私たちはみんな死ぬの。それは生まれてきたから絶対に。

死がなぜ怖いのか、考えたら
忘れてしまうからなの。

好きな人の笑顔や、住んでいる土地の匂いや、
肌が触れ合う感触や、欲しかったものを手に入れた喜びや。

愛情を分かち合った人のことを忘れたくない。

だから死にたくないの。

死が怖くて、老いを恐れて、忌み嫌うの。

私は死がとっても怖い。

怖くて怖くてたまらないから
バカ騒ぎをしてごまかすの。

親を突き放すの。

一番近くの「死」だから。

一番近くの「忘れたくないもの」だから。

私はまだ、若くはないとはいえ５０歳未満であり
体もまあまあ動くし健康で仕事に毎日行って
衣食住をそれなりに楽しんで
明日がまだ、今日の延長にあると信じられている。

だけど

９５を過ぎた祖父の嘆き（昨年亡くなった）を見て、
７０を過ぎた両親が異様に寄り添っているのを見て、

なぜ、そうなのか。

それを今日、知った。感じることができた。

私は傲慢だ。まだそこまでは老いてはいないというだけなのに。

その表面的なことに優越感を持って突き放すことに。

順番に、止められない流れの中でただ死に向かっている、
それは同じなのに。

だからこの映画を見に行って本当によかった。

怖かった。だけど、このビーチと地球は、さしたる違いがない。

産道を通り、この世に生まれ出て、死ぬまでの時間は
たしかに
全員が同じ時間の流れの中にいると
８０年、９０年と生きて死ぬのが当たり前のように受け入れているけれど

もしも宇宙に生命体がいたら
（こっちにいれば地球時間で３００年は生きられるのに・・・）
と見られているかもしれない。

病気とか、怖れから人を傷つけたりとか、無茶して命を落としたりとかも
（そりゃ人生が８０年そこらじゃ気も狂うよね、）
って思われてそうだよね。

時間ってね

完全に降伏してしまったら

永遠も一瞬も、違いがないのかもしれない。

老いた夫婦の美しさを見てたら、時間に埋没していく幸福を知った。

どんな場所でも楽園になるのさ。

あなたとなら。

あなたとならば。

音楽がとてもよかったです。基本怖いけど。

あとね最初のクレジットの時はただのデザインだと思ったのが
見終わった後には意味がわかり、じわじわくる
そういう仕掛けも大好き。

映画ってほんとに、良いもの。

しょこ