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「なぜか感じのいい人」がメールの最後に書く一言とは?

こんにちは!

今回のテーマは「文章の締めくくり」。結末、ラスト、オチ、仕上げ。2023年の最終投稿。

「メールやチャットの最後を、どう書けば好印象になるのか」を考えたいと思います。

なぜ「締めくくり」は重要なのか?


ビジネスシーンでは「結論は先に書きなさい」とよくいわれます。

一方で、文章の締めくくり、すなわち文章の最後について「こうしなさい」と教わったことがある人は、かなり少ないのではないでしょうか。むしろ「気にしたことがない」という人がほとんどかもしれません。

そのせいか、メールでは「よろしくお願いいたします」、報告書やレポートでは「結論の繰り返し」という、万人の万人に対するテンプレートが使われ、ときには「不要」と言われる始末。ビジネス書の市場を見ても、「書き出し(つかみ)」をテーマにした本はあるのに、「締めくくり」がテーマの本はない。

そう。「文章の締めくくり」って、軽視されがちなんです。

でも、考えてみてください。締めくくりのあとに、読み手に訪れるものはなんでしょうか。

「読後感」です。

締めくくりは、書き手と読み手の最後のコミュニケーション。「読後感は、締めくくりで決まる」といっても過言ではありません。

あなたの文章を読んで、相手がなんの感想も抱かないのか、「そっけない人だな」と思うのか、あるいは「よし頑張ろう!」「真剣に考えなくちゃ」と思うのかは、締めくくり次第です。

小田嶋隆さんが、「文章はフィギュアスケートのようなもので、途中がグダグダでも、着地(締めくくり)がきれいに決まれば、観衆は拍手を送る」みたいなことを書いていたけれど、そういうことだと思います。

終わりよければ全てよし! というのは言いすぎですが、締めくくりを一考する価値は十分ある。そうぼくは考えています。

「+α」するくらいが、ちょうどいい


さて、「締めくくり」でどんなことを書けばいいのか。

「文章の教科書」的なものを読むと、ほぼ入っているのが「型」です。文章構成、ストラクチャー、流れ、王道パターン。「このかたちをマネすると伝わりやすくなりますよ」というのが型です。

たとえば「PREP法」。聞いたことがある人も多いかもしれません。編集の世界でも、よく使われています。

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PERP法 :Point(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(結論)の略。

例:
P(結論)
:おつかれさまです。来週から週次のチーム会議を実施します。

R(理由):進捗状況を共有し、効率的に調整するためです。

E(具体例):前回プロジェクトでは、この会議を行うことで重要なフィードバックが得られ、作業の遅延を防げました。

P(結論):なので、週次会議はプロジェクト成功に不可欠です。よろしくお願いします。
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どうでしょうか。新たに会議が増えるのは面倒だと感じるかもしれませんが、普通に理解できる内容ですよね。

一方で、少し物足りなさを感じませんか?

間違ってはいないし必要十分ともいえるけれど、「事務的な印象」も強いです。
そっけない。淡々とした感じ。沈黙の強制。言われたほうは「ああ、また会議増えるのか」と思うのではないでしょうか。

この会議を、メンバーが積極的に参加する「生産性の高い会議」にしたかったら、最後にあと一言ほしいところです。

ここでおすすめしたいのが「型+」という考え方です。

たとえば今回の場合、「よろしくお願いします」の前に、以下の要素を追加してみます。

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  1. Hearing(意見を聞く):「とはいえ、いろいろご意見があると思うので、次回、最初の10分でみなさんの考えを聞かせてください。」

  2. Action(行動を促す):「会議中には積極的に意見交換に参加し、お互いのタスクと課題について共有し合いましょう。」

  3. Future(未来を見せる):「これによって、チームとして大きく成長できるはずです。」

  4. Help(助けを求める):「忙しいとは思いますが、みなさんの協力が必要です。」

  5. Real(本音を言う):「正直、会議が増えることは負担になるかもしれません。ですが、それを上回る価値創出を目指しています。」(「追伸」として本音を書くのもGOOD!)

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こういった一言があるだけでも(組み合わせるのもOK)、事務的な印象はぐっと減らせそうですよね。相手も少しは前向きにとらえてくれるのではないでしょうか。

とくに提案や説得をするときは、いつもの締めくくりに「+α」する。それでちょうど伝わるくらいになります。

送信する前、提出する前、3秒だけ立ち止まって、締めくくりを読み返してみてください。それだけでも、「読者目線」での気づきがいろいろあるはずです。

さて、この記事の締めくくりをどうするのか?

ふだんから自由に書いている人間の場合、むしろ最後はテンプレのほうが安心感が出るものです。たとえば、メールの最後に「何卒よろしくお願いいたします。」と書いてあったら、それまでが多少クレイジーでも「あれ、じつはまともな人なのかな?」って少しは思いますよね。それと同じです。なので、連載1回目から続くテンプレで締めくくります。

では、また次回の記事でお会いしましょう。

よいお年をお迎えください!

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