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ちんすこうと中華菓子

緑豆糕というお菓子があります。干菓子みたいな感じで、乾燥していて口にいれるとほろほろ崩れるお菓子。緑豆以外にもバリエーションはあって、杏仁糕とか、芝麻糕(芝麻は胡麻のこと)とか、ベースになる豆・穀物は、様々なものに置き換えられるようです。「糕」は「ガオ」と読みます。

オールドファッションなお菓子で、口の中の水分がすべて吸い取られるので、それほど好きでもなく、興味もなかったのですが、今回訪れた台中は、台湾の中でも特に伝統的お菓子が有名な土地ということもあって、敢えてこの昔風お菓子をつまみぐいしてみました。台湾の古いお菓子屋さんでは、贈答用の化粧箱入りだけでなく、一つずつ気軽に買うことができます。

ホテルの近くにあった、美珍香という老舗のもの。緑豆、杏仁、それから麺茶糕というものを食べ比べてみました。さすが老舗といいましょうか。口の水分が無くなるのは相変わらずなのですが、それを超える美味しさがあり、初めて好きになれそうな予感が。美味しいと口の中の水分もすぐ復活する!美味しい台湾茶と合わせたい。

食べながらふと頭をよぎるものがありました。大好きな、沖縄の「ちんすこう」です。ちんすこうほどザクザクはしていませんが、口の中に溶ける感じといい、鼻に抜ける香ばしさといい、これそっくり…この瞬間結びつきました。ちんすこうって、「酥(す)」で「糕(がお)」だ!

酥も糕も、中国語ではお菓子の種類を指すときに使われる言葉で、酥はサクサクほろほろした食感のもの、糕は塊状になったお菓子を指します。
まさに「ちんすこう」と「(緑豆)糕」をつなぐ感覚ではないですか。

早速調べたら、ちんすこうには「珍楚糕」という字があてられるのですね。今まで知らなかった。楚と酥という違いこそありますが、楚もまた「さくさくしたもの」という意味らしく、伝わった時代や地域の差も想定すれば、ルーツは同じと解釈して恐らく差し支えないでしょう。

こういう、文化の境目やグラデーションを感じられる発見は、いつも私をわくわくさせてくれます。中国語に出会って良かったー!と心から感じる瞬間。
油の有無の差こそあれど、日本の干菓子も元は同じでしょうね。乾いたお菓子って、なんか味気ないネーミングだけど。

ああ楽しい。
せっかく好きになったし、次の訪台からはこのお菓子をもっと積極的に食べ比べてみよう。
(ちなみに、このお菓子を総称してなんと呼べばいいのか…糕だけでは、焼き菓子全般を指してしまうし、何か呼び名があるのでしょうかね?知りたいです)

こちらは、同じく台中・鹿港の老舗「玉珍齋」の、芝麻糕、胡麻味。
美珍香のより、さらにホロホロでうっかりすると手で持った瞬間崩れるほど。人気店だけあって、さすがめちゃくちゃ美味しいです。これは台北駅でも買えますよ!

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