか、相談があるんだな」という前提で読み進めることができます。

もう1つのポイントは、「こちらの都合で相手に調整してもらっている」という意識を忘れないこと。

今回のケースでは、本来なら文面で伝えるべきのところ、直接話す時間をもらうわけです。

こちらの記事でも解説したように、「なぜか感じのいい人」はメールやチャットの最後に「+α」しています。

今回の例でも、「申し訳なさ」を追加すると、より好印象になります。

相談です。A社の件は、昨日佐藤さんと話し合いました。口頭でお伝えしたほうがスムーズかと思うのですが、本日はタスクが詰まっていまして、12時または15時に少しお時間をいただけないでしょうか。ご多忙のところ申し訳ありません。ご検討をよろしくお願いいたします。

2. 「自分のこと」ばかり書いている


ぼくが編集者になって、上司から一番言われたこと。
それは「読者目線を忘れるな」です。

どんな画期的なアイデアでも、社会的意義のある主張でも、読者目線がなかったら伝わらない。編集者は「読者代表」であることを忘れるな。

これまで100回くらい言われたこともあって、身体に染み込んでいる考え方です。

仕事をしていると、不満や悩みはもちろん、「大変さをわかってほしい」「自分のことを知ってほしい」というシーンは多々あると思います。

でも、自分のことばかり書いていたらどうでしょう。相手は「うわあ、この人イタいな」とドン引きしているかもしれません。

もちろん、自己開示を否定するつもりはありません。雑談的に話すのは、人間関係を円滑するうえで、むしろすべきだと思います。

ポイントは、その「タイミング」と「回数」。早い話、「書きすぎには注意」ということです。

たとえば、こんなケース。リーダーが「チームのチャット」で新しいタスクを引き受けてくれる人を募集しました。すると、あるメンバーからこんな返信が来ました。

今、みなさん忙しい時期ですし、なかなか決まらない気がしますね。そういえば僕も最近、子どものPTAの委員会で会長がなかなか決まらなかったんですよー。結局、誰も責任を取りたくない雰囲気で、何度も会議が延期されました。しかも、その間にイベントが重なって、結局僕が引き受けることになったんですよ、、、

書き手(リーダー)としては「担当者を早く決めたい」と思っているわけです。参考にならないプライベートの話を長々と持ち出されても、他のメンバーもどう反応したらいいか困りますし、なにより肝心の担当決めが前進しません。

今回の場合、忙しくて引き受けられないなら、その理由を端的に説明すべきです。加えて、どういう条件なら引き受けられるのか(「来週なら対応可能です」「◯◯さんと一緒ならできます」など)も明記すると、書き手であるリーダーも判断できます。

編集者でなくても、「読者目線(相手が何を求めているのか)」で考えることは大切です。

ここで、余談をひとつ。

第二次世界大戦中、アメリカの戦略情報局(CIAの前身)は「サボタージュマニュアル」という文章を作成しました。ここには、機械の故障を引き起こす方法や、管理・組織の効率を低下させるための行動など、敵の生産能力を低下させるための具体的な指示が書かれています。いわば「組織をダメにする手法を説いたバイブル」ですね。

その指示のなかに、1つにこんな内容があります。

会議では長いスピーチを頻繁に行え。自分の言いたいポイントを説明するのに、個人的な経験や逸話をたくさん盛り込め。

これは会議に限らず、テキストコミュニケーションにおいても同様でしょう。つまり、組織をダメにしたかったら、プライベートの話を長々としろ、ということ。

CIAから送り込まれてきたスパイだと思われたくなかったら、自分のことを話すのは少なくしたほうがいいかもしれません。

3. 「テンション」が違いすぎる


日本社会では「空気を読む」ことが強く求められる傾向があり、よく問題になっています。

たしかに、行きすぎた同調圧力は、ぼくも大反対です。でも「空気を読むこと」は、さまざまな人とコミュニケーションをとるうえでは避けては通れないスキルでもあると思っています。

これは文章においても同じ。空気を読まずに「自分のテンション」を貫く人は、相手をイラッとさせる傾向があります。

たとえば、真面目な話をしているのに、「そうなんですね!!」「承知です!」などと、とにかく明るい人。

「◯◯さんらしいな」とポジティブに受け止める人もいるでしょうが、相手によっては「こっちの話を聞いているのだろうか」と不安を覚えたり、「真剣に話してるのに」とイラッとしたりします。

逆もしかり。カジュアルな話をしているのに、「左様ですか」「誠に申し訳ございません」「引き続き、ご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」などと真面目に切り返されると、書き手は肩透かしを食った気持ちになるものです。

「相手が丁寧な文体なら、自分も丁寧にする」「記号や絵文字を積極的に使う人なら、自分も多めに使う」など、相手の文体にあわせて、自分のスタイルも調整する。この意識をもつだけでも、見えないところで嫌われるリスクは大きく減らせます。

いかがでしたか。

いろいろ書いてきましたが、テキストコミュニケーションって難しいですよね。絶対的な正解がないので、地道に対応パターンを増やしていくしかありません。ぼくも日々クライアントや取引先の方とのやりとりから学ばせてもらっています。

では、また次回の記事でお会いしましょう。


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